胃生検の小部屋 Cottage for Gastric Biopsy

胃生検からはじまる消化管病理の美しい世界

ROMの病理組織所見, 自己免疫性胃炎(AIG)

2024-07-26 | 胃炎
自己免疫性胃炎を内視鏡的に診断する指標として残存胃底腺(remnants of oxyntic mucosa: ROM)が注目されています。ROMと萎縮が進んでいる粘膜とのちょうど境目から生検された組織像です。

ちょっと拡大をあげてみました。

写真の左側が進行最盛期(florid phase)に相当する萎縮領域です。わずかに壁細胞が残っていますが、偽幽門腺化生進行中で、深部優位に高度のリンパ球浸潤がみられます。逆に腺窩上皮は過形成性です。
写真の右側がROMに相当する、あまり萎縮していない胃底腺粘膜です。壁細胞と主細胞の層構造が残っていますが、偽肥大を示す壁細胞が深部まで分布しています。弱いリンパ球浸潤が全層性にみられます。初期のAIG相当です。

何が言いたいか?「AIGの炎症・萎縮は不均等に分布・進行するのです」


聖地巡礼”JR北海道苗穂工場(旧国鉄苗穂機関区)”(写真クリック)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

パラフィンブロック全部乗せ【胃がんバイオマーカー検査】

2024-07-04 | 胃癌全般
パラフィンブロック全部乗せ胃がんバイオマーカー検査

HER2検査を生検組織で行う場合、5個以上生検することで切除検体との陽性率が一致すると報告されています。
パラフィンブロックが、2個とか3個ずつに分かれている場合、できるだけ”全部乗せ”をすることが望まれます。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

Claudin 18 (CLDN18) vs. Mucin (MUC5AC, MUC6)

2024-07-02 | 胃癌全般
Claudin 18 (CLDN18) と胃粘液マーカーの対比
( por2>>tub2, Poorly cohesive carcinoma )

写真の右上に非腫瘍性の腺窩上皮(過形成あり)(MUC5AC+)と幽門腺(MUC6+)がみられます。
それ以外は癌で粘膜内がtub2、深部浸潤部はpor2です。CLDN18の方が”胃型”細胞を広く拾い上げていますね。CDX2は少々発現してましたが、MUC2は陰性。


- CLDN18
上皮細胞と内皮細胞のタイトジャンクションに存在する膜貫通タンパク質Claudinファミリーのひとつ。CLDN18には2種類のスプライスバリアントが存在(CLDN18.1およびCLDN18.2)。CLDN18.1はII型肺胞上皮細胞、CLDN18.2は胃上皮細胞(の全て)で発現します。胃癌や膵癌において、CLDN18.2の発現が認められます。CLDN18(43-14A)はCLDN18.1 と CLDN18.2 の両方を検出しますが、胃粘膜では CLDN18.2 が発現します。
- MUC5AC:胃腺窩上皮に染まります。
- MUC6:頸部粘液細胞、幽門腺、ブルンネル腺に染まります。



大日ヶ岳(岐阜県)の”胸突き八丁”にて(写真クリック)。ジジイには厳しい。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする