二次創作
宇宙戦艦ヤマト2202ー新たなる旅立ちー
第二十二話(最終話②)
イスカンダル王都イスク・サン・アリアの地下に眠るスターシャ・シップは、南極側ゲート直通トンネル=縦に掘られた坑道をゆっくりと降下、イスカンダルを脱出した。
スターシャ・シップの脱出を見届けたスターシャは近衛タイプのアンドロイドと制御室へ向かった。
制御室に入るには、サーダが占拠する女王の間を抜けて行かねならない。
「サーダ!貴女の負けだ!」
近衛アンドロイドが陽動する。
「あら。そうかしら?」
「これを観れば、今、吐き出した言葉を撤回するわ。」
サーダは自身の目の前の空間モニタを拡大、宇宙(そと)の様子を映しだした。
「グッと」アップで映し出された惑星要塞艦ゴルバ。
その最上部司令塔の目の前に瞬間物資転送波によってワープしたデスラー座乗艦=デスラー砲艦が急加速する様子が、映っていた。
「お前たちを救おうと突撃を敢行したようね。」
「大方、あの赤い艦(ふね)が起爆剤で、それをヤマトが、ご自慢の波動砲を撃つって構図かしらね。」
スターシャはモニタ画面の下側にデスラー砲艦を追うヤマトを確認した。
「…それが、何か?」
スターシャはほんの一瞬、躊躇ったものの、あっさりとした返事を返した。
そして、こう付け加えた。
「ヤマトが波動砲を使っても使わなくても、この宙域、いいえこの銀河は消えて無く成りきります。」
「私が手にする反波動格子。今、私は起動させました。」
「この意味、サーダ。貴女ならお解りますね!?」
「このイスカンダルには、反物質エネルギーが充満し初めました。」
「イスカンダルの波動エネルギーは、この反波動格子によって、全て使用不可能。代わりに反物質エネルギーが、星全体に充満しています。」
「貴女が私を跪ま付かせたとしても、起爆装置は起動します。」
「私が、この反波動格子を起動させた時点で、このシステムは完全に事を遂行するまで、止まる事はありません。」
「そうプログラムされています。」
「私はサーダ、貴女に跪ま付けとは云いません。」
「ですが、速やかに立ち去る事をお勧め致します。」
「このまま、私たちと共にするか?お決め下さい。 」
スターシャは思いを告げると、手の掌で隠すように持ち歩いていた反波動格子コントローラーのスイッチを何の躊躇いも無く、押した。
「……。」サーダは一瞬、目を丸くした表情を覗かせたが、豪快に笑った。
「お前のような者と心中は御免だね。」
「だが、スターシャ、お前は早まったようだね。」
「気がつかないか?イスカンダルは、ゆっくりだが、再び動きはじめた事を。」
「嫌でも、イスカンダルは、あのオクトパス星団に引き寄せられ、我がゴルバによって人工的に創り出される新たなる銀河の核(コア)と成る!」
「フッハッハッハッハッハッ!」再び豪快に笑うサーダ。
そのサーダは小型閃光弾を床に投げつけ、眩しすぎる光の中、姿を消した。
◆
「キャプテン。奴ら異次元に潜れる艇(ふね)なんかじゃないですね。」
「スーパーステルスと言うか、簡単に言えば、艇(ふね)に光学迷彩の膜を貼ったに過ぎませんね。」
「うむ。」
「ハイニ。機雷を射出、小判鮫にコイツらの相手をさせろ。」
「やむを得ないが、本来の目的とは違うが艦隊がズタズタにされ過ぎた。」
「アイサー。」
そんな中、アベルト座乗のデスラー砲艦は、ゴルバ最上部司令塔に突進、突き刺さるように停止した。
「総統!突入口を確保!何時でも突入可能です!」
コマンドスーツに身を固めたアベルトが、颯爽と姿を現した。
「ガミロイドを先行させ、我々は大将の首を取る!」
「ザーベルク!」
◆
「…ん!?あれは!あれはスターシャ・シップ!」
「機長!あの大型の宇宙船がスターシャ様の船だ!」
地球侵入時の姿に戻した格闘型イスカンダロイドが、いち速く告げた。
「あんた!?」
操縦席から振り返る山本は、驚いた顔を覗かせた。
「これが本来の姿だ。」
「まぁ。いいけど、あれだけの大型の宇宙船で脱出出来たのなら、我々の護衛がかえって邪魔になりそうだな。」
「機長には悪いが、私には私の任務がある。私をあのスターシャ・シップに送って貰えればいい。」
「そうだったな。」
だが、その時であった、ゆっくりと再び動き出したイスカンダルが急激に加速しはじめたのだ。
一時的に噴火が治まっていたに過ぎない海底火山の噴火が、再びはじまったからだけではなかった。
スターシャが反物質エネルギーを暴発させたからだ。
「この宙域に集まる者たちよ。」
「もう、戦う事を止めるのです。」
「すぐにイスカンダルは超新星化し、この宙域を吹き飛ばします。」
「ガミラスもヤマトも暗黒星団帝国も、元は一つの民。そうイスカンダルもまた……。」
「暗黒星団帝国の民よ。急がなくとも新たな銀河は誕生します。」
「急激に未来を変えてはならないのです。」
「私が、これまでのスターシャがその罪を犯して来たのも事実。」
「近年では地球を地球の未来を急激に加速させてしまった……。」
「コスモリバース・システムが未来を急激に加速、変えてしまった……。」
「私はその罪を償い、元の未来へ戻します。」
「カチッ。」
そう告げたスターシャは手にするスイッチを押した。
まばゆい一筋の閃光。
イスカンダルの爆発はオクトパス星団をも巻き込み、七つの原始惑星とダークマターを主成分とする暗黒ガス雲海は、崩壊をはじめた。
惑星要塞艦ゴルバ最上部司令塔に突き刺さるデスラー砲艦は、星団の崩壊に発生した衝撃波によって切り離され、飛ばされてしまう。
だが、この破損部から流入したダークマターエネルギーを起爆剤とし、砲艦を吹き飛ばした衝撃波が、ゴルバを内部から喰い破る。
◆◆◆◆
緊急ワープしたヤマト。
ガミラス残存艦隊。
そして、暗黒星団帝国のサーダ。
◆
ヤマト(地球)、ガミラス、そして新たな主導者と成った若干5歳のサーシア。
そのサーシアをスターシャとして、支えるユリーシャ。
サーシアとユリーシャに残されたスターシャ・シップと近衛兵的な名も無きアンドロイド。
代を引き継ぎながら、現在、オクトパス星団と入れ替わるように産まれた超原子惑星として芽吹いた惑星スターシャを長い時を掛け、育んでゆく_。
それが"新たななる旅立ち"なのである_。
~fin~
この物語りは私設定が混ざった《宇宙戦艦ヤマト2205ー新たなる旅立ちー》の二次創作です。
使用している画像はイメージです。また一部、Ps版「宇宙戦艦ヤマト・ イスカンダルへの追憶」等の設定資料から引用。拾い画を使用しています。
使用している画像はイメージです。また一部、Ps版「宇宙戦艦ヤマト・ イスカンダルへの追憶」等の設定資料から引用。拾い画を使用しています。