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読んだ本の感想と旅行の日記を書いていきます。
後、その他なんかあれば・・・

111冊目:「SEからコンサルタントになる方法」

2013-07-29 16:17:37 | 
総評:★★★★☆ タメになった。
面白い度:★★★☆☆ なかなか面白かった。
読みやすい度:★★★★☆ 業界人としては全然分かりやすかった。
ためになる度:★★★★★ 結構タメになった。
また読みたい度:★★★★☆ 活動前にさらっと。


今までに読んだ本で、ITコンサルになりたいと結構考えるようになり、そのままタイトル通りのことをするにはどうすればいいのかを知るために読んでみた。

とりあえず、業界の給与体系だとか、成果主義とか、プロジェクトマネジメントスキルが必要だとか、提案、営業スキルも必要だとか、そういった今までも色々書いてあったことが書かれていた。
今回の本は、なかなか具体的な事例とかドキュメントとかが載っていたので、結構分かりやすくて良かった。
またSEからITコンサルになるには、やはり業務として似通ったものがあるので、かなり親和性が高く、
ITコンサルタントはSEに比べて、全体的に仕事がハイレベルになるという印象を持った。


そんなんで、最後にタメになると思った部分を抜粋する。
・コンサルタントなるための重要なコツ
 -何事にもスピードを重視する
 -オリジナリティにこだわらない
 -できるだけ相手に合わせる
 たとえ、どんなに価値のあるアウトプットができたとしても、タイムオーバーでは意味がありません。また、独自性や自分のスタイルをクライアントに押しつけても、円滑な交渉はできません。
 この3つを常に意識していると、コンサルタントとしてのスキルを身につけるときに役立ちます。

・たとえ業務知識が不十分でも、次の姿勢でクライアントにかかわることがコンサルタントには求められます。
 -少しでも速く、効率的に情報を収集・整理する。
 -インプットに対して、自分なりの客観的な考えができる。
 -成果を創出していく過程で、相手に気づきを与え、自然に相手をレベルアップさせる。

・コンサルタントになりたいと思っているSEがいまのうちに身につけておくべきだと私が考えるのが次のようなものです。
 -タイムマネジメントスキル
 -アウトプットスキル
 -ドラフトライティングスキル
 -こだわり
 -外見を振る舞い
 -長所の磨き方
 -短所の克服法

・コンサルタントにとって、非常にまずいのは、「正確でない=間違ったことを言う」ことです。
 クライアントが公開されている情報は「コンサルタントならば知っていて当たり前」と思っている可能性が非常に高く、今後の信頼関係構築にかかわります。また、公開情報を押さえておかないと「今後出す予定のアウトプットの正確性」と「アウトプットの創出スピード」の両方において損をしてしまいます。

・報告書は報告直前につくるのではなく、会議後にドラフトにしておく

・プロジェクトが抱えるトラブル
 ①マスタスケジュール・プロジェクト計画が形骸化
 ②スキル不足の要員構成
 ③リーダーシップの欠如
 ④契約体系の不備
 ⑤経営センスの欠乏

・私は「品質&納期vs.コスト」という天秤でバランスをとるようにしています。つまり、「コスト増を受け入れてでも、品質や納期の達成を死守しよう」「コストが膨らまないように品質や納期の変更(基本的には下方修正になりますが)を妥結しよう」という考え方です。
 しかし、最近では、「品質」「コスト」「納期」がまとめて論じられる風潮がありますので、交渉するにも骨が折れます。最初に「コストは”品質”と”納期”が妥結してからの交渉になるので、まずは、”品質”vs.”納期”をどうするか考えましょう」とアドバイスしていますが、納得してもらうのも一苦労です。
 一度「ボタンを掛け違えて」しまったら、品質と納期の両方を(少なくとも当初通りのコストで)リスケジュールして達成するということは、「基本的に不可能」です。ですので、どんなときでも「品質&納期vs.コスト」の天秤で考え、常に最優先事項を明確にしてください。

