胃生検の小部屋 Cottage for Gastric Biopsy

胃生検からはじまる消化管病理の美しい世界

胃と腸大会

2009-05-21 | 研究会、学会
 胃と腸大会が中部地方でありました。簡単に記録しておきます。
1) 特殊型食道がんとメラノサイトの増加が併存
2) バレット食道がん
3) 特殊な胃十二指腸炎・潰瘍
4) 消化管アミロイドーシス
5) 胃・直腸のMALTリンパ腫
 次回は東京の早期胃癌研究会でお会いしましょう。

(中部地方といえば富士山ですね。B737-400の窓から撮りました。雪が乗った襞の一本一本が読めます。)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

endocrine cell micronest, ECM, A型胃炎

2009-05-21 | 胃腫瘍様病変
 A型胃炎と思われる体部腺領域の胃生検組織です。Gastrinも「高値」の範疇でした。内分泌細胞(たぶんECL細胞)の増生がわかると思います。
 イタリアの大先生は
  hyperplasia: micronodular clusters, 5 or more cells
  adenomatoid hyperplasia: 5 or more micronodules
  dysplasia: 150μm - 0.5mm
  neoplasia > 0.5mm or intramucosal invasive
(adenomatoid hyperplasiaとかdysplasiaとかいう用語は...)
 本邦からの有名な論文とGIPaCでの耳学問では、A型胃炎などで萎縮した胃底腺粘膜をみて内分泌細胞の集簇巣を、おおよそ0.1mm、0.1-0.5mm、0.5mmを境にECM、microcarcinoid (neoplastic ECM)とcarcinoidに分類し、0.1mmより小さくてもcarcinoid-like structureやatypiaがあればneoplastic ECMとするのがよいのでしょうか。
 A型胃炎といっても、H. pylori胃炎が重なっていたり、PPIを常用されている方であったりすると複雑になってきます。特に生検では切れ方によってnestの大きさは随分変わってきます。内視鏡的には明らかな腫瘍がなくても、ECMがあるところはないところに比べて発赤しているきれいな写真を見せてもらったことがあります。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

十二指腸濾胞性リンパ腫

2009-05-18 | 小腸腫瘍
 十二指腸のfollicular lymphomaです。最近、内視鏡像と共に注目されていますね。私も検鏡する機会が増えました。本例も免疫染色でCD20+,bcl-2+,CD10+,CD3-,CD5-,cyclin D1-とt(14;18)等が証明されています。今後MALTリンパ腫との関連の研究が興味深いところです。
 絨毛が膨らみ、粘膜固有層の先っぽまで小型リンパ球が密に存在することが重要な診断根拠であると、このところよく言われています。
 「腸の粘膜では生理的に形質細胞が表層優位に分布する」ということを知っていると、十二指腸FLのみならず種々の腸炎の組織像を理解するのに役立つと思います。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

宮崎消化器内科セミナー

2009-05-16 | 研究会、学会
 第4回宮崎消化器内科セミナーがありました。
「胃癌の組織発生と病理診断」
「自己免疫性肝疾患の話題」
という特別講演がありました。消化管からは離れますが、自己免疫性肝疾患の診断と経過観察において腹腔鏡によるマクロ観察と生検組織診断が今もなお重要であることを聞き感銘を受けました。AIHとPBC, AIHとC型肝炎の合併例など貴重な症例が呈示されていました。前者のテーマにつきましては、今年の胃と腸第4号をご覧下さい。学術交流会では九州で有名な幽門腺型腺腫の症例を見せていただきました。

写真は35年ぶりに訪れた日豊本線、大淀川鉄橋(宮崎・南宮崎間)です。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

消化管病理医の会、GIPaC/GIPC、日本病理学会

2009-05-10 | 研究会、学会
 日本病理学会のコンパニオンミーティングとして消化管病理医の会が宝が池でありました。早期食道癌と炎症性腸疾患の生検診断がテーマです。予想をはるかに超える大盛況で、Dr. FiftyStormの努力の賜物です。
(1) 以前にこのブログでも紹介していますが(「食道腫瘍」のカテゴリから入って下さい)、我らがGIPaC代表の恩師は食道早期癌の病理組織診断基準は「核の大小不同、核・細胞質比の増加、およびoblique line or lateral invasionであるとし、付加条件としては、細胞形態の多様化、基底細胞列の乱れ、上皮の乳頭状突出、上皮内角化が認められる」と述べておられます(1985)。現在、GIPaC代表が強調されているのは
 ・基底細胞配列の乱れ
 ・核の大小不同
 ・Oblique line
 ・紡錘形細胞の出現
です。これに乳頭状下方進展が加わります。伊豆の守先生と横這い派先生から症例提示がありました。
(2) Dr Curryによる炎症性腸疾患の生検診断のレクチャーでした。
まずは
 ・Distortion
 ・Basal plasmacytosis
です。詳しくは去年の病理と臨床8月号先生編集「大腸の炎症性疾患 -積極的病理組織診断を目指して-」を読みましょう。


(写真は夕方の有楽町でとらえた500系です。有名な撮影ポイントです。)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする