追憶の堕天使たち
第一話
ルシファー、ミカエルを介し私の中で感情というものが、芽吹き育って行くのが分かった。
「…僕君、遅いなぁ。」
「ミカエルさんとメガロポリスの様子を観に行くと云って、三日が過ぎた…。」
ー天空の塔・最上階ー
ガブリエルが想いにふけるころ、ルシファーとミカエルはメガロポリスではなく、天界に戻っていた。
「ミカエル。ガブリエルは順調に洗脳(せいちょう)しているようだな。」
「はい。仰せの通り、進めております。」
「そろそろ、愛が芽吹く頃かと。」
「愛か。育ませろ。」
「焦らしながらな。」
「承知致しました。」
ミカエルは胸の前に右手を当て、腰から深く頭(こうべ)を垂れ、「スー」と姿を消した。
ミカエルの気配を感じなくなるとルシファーは、天空に輝く"明けの明星"を眺めてた。
爽やかな風がルシファーの銀色に輝く長く美しい髪が、かきあげられた。
左の口角を上げ「フッ」と一息、漏らした。
「もう少し、もう少し、お待ち下さい。母上。」
「必ず、貴女(あなた)の悲願を達成致します。」
明けの明星を見つめながら、心の中で呟くルシファー。
◆◆◆◆
一足先に地上へ降りたミカエルは、ガブリエルを待たせている屋敷へ向かった。
「ガブリエル。ただいま。」
その声に笑顔が戻るガブリエルはミカエルに走り寄った。
「お帰りなさい。ミカエルさん。」
「……。」
「僕…ルシファーさんは、いっしょじゃないのですね。」
ガブリエルは、少し寂しげな顔を覗かせた。
「安心なさい。すぐに戻るわ。」
ガブリエルは、無意識に笑みを浮かべた。
「あら。ガブリエル。貴女(あなた)顔が紅いわよ。」
「熱でもあるの?風邪でも引いたかしら?」
「…ミカエルさん。私、アンドロイドよ。」
「風邪は引かないわ。」
「そうかしら?」
そう云いながらガブリエルのおでこに手の掌をあてがった。
目を「パチクリ。」させるガブリエル。
「スー。」と全身の力が抜け、スリープモードに切り替わるガブリエルは、膝から崩れるように床に倒れた。
「うふふ。」
「可愛い寝顔だこと。」
「幻影と愛を育ませなさい。」
ミカエルはガブリエルの電脳をハッキング、ネット幻影を直接、A.I回路に投影した。
ー幻夢の世界ー
蒼い薔薇が辺り一面に咲き、眩しい光が射し込む。
その一面に咲く薔薇の真ん中に「ポツン。」と純白なシルクのウェディングドレスに身を纏うガブリエルが、立っている。
眩しい光に視覚を刺激されたガブリエルは、ゆっくりと目を開けた。
「…ここは。」
「ここは何処?」
「私、ドレスを着ている…。」
「えっ!?でも、待って私、此処に居る。」
「…あれは誰?」
「あれも私!?」
こんな感覚は今までに体験した事もなく、困惑するガブリエル。
それもそのはず、電脳ではあるがA.Iが制御する人工の脳、夢を視る事などあり得ないのだ。
いや、二十四時間、フル稼働の日々と電脳=人工の脳が夢など視るはずもないと、決めつけ、そのように結びつけただけなのかも知れない。
しかし、夢とは睡眠中あたかも現実の経験であるかのように感じる、一連の観念や心像と云える。
従って、アンドロイドが、人工の脳が夢を視る事も不思議な事ではない。
夢とは、睡眠中にもつ幻覚のこと。
将来実現させたいと思っていること。
願望。願い。
視覚像として現れることが多いものの、聴覚・触覚・味覚・運動感覚などを伴うこともある。
視覚像として現れることが多いものの、聴覚・触覚・味覚・運動感覚などを伴うこともある。
通常、睡眠中はそれが夢だとは意識しておらず、目覚めた後に自分が感じていたことが夢だったと意識されるようになる。
しかし、稀にではあるが自分が今見ているものが、夢であることを自覚することが出きる場合もある。
