伝統工芸品が私たちの手元に届くまで
今回は、ネットでモノを買うのが当たり前になって便利になりました。昔のネットがない時代はどうやってモノを買ってたの?というお話です。
伝統工芸品の市場は古い流通体質が根付いている
30年前、今のようにアジア製の安い商品がない時代。
伝統工芸(手作り)が世の中を流通していました。
今でさえ【伝統工芸=高い、古い】というイメージですが、
一昔前は我々の日常用品として使われていました。
流れをみてみましょう。
【メーカー → 問屋 → 百貨店】
が基本の流通でした。
順番に追ってみていきましょう。
まず0からモノが作られます。
【作り手・メーカー】
・職人
・工場
問屋がモノを買い、百貨店に売ります。
【問屋】
・産地問屋
・大手問屋
【百貨店】
・伊勢丹
・阪急阪神
・そごう西武
・高島屋
・大丸松坂屋 など
【消費者】
・一般家庭
モノはそれぞれ 作り手ー買い手ー売り手ー使い手 と流れていきます。
その中で唖然とした業界がありました。
それは着物などの呉服業界でした。
なぜ着物があんなに高いのか、カラクリが分かりました。
問屋か何社も重なっているのです。
一次問屋 → 二次問屋と 当然関わる問屋が多いとコストも上がりますよね。
そのシワ寄せは一番下にいる職人、工場です。
時給に換算すると現代の全国平均金額より低いのが普通だと聞きました。
誰も幸せになれない負のスパイラルです。
【負のスパイラル】
・職人は食えない
・問屋も食えない
・消費者は高いから買わない
競争力がないから売れないし、誰も得しません。
古い業界は古い流通から抜け出せれない
古い業界は昔からの流通の流れから脱却することが難しいです。
新しいチャレンジをしたいという若い職人も当然います。
しかし古い体質から脱却できないのです。
理由は既存の問屋流通を飛ばして一般顧客や百貨店に商売をすると、
既存の問屋はもちろん、暗黙のルールを破ったと各問屋から取引中止になるのです。
なので今まであった注文を捨てて、新しい販路開拓するには、かなりのリスクが生じる。
職人や作り手は成功するか分からない販路に賭けるよりも、厳しいながらも確実に生活する道を選ぶのです。
私も同じ立場なら賭けには出ないです。
伝統工芸の問屋も変わることができない
しかし問屋も問題を抱えています。
百貨店の売り上げが上がらない今、モノを売らないと利益を生み出すことができない問屋は厳しい状況です。
そして、問屋の弱点はモノを作ることはできないということです。
逆にモノがなければ商売ができない。つまり職人、作り手次第ということです。
新しく工場を作るにも職人、材料、ノウハウが必要。
新しくモノづくりを始めるにもお金と時間がかかり、とても得策とは思えない。
※一般的な問屋の場合です。
問屋のメリットってなんだろう。。。
職人から良い時代の話を聞いた。良い時代は役割分担が明確だったという。
- 職人は作ることだけに専念できた
- 職人は問屋の注文数を作るだけでよく、在庫がいらない
- 職人は問屋から商品のアドバイスをもらえた
それぞれ余計な事を考えなくていいので効率はいいですね。
しかし、今では百貨店の受注数も減ってしまったのに昔の価格だけ生き残っている。
問屋も同様にモノが売れないから職人の要求を吸収できない。
問屋から職人に対する厳しい3つの苦悩
【小ロット、低価格、即納】
職人には非常に厳しい状況である。
伝統工芸問屋が機能が発揮できていないなら
問屋が商品を買ってくれないと、職人やメーカーが自分たちで販路開拓する動きが活発になる。
今の時代、展示会、SNSやネットを介してB to B に訴求できることが容易にできる。
最近ではB to Cと百貨店の催事などで直接エンドユーザーと接点を持つ機会も増えている。
商品を買うのはエンドユーザーであり問屋が買うのではない。という動きも出てくるのは当然だ。
そして、問屋が担ってきた商品開発の部分もエンドユーザーの意見を聞いた商品作りをすれば間違い無い。
ますます問屋の存在が薄くなる。
伝統工芸の問屋の個性ってなんだろう?
販路があるという事ですね。
販路があるのが一番強い。なぜなら、お金を頂けるのはお客様だけだ。
よくあるパターンは日本の伝統工芸では儲からないから中国から安く商品を仕入れて流通に流す。利益は大きくなり、儲かりますね。
そして、このビジネスモデルはすぐ真似できるので各問屋がアジアから安い商品を仕入れ価格競争に陥って悪循環。また、誰も儲からないパターンだ。
それが今の問屋業界である。
最後に・・
新商品の値段も決められ、在庫も持たされて本当にそれでいいの?
古い体質から脱却するには 何かを捨てないといけないわけで
踏み込む勇気が必要ですね!
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