・プロジェクトの7つのリスクレベル
 レベル1 ・・・ 危惧(プロジェクトに危機感がある)
 レベル2 ・・・ 予兆(トラブルの兆候がある)
 レベル3 ・・・ 認知(関係者からトラブルプロジェクトと認識されている)
 レベル4 ・・・ 苦情(外から正式なクレームが発生している)
 レベル5 ・・・ 迷走(立て直す意志はあるが、立て直しの見込みがつかない)
 レベル6 ・・・ 腐敗(破綻しかかった状態であり、士気が皆無)
 レベル7 ・・・ 破綻(すでに破綻しており、訴訟寸前)

・オリエンテーションで新メンバーに覚えてもらう項目
 基本項目 ・・・ プロジェクト名称、プロジェクトの目的、プロジェクトにおける当社の役割と想定成果、プロジェクトのマスタープラン(スケジュールと重要マイルストーン)、新規メンバーに求める役割と期待成果、当面のアサインメント期間
 暗黙の了解 ・・・ クライアントと当社の関係(過去の取引履歴や今回の受注経緯)、プロジェクトマネージャー・リーダーは誰か、そのほかのキーパーソンのプロファイリング、プロジェクトで活動するための心得
 協力会社として振る舞ってもらう場合の委託元情報 ・・・ 企業名称、代表者名(社長と創業者)、社員数、所在地(親会社があればそこの所在地も含む。親会社が海外であれば州市まで覚える)、代表電話番号、基本ビジネス内容(サービス、ソリューション、取り扱い製品)、オフィスレイアウト(広さ、風景など)、その他の会社案愛、掲載事項(モットーやビジネスモデル)、最近の取引実績

・プロジェクトマネジメントにおいて、課題管理は重要な要素です。「課題管理ができない人は上手にプロジェクトマネジメントができない」といっても過言ではありません。
 プロジェクトマネジメントする際、プロジェクト計画の不備、そのなかでもとくにリソース不備を最重要課題として管理していく必要があります。しかし、プロジェクト計画の不備に着目して上手に課題管理できる人はあまりいません。

・コンサルタントを査定するための絶対評価と相対評価
 -RATING
  定量的・定性的両方の視点から、定められた評価基準に従っての対象個人の絶対評価。
 -BANDING
  対象全被評価者を議論のテーブルに並べて相対評価を行い、その会社規定の「評価スケール(BAND)」内で順序を並べ替える。評価スケールは「S/A/B/C/D」などのカテゴリに分けられる。

・選ばれる職務経歴書の6つのポイント
 ①最初の1枚でほとんど勝敗が決まる
 ②最初に長所と特徴をアピールする
 ③職歴は「新しい順」に時系列に各
 ④プロジェクトの成否よりも「自分がどう貢献したか」が大事
 ⑤たくさん書けばいいわけではない
 ⑥あくまで企業のニーズに合わせて書く


書きすぎた・・・(^-^;)
とりあえず、ここまで具体的に書いてあって良かったという事です。
そんなんで、本気で活動を始める前にもう一回読んでおきたいと思う。

110冊目:「日本中枢の崩壊」

2013-07-16 00:13:02 | 
総評:★★★☆☆ 国の崩壊を感じた。
面白い度:★★☆☆☆ 面白いわけではない。
読みやすい度:★★☆☆☆ 難しい内容もある。
ためになる度:★★★★☆ 色々ためにはなった。
また読みたい度:★★★☆☆ 気になった部分は読み返したい。


元経産省の官僚である古賀茂明さんが、退官する前に書き残した一冊。

古賀さんは2~3年くらい前に初めて知った。
あるテレビ番組に出ていて、官僚に対して警鐘を鳴らしているコメントをしていた。そこでの発言がとても的確で、質問に対する応対などもとても感じが良かったので、一瞬にしてファンになってしまった。