未開人や古代人の間には、睡眠中に肉体から抜け出した魂が実際に経験したことがらが夢としてあらわれるのだという考え方は広く存在した。
「神のお告げ。 」
夢は神や悪魔といった超自然的存在からのお告げである、という考え方は世界中に見られる。
未開人や古代人の間には、睡眠中に肉体から抜け出した魂が実際に経験したことがらが夢としてあらわれるのだという考え方は広く存在した。
「神のお告げ。 」
夢は神や悪魔といった超自然的存在からのお告げである、という考え方は世界中に見られる。
古代ギリシアでは、夢の送り手がゼウスやアポロンだと考えられていた。
『旧約聖書』でも、神のお告げとしての夢は豊富に登場する。
有名なところでは、例えばアビメレクの夢のくだりなどがある。
中世の神学者トマス・アクィナスは夢の原因には精神的原因、肉体的原因、外界の影響、神の啓示の四つがある、とした。
古代の北欧でも、やはり人々は夢解釈に習熟しており、ある種の夢に関しては、その解釈について一般的な意見が一致していたという。
古代の北欧でも、やはり人々は夢解釈に習熟しており、ある種の夢に関しては、その解釈について一般的な意見が一致していたという。
たとえば、白熊の夢は東方から嵐がやってくる予告だ、と共通の認識があったという。
ネイティブアメリカンの一部の部族には、夢を霊的なお告げと捉え、朝起きると家族で見た夢の解釈をし合う習慣がある。
古代ギリシャにおいて夢は神託であり、夢の意味するものは、そのままの形で夢に現れているため「解釈を必要としない」(アルテミドロス)と考えられていた。
そして、心理学における夢の理解では、
ネイティブアメリカンの一部の部族には、夢を霊的なお告げと捉え、朝起きると家族で見た夢の解釈をし合う習慣がある。
古代ギリシャにおいて夢は神託であり、夢の意味するものは、そのままの形で夢に現れているため「解釈を必要としない」(アルテミドロス)と考えられていた。
そして、心理学における夢の理解では、
深層心理学においては、無意識の働きを意識的に把握するための夢分析という研究分野がある。
夢分析の古典としてはジークムント・フロイトの研究、あるいはカール・ユングの研究が広く知られている。
夢分析の古典としてはジークムント・フロイトの研究、あるいはカール・ユングの研究が広く知られている。
そこでは夢の中の事物は、何かを象徴するものとして位置づけられている。
これらは神経症の治療という臨床的立場から発展しており、夢分析は心理的側面からの神経症の治療を目的とした精神分析のための手法の一つである。
フロイトは『夢判断』で、人が体験する夢を manifest dream(顕在夢)と呼び、それは無意識的に抑圧された幼児期由来の願望と、この願望と結びついた昼間の体験の残滓からなる夢のlatent thought(潜在思考)が、検閲を受けつつdream work(夢の仕事)によって加工され歪曲されて現れたものだとした。
フロイトは『夢判断』で、人が体験する夢を manifest dream(顕在夢)と呼び、それは無意識的に抑圧された幼児期由来の願望と、この願望と結びついた昼間の体験の残滓からなる夢のlatent thought(潜在思考)が、検閲を受けつつdream work(夢の仕事)によって加工され歪曲されて現れたものだとした。
カール・ユングは、夢は、意識的な洞察よりもすぐれた智慧をあらわす能力があるとし、夢は基本的に宗教的な現象だとした。
ユングによると、人間の無意識のさらに深い領域には全人類に共有されている集合的無意識があり、古代から継承されたアーキタイプ(元型)が宗教・神話・夢といった象徴の形で現れるとされる。
