ロイター板の日記 -CCV-

若人のみんな、俺を踏み台にしろ。
3流私大文系卒、40歳過ぎ商社勤務の窓際営業マンの雑記。

「二つの祖国」 山崎豊子

2006年02月17日 | 読書
3巻を(上・中・下巻)1年近くに渡って読み続けて、やっと読了。
読み途中で数ヶ月の空きを作ったり、裁判のやりとりについては斜め読みとなったりとずいぶん乱暴な読みっぷりになってしまった。

山崎豊子作品では「不毛地帯」(全4巻)を読んだが、そちらは2、3週間で読んでしまった記憶がある。
それに比べ、二つの祖国は話がやたらに重い。。
敗戦・日系人差別・原爆・東京裁判。
読んでて、憤りを感じることばかりだ。
それにくわえて登場人物にもムカつく奴が多くて困るし、東京裁判にかかると政治的な背景が複雑で読むのが苦痛だったかな。
しかし、不毛地帯より思うことはたくさんあった。

・東京裁判について
この本を読み東京裁判についての詳細を知った。
国際法がこれほどまで無視され、戦勝国側の思惑だらけの裁判になっていることに驚かされる。
また、被告人たちの罪の擦り付け合いは日本人として恥ずかしく思う一方、東条の潔い答弁、態度には心打たれた。
この件に関しては自分でももっと深く調べてみようと思う。

・原爆について
原爆投下や、被爆症状についてはある程度の知識は持っていた。
その後の進駐軍の被爆者への対応の仕方や、活動については知らなかった。
被爆者をデータ収集のためのサンプルとしか考えていないような対応は、原爆投下自体より罪深い行為ではないだろうかと思えた。

・日系人差別
戦中・戦後の日系人の立場ということについては考えたこともなかった。
しかし、その差別については小説で書かれているだけでも陰惨なものであったが、きっと事実はもっとひどいものだったに違いない。
出生という個人では変えようのない事実から、日本・アメリカの両国民から疎まれ、蔑まれ、裏切られる。
自分達にまったく非がないのに不当に扱われることに、もし自分だったら耐え切れただろうか?読んでいてやるせない気分になった。。

もっとたくさん細かく書きたいがBlogなのでここまで。
最後に作者・山崎豊子さんの取材と研究はすごいなぁと取材一覧・参考文献一覧を見て感心した。

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