古い話で恐縮ですが、（大抵古いけどね）波の上のソープランド街のど真ん中に『風林火山』という長崎県出身の佐藤さんの居酒屋があった。ギターのトミーの紹介で通い始めたのだけど、目的はただ一つ「鳥皮煮込み」だけで、わしらはたいてい他所で安酒かっ食らった後、打ち上げの来店。大将「またおまえらか、１人５００円のゴミ客」とたいそうな歓迎。へろへろになりながら煮込みを食らい、いつでも集まるハゲ猫達に肉のおすそ分けなど動物愛護、のほほんとカウンターにて酔っ払いの談笑。（後日解ったのはハゲ猫達、大将が熱湯で追い払うが、めげずにヤッテ来る為、熱湯直撃ハゲ頭猫と化しておった。根性あるな～）
深夜２～３時になると別の楽しみもあった。仕事上がりの風呂屋のキレイナね～ちゃんのご来店「あい！にいさんたち（僕たち２０～２２才位）ビールでも一緒に飲まんね～」「いただきま～す」「あんた達お金ないはず（図星）から、私がおぐるさ～」「わ～いわ～い」
しばし飲み屋の掟通り、詮索無しの、その場限りの、偶然の宴会に色気無し（プロってそうですよね）で明け方までぷふふ。
で、ここからが本題です。人間心理を観察するには、本能がむき出しになる状況を人工的に演出し、被験者をよ～く見ることです。つまり・・・
宵の口の宴会から酔いも回って、そろそろ男の本性というか、エロい気持ちがむくむくとりピド～君と足並みそろえてやってきたと思いねぇ。そうでなくても後輩の賢治にはつい、さっきまでキャバクラでのお色気にメロメロで今夜は暴走半島、只じゃ眠れっこねえ、ピンク妄想まだ夜は長いなど、胸の内が傍から見てとれます。これで鴨一丁上がり。
タクシーに乗り込むと間髪をいれず「賢治、お前ソープって行ったことある？」
「ありません」 「行きたい？」 「恥ずかしいですよ～」 「心配ないさ～一緒に行くさ～」
「でもお金｝ 「全部おぐるよ～」 『悪いですよ』 「心配ないからね」
ここまでくると賢治君腹をくくったようです。
「運転手さん波の上のソープ王女までお願いね」 賢治君一瞬緊張して顔が強張りました。
「よく知ってる店だし、上等 ういうい」
皆さん、バックミラーに映る賢治君の表情にご注目ください。
驚き 当惑 疑惑 受容れ 幸福感 エロモード 幸福感 など 顔がオモロ～
いよいよソープ王女に到着しました。店の真ん前に停車させます。
「ここですよ～」賢明な読者諸君は既にお気づきであろう。ソープ王女の真正面は
風林火山。ソープなんて行きません。オヤジ相手に煮込みとビール。
だまされた賢治君うなだれながらもビールをしょぼしょぼ。
人生はビターテイスト。賢治君成長願ってます。
BY チャーリーHACHI