イブキタンポポ(伊吹蒲公英)はキク科の花で,岐阜県,愛知県,三重県,福井県,滋賀県に分布する多年生草本です.日当たりのよい山野に自生する日本産セイダカタンポポの変種です.学名はTaraxacum elatum Kitam. var.ibukiense Kitam.で,taraxacumがアラビア語(tarakhshagog=苦い草)の変形, elatum(背の高い),ibukiense(伊吹の)から,伊吹山の草丈の高い,苦い草の意.和名は伊吹山に自生するタンホポのことです.写真のように総苞が立っています.ここがセイヨウタンポポとニホンタンポポを区別するポイントです.場所は伊吹山一合目,花期は4月です.
カタクリ(片栗)はユリ科で,沖縄を除く日本全国に分布する日本固有種です.山野の林下に自生する多年生草本です.場所は伊吹山岐阜県側で,開花時期は4月です.学名はErythronium japonicum Decne.です.ラテン語erythronium(erythrons=赤)は欧州種の花が赤紫色であると,japonicum(日本の)のことから,日本産の花が赤紫色の植物の意.和名は,葉が栗の子葉(cotyledon)に似ていることによります.かって鱗茎より澱粉を取り出し片栗粉として利用されたが,現在の片栗粉はじゃがいも澱粉です.最近自生地が少なくなりました.
キバナノレンリソウ(黄花ノ蓮理草)はマメ科で,原産はユーラシア大陸北部と言われる多年生草本です.織田信長が伊吹山に薬草園を開設した際,欧州より紛れ込んで渡来した牧草です.これまで伊吹山のみ自生していましたが,最近,他の地でも見られるそうです.学名はLathyrus pratensis L.です.lathyrusはラテン語でla(非常に)+thyros(刺激される)で,この花に大変催淫性があると信じられいました.またpratensis(草原性の)から,学名は草原に生え,催淫性を有する植物の意味です.和名は黄色い花で,小葉が対生して連なっているとの意味です.場所は山頂東遊歩道,開花時期は6月です.