公園が好きで、ちょっとした空き時間でもよく利用する。たくさんの人が様々な用途で
利用するのが公園と分かってはいるが、静けさを求めていく私にはどうも「公園の音」が
煩わしくてならない。楽器の練習、ラジオの音、詩吟をがなるおじいさん、この前は
10数人の中高年の団体が懐メロを合唱していた。逃げても逃げても押しつけがましい
センチメンタルなメロディーが耳に纏わりついてきて離れなかった。
実際のところ公園で禁止事項としてあるのは「集団での音楽演奏又は大音響・高音を発する
楽器の練習をすること。」位で、個人の練習まではどうやら禁止されてはいないらしい。
今のところ都市部の公園で静けさを求めるには、即座に場所を移動するつまり逃げるか
耳栓などをつかった個人的防御しかないようだ。
奥武蔵のダム湖の傍にバイクを止めて付近の山を歩いてきた。里では枯れてしまったが
山の上ではちょうど桜が見ごろを迎えていた。
山桜と萌えたばかりの淡い新緑が良くあっている。
山道を標高にして300mほど更に登って行った。この辺りは思ったより桜の木が多いことに気付く。
ミツバツツジも同時に咲いている
ヤマザクラというのは山に咲く桜という意味ではなく、桜の一つの品種名なのだと知ったのはつい最近だ。
野生種の桜の一つで、花と赤茶色の葉が同時に開花するのがヤマザクラ。
随分高度を上げてきて、植相も変ってきた。この辺ではキイチゴが咲きだしたばかりだ。
これはヤマネコヤナギの花。ニホンザルが花を食べることからサルヤナギの名もあるとか。
雪が解けたばかりの山の斜面にはハシリドコロが花を咲かせていた。これは猛毒。
コバイケイソウも大きな葉になっていた。
枯れ枝の中から顔をのぞかせていたヒナスミレ。花弁の皺がまだ取れていない、
文字通りの雛のスミレだ。
ちょっと湿り気のあるところにはネコノメソウが群生していた。
思いがけなくも嬉しい、よく見るとコガネネコノメソウのようだ。
すぐ近くにはたヒメレンゲ。この花も最盛期には輝くような花を咲かすのだが……。
スーッと飛んできて地面に止まったのは、ミヤマセセリの♀
やっと本日の目的地まで登ってきたが、お目当てのアカヤシオには残念ながら間に合わなかった。
あまり花が残っていず、また残っている花もやや退色気味だ。
もう一週間ほど早く来るのだった。ここ10年ほどで5,6回訪れているのだが、ちょうど見ごろの時期に
来れたのはたった一回きりしかない。
しかも残念だったのはアカヤシオだけではない。その下に咲くイワウチワも終わりかけていた。
それでもせっかく来たのだからと崖にしがみつきながら、株を踏まないようにと気を遣いながら
なんとか見られる花を数枚撮った。
最近では奥多摩や奥武蔵の低山(千メートル位)で、アカヤシオやイワウチワの咲くところはずいぶん
少なくなってしまった。せめてここはいつまでも残されてほしいのだが……。
白花もある。
遠くを眺めると、山は幾重にも重なり薄青い靄の中へと消えていた。
風が火照った体を冷やしてくれて心地よかった。暫く風に身をさらして時を過ごした。
この辺で。