胃生検の小部屋 Cottage for Gastric Biopsy

胃生検からはじまる消化管病理の美しい世界

リンパ球性食道炎? Lymphocytic esophagitis LyE? Lichenoid esophagitis?

2023-10-28 | 食道非腫瘍
 何度もみたことあるような組織像ですが(写真クリック!)、Lymphocytic esophagitis(LyE)という診断は日本ではあまり馴染まれていません。
 外国人病理医仲間達の会話を聞いていて、この病名がよく呟かれていたので、気になっていました。内視鏡的・臨床的にEosinophilic esophagitis(EoE)を疑って生検された検体です(胸部食道)。好酸球浸潤はほとんどなく、リンパ球ばっかりの浸潤です。しかし、見出し写真と下の写真の一枚目をみると、Civatte body??があるようにみえ、lichenoid esophagitisと言われるかもしれません。
 その他の生検像(いずれも胸部食道)です(下記、小写真クリックください)。
 はたしてdistinctな病名になるかどうか??参考文献は(PMID: 30370453)

This is an image of an esophageal biopsy as often seen in routine gastrointestinal pathology work (click on the picture!). The term of the disease "Lymphocytic esophagitis" is not very familiar in Japan.
This is the name of the disease I am concerned about, since it has been often talked about by my close foreign GI-pathologists. This specimen was biopsied with endoscopic and clinical suspicion of eosinophilic esophagitis (EoE) (taken from the thoracic esophagus). There is almost no eosinophilic infiltrate, and the infiltrate is almost all lymphocytes. If you look closely, however, it could be regarded as "lichenoid esophagitis" because of some “civatte bodies?” seen in the headline photo and in the first photo below.
Other biopsy images (also taken from the thoracic esophagus) (click on the small pictures below).
Will this be a distinct disease? For references (PMID: 30370453)






隣国の病理学会に行って来ました。大阪から2時間弱なので1泊2日です。

胃炎の成り立ち-内視鏡診断のこれまで、これから

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十二指腸の小腸型腺腫,SNADET, small-intestinal type adenoma of duodenum

2023-10-16 | 十二指腸腫瘍
十二指腸の小腸型腺腫できれいな写真が撮れました(写真クリック!)。
今や、何故か上部消化管のcommon diseaseになってきました。
SNADET (superficial non-ampullary duodenal epithelial tumor)の中で最多です。
ブルンネル腺の多い領域に発生すると粘膜内ブルンネル腺との二階建て構造、粘膜下ブルンネル腺を入れると三階建て構造になるのも特徴的です。ブルンネル腺(非腫瘍性)はしばしば反応性に過形成性変化を示します。


x10の写真です(写真クリック!)。


x20の写真です(写真クリック!)。
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粘膜内ブルンネル腺と粘膜下ブルンネル腺(鉄道記念日)

2023-10-14 | 十二指腸
 ブルンネル腺といえば十二指腸の粘膜下組織(粘膜下層)内に鎮座すると思い込んでいる方が多いのですが、粘膜筋板を挟んで上下に存在します。すなわち粘膜内にもブルンネル腺があることを忘れないでください。
 したがって、ブルンネル腺を基盤とする(ブルンネル腺由来の)腫瘍様病変や腫瘍の起点となる部位が、粘膜内ブルンネル腺か粘膜下ブルンネル腺かによって、生長(成長)後の形態が大きく変わってくるのです。
 粘膜内ブルンネル腺由来ならば、概ね粘膜内の(通常の)上皮性変化を示す病変として、粘膜下ブルンネル腺由来ならば、SMT様の形態を示すことが多いわけです。

・ブルンネル腺をいじれば胃腺窩上皮が生えてきます(胃腺窩上皮の発生母地:PMID: 1038371, 24422755)。
・十二指腸粘膜(ブルンネル腺)内には異所性胃粘膜と言えないまでも、胃底腺型細胞(壁細胞や主細胞)が散見されます(PMID: 25363622)。
すなわち、ブルンネル腺は潜在的に(粘膜内でも粘膜下でも)胃型の細胞(腺窩上皮や胃底腺細胞)に分化する能力があるのです。
->腫瘍になってもその傾向が残るわけです!



今日は鉄道の日(鉄道記念日)ですね。昭和46年京都駅にて(奈良機関区所属C58の運転席)。機関士さんのご厚意で乗せてもらいました。古き良き時代。当時国鉄奈良線にはC58牽引の荷物列車のスジがありました。
コメント (2)
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