12月度の早期胃癌研究会が二重橋の近くでありました。写真は翌朝、東京駅の上からみた神田、秋葉原方面です。
(1) 直腸のIIa+IIc / LST-NG pseudodepressed typeです。レントゲンで硬化像がみられるようです。病理学的にはsproutingとdesmoplasiaの目立つ粘膜下層浸潤癌です。粘膜筋板のとり方で、浸潤距離が200-300μmか、1200μmになるか問題となりますが、筋板がこれだけ断裂・消失しておれば後者の方がよいだろうということです。
(2) (1)と同じような直腸病変ですが、中央部に白苔が乗っています。高分化主体のadenocarcinomaですが、広い範囲で筋板が追えなくなり、粘膜下層浸潤があります。辺縁に残った粘膜筋板から延長して仮想粘膜筋板からの浸潤距離は150μmですが、表層から測定すると1500μmになります。
(1)(2)とも表層部には固有層を伴う粘膜病変らしきところもあり、色々議論は尽きないのですが、これまで蓄積されたデータに基づいたガイドラインにしたがって、表層から浸潤距離を測定するのがよいかと拝察しました。粘膜下層浸潤を深く読まれた画像所見もそれを反映しているように思いました。
(3) 粘膜下腫瘍様の発育を示す胃未分化型癌です。胃角小弯が固く、コの字の変化、二重輪郭がみられ、台形状の厚ぼったい3型と読めるそうです。病理学的には粘膜層が印環細胞癌、粘膜下層以深がpor2というパターンで、局所的スキラスですが、(1)(2)の大腸がん症例と異なって広い範囲で粘膜筋板が保たれていました。原発巣が問題となり、原発部位を示唆する粘膜層内で印環細胞癌の層構造が保持された領域は狭く、粘膜下層に浸潤したがん細胞が粘膜内に逆噴射した領域の方が広いのではないかという推察がなされました。
(4) 胃体下部前壁にある粘膜下腫瘍で、症状の出現とともに病変が増大した症例です。異所性膵が膵炎を起こし、偽のう胞を形成したという、大変希少な症例でした。
(5) 食道バレット腺癌で、全周性にESDされた症例です。いつものように見事な症例提示でした。分化型腺癌ですが、主病変ではCD10が染まる小腸型のところと、胃優位型の領域がありました。5mmほどの副病変(胃型)が同時多発していましたが、病理医の間で良悪性の意見がわかれました。
では次回お会いしましょう。
追伸:運営幹事会で、来年度のミニレクチャーは「病理で・・・」という空気になり、病理の講演が数回予定されています。病理の話になるとトイレや喫煙に立つ方も多いという意見もありましたが、臨床診断に直接役立つ内容を企画中、とのことです。
(1) 直腸のIIa+IIc / LST-NG pseudodepressed typeです。レントゲンで硬化像がみられるようです。病理学的にはsproutingとdesmoplasiaの目立つ粘膜下層浸潤癌です。粘膜筋板のとり方で、浸潤距離が200-300μmか、1200μmになるか問題となりますが、筋板がこれだけ断裂・消失しておれば後者の方がよいだろうということです。
(2) (1)と同じような直腸病変ですが、中央部に白苔が乗っています。高分化主体のadenocarcinomaですが、広い範囲で筋板が追えなくなり、粘膜下層浸潤があります。辺縁に残った粘膜筋板から延長して仮想粘膜筋板からの浸潤距離は150μmですが、表層から測定すると1500μmになります。
(1)(2)とも表層部には固有層を伴う粘膜病変らしきところもあり、色々議論は尽きないのですが、これまで蓄積されたデータに基づいたガイドラインにしたがって、表層から浸潤距離を測定するのがよいかと拝察しました。粘膜下層浸潤を深く読まれた画像所見もそれを反映しているように思いました。
(3) 粘膜下腫瘍様の発育を示す胃未分化型癌です。胃角小弯が固く、コの字の変化、二重輪郭がみられ、台形状の厚ぼったい3型と読めるそうです。病理学的には粘膜層が印環細胞癌、粘膜下層以深がpor2というパターンで、局所的スキラスですが、(1)(2)の大腸がん症例と異なって広い範囲で粘膜筋板が保たれていました。原発巣が問題となり、原発部位を示唆する粘膜層内で印環細胞癌の層構造が保持された領域は狭く、粘膜下層に浸潤したがん細胞が粘膜内に逆噴射した領域の方が広いのではないかという推察がなされました。
(4) 胃体下部前壁にある粘膜下腫瘍で、症状の出現とともに病変が増大した症例です。異所性膵が膵炎を起こし、偽のう胞を形成したという、大変希少な症例でした。
(5) 食道バレット腺癌で、全周性にESDされた症例です。いつものように見事な症例提示でした。分化型腺癌ですが、主病変ではCD10が染まる小腸型のところと、胃優位型の領域がありました。5mmほどの副病変(胃型)が同時多発していましたが、病理医の間で良悪性の意見がわかれました。
では次回お会いしましょう。
追伸:運営幹事会で、来年度のミニレクチャーは「病理で・・・」という空気になり、病理の講演が数回予定されています。病理の話になるとトイレや喫煙に立つ方も多いという意見もありましたが、臨床診断に直接役立つ内容を企画中、とのことです。