追憶の堕天使たち
第二話②
ルシファーの能力の一つ、瞬間移動=テレポテーションで、火星軌道上に浮遊するアルゴーの艦(ふね)のコックピットに、移動したルシファーとガブリエル。
「ガブリエル。もう目を開けても大丈夫だよ。」
ギュッとルシファーにしがみつくガブリエルに、やさしく声をかけるルシファー。
床に足が着いている事が確認出来たガブリエルは、安堵の表情を浮かべた。
「ポッ」と紅く染まるガブリエルの頬。
「…ありがとう。」
「えっ!?じゃなく、一瞬でしたね。」
あたふたと何を話して良いのか、少し困惑気味のガブリエル。
ムリもない、ガブリエルの中には、愛という感情も育っていたのだから。
ガブリエルは、「ふと。」思う。
「これが"愛"…。」
「怒り、悲しみ、恐怖、嬉しい…色々な感情。」
「これが僕君の云った"感情"!?」
「私のA.Iは、無限に学習する事が出来る。」
「…でも、本当に正しいのかは解らない。」
「何度も、同じ事を繰り返す事で、正しいと認識するから。」
「…感情………。」
「私は機械的な人間…。僕君は云った。ガブリエルは人間に成れると…。」
「私は製造時とは違う身体をいくつか換装されて来た。」
「でも、まだ僕君は、進化すると云ってたな。」
【ガブリエル:第二形体】
◆
私が乗船しているアルゴーの艦(ふね)は、全長が450メートルも有る、この時代の超弩級と云っても過言ではない程の大きさだ。
私以外は、名も無きアンドロイド。
製造された初期の私と同じ。
番号が名前のようなもの。
それと、僕君が設計した小型の戦闘A.Iを搭載した遠隔操作可能で可変ブースター装備及び、分離型格闘機:ヘルハウンドが6機、積み込まれている。
そして、薄紫色=ホワイトパープルに塗られた機体は私、専用機:キマイラ。
外見こそ量産機のヘルハウンドと同じなのだけど、私のキマイラは戦闘A.Iが外された仕様なの。
それは汎用アンドロイドと違い、私には感情というものが存在するから、僕君が云うにはA.Iがサポートではなく、感応波対応。
A.Iは、逆に邪魔者に成るからなんだって。
私の感情を感応波に変換して、一度に多種多様の行動や攻撃、防御を私だけで行え、キャノピーは、母艦同様にトラクタービーム防御膜でコーティングされた特別仕様。
キマイラは、ライオンの頭と山羊の胴体、毒蛇の尻尾を持つ特殊な魔獣。
そのキマイラに因んで私の機体を開発した。
僕君は、強化訓練の前に、この機体の基本操作を覚えろと、先ずは自由に飛び回れと云った。
私はキマイラに乗り込む為、僕君の司令に従い、バージョン・フリー・フライトを行う為、艦後部格納庫へ降りた。
私は迷う事欠く自機に歩み、タラップを上り、キマイラのコックピットへ収まった。
感応波対応ヘルメットを着用、指示に従い、フライトスタンバイに入った。
オートによるスタンバイが終わり、機体はハンガーに吊るされカタパルトへ接続された。
管制オペレーター・アンドロイドが射出角度を調整、私はハンガーに吊るされた機体の傾きに一瞬、焦りを感じた。
「おおっ。」
インカムを通して、私の声は僕君に届いていた。
「大丈夫だ。ガブリエル。オートで全てやってくれる。」
「今日はその感覚に慣れるのと、フライト手順をマスターする事が重要課題だから。」
「ガブリエル。君なら、落ち着いてやれば一回でマスター出来るはず。」
僕君の言葉に落ち着きを取り戻した私。
管制オペレーター・アンドロイドの「キマイラ、テイクオフ。」の指示に従い発艦させた。
物凄い加速だ。
身体がシートに押し付けられる。
苦しさを感じた。
「これがG=重力というものなのか!?」
「射出された勢いが止まらない!」
その思いも束の間、機首や後部ウイングに装備されるスラスターが、青白い炎を小刻みに吐き出す。
スピードが落ちてゆく。
「ガブリエル。君の思いをコントローラーに送るんだ。」
「君の思い描いた通りに飛んでくれるから。」
「大丈夫だよ。ガブリエル。」
私は云われた通り、飛翔するイメージをコントローラーに送った。
この宇宙を、星々を縫うように頭に思い描いた。
右に左に、時には上に下にとイメージ通りに飛んでくれるキマイラ。
私中で気持ち良いと、私を煽るもう一人の私。
私は星座を描くように飛翔した。
「素晴らしいよ。ガブリエル。」
僕君がインカムを通し、誉めてくれる。
「もっともっと飛翔したいと」もう一人の私が告げて来る。