そんな古賀さんが官僚の闇や困った慣習を公然と批判したのがこの本である。
元官僚がここまでいうんだ!くらいの爽快感がある。
おそらく古賀さんは官僚という組織に縛られず、本当に日本を良くしようと思ってこういうことを言っているのだと思う。
そして官僚時代にそういうことを行ったからこそ、今退官しているのでもあるが。

でもこの人は本当に信用していい人だと思うし、こういった人が日本にもっといてほしいと思う。


この本を読んでみて、本当に官僚って困った組織だと思う。
天下り、減らない給料、逆にどんどん年功序列で上がっていき、天下り先では今までのキャリアに見合った給料が保障される。
天下り先で何をしているの分からず、本当に使える人かも分からず、こんな人たちが公然と税金から高い給料をもらっている。

明らかに税金の無駄遣いだと思う。
こういった天下りや年功序列を排し、本当に必要な組織だけにし、実力に見合った給料を与えるようにすれば、税金も大きく余剰が生まれると思うし、そもそも消費税増税なんてものはいらなくなると思う。

というかこういうことなんて、今の民間企業であり得るはずがない。
国として借金、赤字を垂れ流している現状では、民間企業だったら普通に倒産しているはずだし、そうでなくても大幅なリストラなどで財務整理をしているはずである。

そんな状況がまかり通っている日本では、この先滅びるのも時間の問題ではないかと思う。
そもそも日本を支える官僚の構造が本当にあるべき姿に即していない時点で、すでに日本の中枢が崩壊しているのだ。というのがこの本。

本当に日本の将来が不安になったし、革命的なことでも起こらない限り、今の日本が蘇るすべはないのではと思う。

そんな危機感を植え付けられた本でした。
古賀さんは官僚という職を追われるように辞めて行ったが、本当にこれからも頑張ってほしいと思う。
こういう正しい人が報われないなんて本当に間違った世の中だと思う。


最後に興味深かった箇所について抜粋する。

・国税庁はその気になれば、普通に暮らしている人を脱税で摘発し、刑事被告人として告訴できるのだ。あるいはそこまで行かなくても、国税庁の査察が入るということになれば、相当な恐怖感を抱かせることができるのだ。
 ましてやカネの流れが不透明な政治家は国税庁が怖い。だから国税庁を管轄する財務省には刃向かえない。
 国税庁は、マスコミを牽制するためのツールとしても大いに力を発揮する。霞が関に対して批判的なフリーのジャーナリストを黙らすのは、その気になれば簡単だ。国税庁が査察に入れば、いくらでも埃は出てくる。

・法務省のキャリア組には、自分たちの天下り先を増やそうなどというよこしまな考えはない。法務省で刑法の改正などを担当するのは、司法試験に合格した検事が中心で、法務省を退官しても弁護士になる道があるので、天下り先を作る必要などないからだ。
 自立できる道があるかどうかで、行いは変わってくる。普通の役所のキャリアが省益のために働くのは、結局、最後は役所の世話にならないと生きていけないからだ。

・霞が関の官僚組織は日本最高の頭脳集団で、彼らに任せておけばなんとかしてくれるという幻想を抱いている国民が、まだいる。もはや、こんな幻想は百害あって一利なしである。公務員制度改革や経済再生を進めるに当たっては、公務員は公正中立で優秀だという前提を捨ててかかるべきである。

・日本経済の長期的な先行きを見ても、明るい材料はほとんどない。経済成長を促す三大要素は、人とカネと生産性である。人口が増えている国では、その分消費が伸びていくし、労働人口も増加していく。

・リスクを取らず、いまある生活を防衛することだけを考えている日本人が多くなった。日本人に縮み志向の思考回路が定着しつつあるのは、リスク恐怖症に陥っているからだ。あたかも、リスク回避という官僚の習慣がウィルスとなって霞が関にばら撒かれ、日本人全体に感染したかのような感がある。
 だが、リスクを恐れてチャレンジしなければ、明日は拓けない。逆に言えば、リスクを怖がらなければ活路は開ける。


そんな感じの、色々考えさせられた本でした。