総評:★★★★☆ どこか変わった感じのする一冊、印象はかなり残る
面白い度:★★★☆☆ 面白さという点では普通だが、意外性があった
読みやすい度:★★☆☆☆ 難しい方だと思う
ためになる度:★★★☆☆ とくにはならなかったので、普通
また読みたい度:★★★★☆ 短いのでもう一回読んでみたい
ツルゲーネフの名著。
久しぶりに小説に帰ってきました。
16歳の青年であるウラジミールは、越してきた別荘の隣人である21歳のジナイーダに恋をしてしまう。
ジナイーダは男を魅了するような活発な性格で、その他にも何人かの男がジナイーダに恋をしており、連日その取り巻きの男たちと遊んでいた。主人公もその一人だったが、ジナイーダは誰にも気のある素振りをしたり、一方気のない素振りだったり、男たちを惑わせ、ある特定の一人を選ぼうとはしない。
ウラジミールはそれを不思議に思い、また心患いながらもジナイーダにアプローチする。
若いウラジミールはこれが初恋で、世間というものを知らない。
時には取り巻きの男に意味深な忠告を受けたりもするが、その意図が分からなかったりする。
ある時、ジナイーダは何か元気がなく、いつもと違う一面を見せる時があった。その時、ジナイーダはウラジミールを含む取り巻きの男たちに、何か暗示のようなお話を聞かせる。
ウラジミールはその暗示が気がかりとなり、話にあった時間にある場所で待ち伏せをした。
そしてその時見たのは。ジナイーダと、ウラジミールの父だった。。。
というちょっと変わった感じの奇妙なお話。
「はつ恋」というタイトルの通り、16歳の若い青年の初恋が描かれ、青春時代に感じる甘い恋の初々しさとどこか不安定な感じや、その初恋ならではの心の痛みが伝わってくる。なんか新鮮な感じがする小説であった。
主人公は初恋ということで、ジナイーダに恋をしながら、恋をするとはこういうことだと分かってくるし、自分でも予測できないような突飛な行動に出たりする。
そういった自分の変化に色々な発見や学びをしていく。恋を定義できたり、恋について難しく考えることもするが、最終的には、ジナイーダが恋をしていた(いる)ことが分かる。
最後に彼女が行った行動で、「これが恋というものなのだ」と分かり、何か自分の中に大きな確信が芽生える。
主人公の痛みを通じて得た成長の物語。どこか陰がありながら、それでいてどこがさわやかな、青春の感じがするちょっと変わった小説でした。
2回目とかを読むと、登場人物の心の動きとか、もうちょっと新しい発見があるかもしれない。
ちなみに詳しいことはwikipediaに書いてあります(笑)。
実は自分はちょっと読み違いをしていて、wikipediaを見て初めてこの物語の核心が分かりました。
海外文学ながらも、どこか詩的な感じのする美しい文体で、それがこういったちょっと変わった印象を残すのかもしれないなぁと思いました。
最後に、興味深かった部分を抜粋する。
・「取れるだけ自分の手でつかめ。人の手にあやつられるな。自分が自分みずからのものであること―――人生の妙趣はつまりそこだよ」と、ある時父は私に語った。
・びくびくすることはないです。肝心なのは、しゃんとした生活をして何事によらず夢中にならないことですよ。夢中になったところで、なんの役に立ちます?波が打ちあげてくれるところは、ろくでもない場所に決まってますよ。人間というものは、たとえ岩の上に立っているとしても、やはり立つのは自分の両足ですからなあ。
・ああ、青春よ! 青春よ! お前はどんなことにも、かかずらわない。お前はまるで、この宇宙のあらゆる財宝を、ひとり占めにしているかのようだ。憂愁でさえ、おまえにとっては慰めだ。悲哀でさえ、お前には似つかわしい。――省略――・・・ひょっとすると、お前の秘密はつまるところ、一切を成しうると考えることができるところに、あるのかもしれない。ありあまる力を、ほかにどうにも使いようがないので、ただ風のまにまに吹き散らしてしまうところに、あるのかもしれない。