ユング研究家の河合俊雄は夢の「ストーリー性」を重視し、ストーリーの変化は心の変化であり、夢分析で重要視されるとしている。
ユング研究家の河合俊雄は夢の「ストーリー性」を重視し、ストーリーの変化は心の変化であり、夢分析で重要視されるとしている。
例えば同じテーマの夢を繰り返し見る「反復夢」では、ストーリーが月日の経過とともに変化していくが、「怖い夢」でも何度も反復してみるうちに、恐怖の対象が自分に対して実害がないことが分かり、それを楽しむことができるようにすらなる。
こうした変化で心理的な症状も変わってくることがあり、繰り返し見る夢がどう変わっていくか、心理療法における「夢分析」ではこの部分が大きな意味を持つとしている。
もう一つのポイントは「象徴性」で、例えば白蛇は普通の蛇よりも象徴性が高く特別な夢だが、スピリチュアルな意味や、癒やしの意味がある可能性がある。
だが、夢を見る理由については現在のところ不明である。
従って、行動を停止したスリープ状態のアンドロイド、人工の脳が、ネット内に飛び交う何らかの信号を偶発的に接触、可視化したものを"夢"として捉え、"夢"として感じても不思議ではない。
【夢魔サキュバス】
「うふふ。ミカエルさまも、意地の悪いお方…。」
◆
ー火星メガロポリス中央都市ー
ここ数日で、複数のアンドロイドが失踪するという奇妙な出来事が相次ぎ、ようやく人間たちは事件とし、扱うように成った_。
しかし、二、三日もすると人間たちは失踪したアンドロイドたちの事など、気にも留めなくなって行った。
量産され続けるアンドロイドの一部が失踪したところで、自分たちの生活に支障を来す事がないからである。
直ぐにアンドロイドを製造する業者から政府を通じ、送られて来るからだ。
ルシファーの狙いは、そこにあった_。
この火星では人間たちは、子孫繁栄の為の行為の練習も、アンドロイドで行う。
その為、個々に差は有るものの、練習で納得出来れば、そのアンドロイドは廃棄される。
子孫繁栄のD.N.Aを残したまま。
ルシファーはそのD.N.Aを採取、保管した。
そして、廃棄されたアンドロイドを初期化、メンテナンスを施し、改良型を兵として育て上げて行った。
「愚かな人間たちよ。」
「せいぜい今の内に堕落を謳歌するがいい。」
「クックックックッ。」
不適な笑みを浮かべるルシファー。
「そろそろ、ガブリエルの所へ戻ってやるとするか。」
ルシファーは白銀に輝く十二枚の翼を拡げ、下界(かせい)へと降りた。
第一話②へ
つづく。
ーあとがきー
この物語りは、趣味を含むオリジナル作品です。
冒頭に引用書きした闇の柊焉
RETURNER~闇の終焉~
作詞:Gackt.C 作曲:Gackt.Cの曲を視聴した時、"これだ"と感じた、この物語りのヒントと成ったのをきっかけに加え、古の神話を今時風の神話を書いてみたいとの思いから、書いてみる事にしました。
使用している画像は挿し絵的イメージです。
また、一部の画像は、インターネット内に出回っている数有る画像から引用したものです。
※一部、Wikipedia及びYouTubeより引用。
つづく。
ーあとがきー
この物語りは、趣味を含むオリジナル作品です。
冒頭に引用書きした闇の柊焉
RETURNER~闇の終焉~
作詞:Gackt.C 作曲:Gackt.Cの曲を視聴した時、"これだ"と感じた、この物語りのヒントと成ったのをきっかけに加え、古の神話を今時風の神話を書いてみたいとの思いから、書いてみる事にしました。
使用している画像は挿し絵的イメージです。
また、一部の画像は、インターネット内に出回っている数有る画像から引用したものです。
※一部、Wikipedia及びYouTubeより引用。