胃生検の小部屋 Cottage for Gastric Biopsy

胃生検からはじまる消化管病理の美しい世界

食道色素研究会

2008-12-07 | 研究会、学会
 第60回食道色素研究会が日本橋近くでありました。写真は師走の東京です。
「EMR/ESD後、リンパ節あるいは他臓器再発を来たした表在型食道扁平上皮癌」という主題で、示唆に富む演題が14題あり、大変勉強になりました。
 pT1a(MM), pT1b(sm1)癌で転移を予測するのは大変困難ですが、病理医として必ず着目し、記述しておく点は以下のようなものでしょうか。

ly, v因子は? m3, sm1がん症例にはD2-40やVB-HE等が必須!
浸潤様式は? INFb or INFc、腫瘍下縁の不整、down growth, 小胞巣状浸潤
分化度だけではなく、細胞異型も
内分泌細胞癌・小細胞癌への分化の有無
上皮下進展:非腫瘍部の上皮下に浸潤する腫瘍巣の有無と程度
mm浸潤面の広さ
癌の厚み
血管増生、血管走行異常
導管内進展か浸潤か? 特染してみよう(CK7, CK14, α-SMA, 高分子ケラチン、D2-40等)。導管内(食道腺腺房内)に取り残しはないか?

追記:食道腺導管の筋上皮細胞~基底細胞がα-SMA~CK14に染まるという性質を利用して、食道癌が導管内に進展した場合、縁にそのような細胞が残存しているか否かを見ることが導管内進展の診断に役立つ、ということだと思います。

(病型としては、今回の検討では0-IIc要素のあるものが多く、特に陥凹部に結節状の隆起があるとか、IIcの辺縁が隆起しているものが危ないことが再認識された、と言われていました)

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