最後の引用長かったなぁ・・・以上☆
面白い度:★★★☆☆ 面白さという点では普通だが、意外性があった
読みやすい度:★★☆☆☆ 難しい方だと思う
ためになる度:★★★☆☆ とくにはならなかったので、普通
また読みたい度:★★★★☆ 短いのでもう一回読んでみたい
ツルゲーネフの名著。
久しぶりに小説に帰ってきました。
16歳の青年であるウラジミールは、越してきた別荘の隣人である21歳のジナイーダに恋をしてしまう。
ジナイーダは男を魅了するような活発な性格で、その他にも何人かの男がジナイーダに恋をしており、連日その取り巻きの男たちと遊んでいた。主人公もその一人だったが、ジナイーダは誰にも気のある素振りをしたり、一方気のない素振りだったり、男たちを惑わせ、ある特定の一人を選ぼうとはしない。
ウラジミールはそれを不思議に思い、また心患いながらもジナイーダにアプローチする。
若いウラジミールはこれが初恋で、世間というものを知らない。
時には取り巻きの男に意味深な忠告を受けたりもするが、その意図が分からなかったりする。
ある時、ジナイーダは何か元気がなく、いつもと違う一面を見せる時があった。その時、ジナイーダはウラジミールを含む取り巻きの男たちに、何か暗示のようなお話を聞かせる。
ウラジミールはその暗示が気がかりとなり、話にあった時間にある場所で待ち伏せをした。
そしてその時見たのは。ジナイーダと、ウラジミールの父だった。。。
というちょっと変わった感じの奇妙なお話。
「はつ恋」というタイトルの通り、16歳の若い青年の初恋が描かれ、青春時代に感じる甘い恋の初々しさとどこか不安定な感じや、その初恋ならではの心の痛みが伝わってくる。なんか新鮮な感じがする小説であった。
主人公は初恋ということで、ジナイーダに恋をしながら、恋をするとはこういうことだと分かってくるし、自分でも予測できないような突飛な行動に出たりする。
そういった自分の変化に色々な発見や学びをしていく。恋を定義できたり、恋について難しく考えることもするが、最終的には、ジナイーダが恋をしていた(いる)ことが分かる。
最後に彼女が行った行動で、「これが恋というものなのだ」と分かり、何か自分の中に大きな確信が芽生える。
主人公の痛みを通じて得た成長の物語。どこか陰がありながら、それでいてどこがさわやかな、青春の感じがするちょっと変わった小説でした。
2回目とかを読むと、登場人物の心の動きとか、もうちょっと新しい発見があるかもしれない。
ちなみに詳しいことはwikipediaに書いてあります(笑)。
実は自分はちょっと読み違いをしていて、wikipediaを見て初めてこの物語の核心が分かりました。
海外文学ながらも、どこか詩的な感じのする美しい文体で、それがこういったちょっと変わった印象を残すのかもしれないなぁと思いました。
最後に、興味深かった部分を抜粋する。
・「取れるだけ自分の手でつかめ。人の手にあやつられるな。自分が自分みずからのものであること―――人生の妙趣はつまりそこだよ」と、ある時父は私に語った。
・びくびくすることはないです。肝心なのは、しゃんとした生活をして何事によらず夢中にならないことですよ。夢中になったところで、なんの役に立ちます?波が打ちあげてくれるところは、ろくでもない場所に決まってますよ。人間というものは、たとえ岩の上に立っているとしても、やはり立つのは自分の両足ですからなあ。
・ああ、青春よ! 青春よ! お前はどんなことにも、かかずらわない。お前はまるで、この宇宙のあらゆる財宝を、ひとり占めにしているかのようだ。憂愁でさえ、おまえにとっては慰めだ。悲哀でさえ、お前には似つかわしい。――省略――・・・ひょっとすると、お前の秘密はつまるところ、一切を成しうると考えることができるところに、あるのかもしれない。ありあまる力を、ほかにどうにも使いようがないので、ただ風のまにまに吹き散らしてしまうところに、あるのかもしれない。
最後の引用長かったなぁ・・・以上☆