月曜日、『クライング・フィスト』という映画の試写会に行って参りました。
90年度に東アジア大会で銀メダルを獲得した元ボクサーのカン・テシク(チェ・ミンシク)は、火災で仕事を失い、これといった技能もないため、生活のために繁華街の路上で「殴られ屋」を始める。しかし呆れた妻は息子を連れて出て行ってしまう。頼った後輩は一応住むところを世話してくれるものの、稼いだ金を持ち逃げしたり、てんで頼りにならないどころか生活は悪くなる一方。妻は子どものためにと再婚を急ぎ、テシクは妻子との縁が完全に切れてしまうのではと焦っていた。そんな折、街角でボクシング新人王戦のポスターを見たテシクは・・・?
一方、街のごろつきサンファン(リュ・スンボム)は、自分の手下が起こした傷害事件の示談金を父が肩代わりしたのを受け、その金を自分でどうにかしようと、浅はかな考えで金を持っていそうな老人を襲うが失敗、少年院に入れられる。ろくでもない自分、大して尊敬できない父親、文句を言いながらも色々世話を焼いてくれる祖母、すべてに苛立っていたサンファンは入所早々傷害事件を起こす。そんなサンファンを刑務官はボクシング部に誘う。がむしゃらなだけでは勝てないボクシングというスポーツに次第にのめりこむサンファン。そんな折、父が事故で死んだという知らせが。父のため、ひとり残された祖母のため、何かを成し遂げるため、サンファンは新人王戦を目指し・・・?
と、テシク、サンファンのそれぞれのサイドから語られるお話です。
ボクシングの話なので、結構殴りあう描写が痛いですが、それ以上にふたりの主人公を覆う閉塞感が痛いです。何とかしたい。何とかしてここから抜け出したい。ふたりともそう思って、最初はそれぞれ燃え尽きた中年だったり、手のつけられない不良だったりしたのが、ボクシングで勝つためだけに自分を特化し鍛え上げていくさまは見物です。
また、ふたりともかなりどん底のダメ人間だったのが、最終的には自分のためじゃなくて家族のために戦っているんですよね。もうダメ、こういう構図。どう転んでも泣く。しかもどちらかじゃなくて双方の側面を丹念に追っているもんだからもう・・・。
わたしは涙もろくて父と息子とかおばあと孫とか特にダメだって言ってるでしょー!・・・てなわけで、もうね、泣きました。両方頑張れ!と。
クライマックスのボクシングシーンは特に見物です。痛い描写が苦手じゃない方は是非。
ちなみにサンファン役のリュ・スンボムがなすび(タレント)に似ているのがどうにも気になりました(笑)。
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