私はそれに応えた。
一時間ぐらい飛翔した。
飛行エネルギーの残量が少なくなり、私は帰投した。
着艦もオートで機体が全てをやってくれた。
私はその手順をインプットするだけ。
自機を降りた私を僕君が出迎えてくれた。
キマイラ。私、この子が好き。
機首がスーと長めでコックピットはやや後方にマウントされている。
その後ろにメインエンジン二機が付く。
メインエンジンの下に可変ブースターが二機。
尾翼は、その可変ブースターの下に付く。
メインエンジンと可変ブースターの間に主翼があり、長めの機首の両脇にはバルカン砲が装備させている。
そして、機首の下にぶら下がるレーザー砲。
主翼の前部にはショットカノン。
オプションで主翼の下にはミサイルランチャーが二基づつ装備が可能。
下部には四連装のグレネード弾の発射機。
たま、明日になればフライト出来る。
私は笑顔を覗かせていた。
◆
【戦闘A.I搭載・分離ウイング可変ブースター型格闘機ヘルハウンド/特別仕様キマイラ】
・自立型A.I搭載(ヘルハウンド量産機)
※ガブリエル専用機キマイラには搭載されていない。
・単独での大気圏突入・離脱が可能(共通)
・バルカン、レーザー、ショットカノン(陽電子粒子砲)を標準装備し、オプションとして対空ミサイルランチャー、グレネードを装備可能。
(全て共通兵装)
・超低空/低空及び空間格闘用(イェーガーモード)可変ブースターを任意で変形可能。(ホバーリング行動)
メインウェポン
・バルカン
口径20ミリ弾を発射する。
破壊力の点では他の武器に劣るが、連射性がそれをカバーしている。
・レーザー
敵を貫通する威力の高い武器。
発射中に機体を移動させれば、攻撃有効範囲も広がる。
障害物を超えて目標を攻撃できる利点を持つ。
・ショットカノン(陽電子粒子砲=荷電粒子砲)
砲弾として陽電子粒子を加圧、圧縮した荷電粒子ビームを放つ武器。
連射することも可能だが、その本来の威力は、エネルギーを最大までチャージした時に発揮される。
連射することも可能だが、その本来の威力は、エネルギーを最大までチャージした時に発揮される。
単なる荷電粒子による破壊効果のみならず、目標との対消滅が期待できるが射程距離が短い。
・グレネード。
後方の敵を攻撃するために利用される。目標手前で裂く弾、爆風を発生させ、それに触れる目標にもダメージを与えられる。
・対空ミサイルランチャー。
目標選択アルゴリズムにより、ミサイル同士は、同じ目標を狙わないという機能を持ち、複数の敵を効率よく倒せる。
攻撃力も高いが弾数に限りがある。
・イェーガー(猟兵/猟犬)モード
後部ブースターエンジン2基を機体下部に移動させる事でホバリング超低空モードに切り替える事が可能。
戦闘機でありながら、地上戦も行える。(共通)※イェーガーモードが猟犬に見える事そして、量産機の機体カラーがブラックな事から悪魔の猟犬=ヘルハウンドをイメージさせた。
その為、量産機をヘルハウンドと名付けた。
・テレポテーション・ウイング
分離したウイングを感応波で遠隔操作し、目標を攻撃する。(ガブリエル専用機キマイラのみ)
◆
第二話③へ
つづく。
ーあとがきー
この物語りは、趣味を含むオリジナル作品です。
冒頭に引用書きした闇の柊焉
RETURNER~闇の終焉~
作詞:Gackt.C 作曲:Gackt.Cの曲を視聴した時、"これだ"と感じた、この物語りのヒントと成ったのをきっかけに加え、古の神話を今時風の神話を書いてみたいとの思いから、書いてみる事にしました。
使用している画像は挿し絵的イメージです。
また、一部の画像は、インターネット内に出回っている数有る画像から引用したものです。
※一部、Wikipedia及びYouTubeより引用。
つづく。
ーあとがきー
この物語りは、趣味を含むオリジナル作品です。
冒頭に引用書きした闇の柊焉
RETURNER~闇の終焉~
作詞:Gackt.C 作曲:Gackt.Cの曲を視聴した時、"これだ"と感じた、この物語りのヒントと成ったのをきっかけに加え、古の神話を今時風の神話を書いてみたいとの思いから、書いてみる事にしました。
使用している画像は挿し絵的イメージです。
また、一部の画像は、インターネット内に出回っている数有る画像から引用したものです。
※一部、Wikipedia及びYouTubeより引用。