今から2000年以上前のアジアの何処かにクリミナル王国がありました。王国のンデモッタ王子は乗馬と領土の見回りが大好きでした。小春日和のある日、いつものようにお伴をつれて領土の一部の大草原を馬の背中に揺られ、のほほんと進みます。あまりの心地よさについ、うとうとしてしまいます。
ほんの一瞬でしたが王子は眠りに落ちます。夢の中で自分が毛虫に変わり地面の餌を貪っていますと、上から雀が襲ってきてあっという間に食べられてしまいます。死んで意識を失うのですが次に意識が戻った時は不思議な事に自分が雀になったことに気が付きます。雀の楽しい生活、仲間との友情など雀の一生の1年をあっという間に過ごし、年寄り雀になって動きが鈍くなった頃、鷹に襲われて食われて、死んでしまいます。そして今度は鷹に生まれ変わります。もう、天敵は居ません。鷹として自由に大空を飛びまわり、得意の急降下を楽しみますが、ある日急降下の途中で突然気を失ってしまいます。
あ~あ、落ちる~。とその時、目が覚めます。もう少しで落馬してしまうところでした。王子は今の夢の意味を考えようとしましたが、お伴の全員が薄ら笑いを浮かべている事に気が付きます。それは王子がよだれを垂らしていたからです。慌てて口元を拭い、証拠隠滅を図りましたが周りの薄ら笑いはだんだん大きくなり、遂には王子様以外の全員の大笑いになりました。
あまりの恥ずかしさに「あ~君達全員打ち首」と命令してしまいます。家来の首が飛びまくるのを見て、最後に残った打ち首係を自分で惨殺し業務遂行。折角の人生の、生の摩訶不思議さ、輪廻、を学ぶ機会を逃してしまいましたね。乗馬中ではなく自宅の寝床で夢を見れば良かったのにね。