2003年、民間の商用画像衛星によって撮影されたアララト山(トルコ)の”ノアの箱船”の高解像度画像が、この度、一般公開されたとのこと。今回、公開された”箱船”と言われる物体の画像は、アララト山腹北西部、標高4,663mの地点で撮影されたものである。物体は氷河の中に埋没した状態で、その氷床下はまだ明かではない。しかし米ヴァージニア大学リッチモンド大学助教授、ポ-チャー・テイラー氏によれば、物体の形態は旧約聖書に描かれるノアの箱船とピタリと符号しているという。テイラー氏は、聖書に描かれるノアの箱船の縦横比率が6:1(300キュビット:50キュビット)とされていることを挙げ、衛星写真に映し出された物体がやはり6:1の比率を示していたことを指摘している
テイラー氏はこれまで13年間、ノアの箱船の研究を続ける一方、ワシントンD.Cの国家安全保障専門家として30年、また戦略国際問題研究所(CSIS)に5年間勤務している人物である。
「今後も情報機関の人々に働きかけを続け、より鮮明な画像が公開されるようになれば、新たな発見を得られると楽観的に考えています。」そう語るテイラー氏は、今回、デジタルグローブ社のクイックバード人工衛星によって撮影され、一般公開されたこれらの写真を”非常に重要な一歩”であると指摘している。「私自身はこれらを衛星考古学プロジェクトと呼んでいます。」
衛星考古学プロジェクト
テイラー氏の計画は、クイックバード人工衛星、そしてジオアイ社(GeoEye)のイコノス商用画像衛星、カナダのレーダーサット1号、また米国の情報機関で機密除外された画像などを駆使して行うものである。テイラー氏のゴールは単純明快にそれらの画像を組み合わせ、アララト山にあるこの奇妙な物体を公にし、それを科学者、画像分析などの専門家らに託して研究を促すことにある。
「1993年、この計画を始めた頃は、まだ何の具体的な指標はありませんでした。」しかし氏は研究を開始して間もなく、そこには注目すべき何かが存在することを確信したという。「あの奇妙な物体は氷河の稜線でも、岩でもなく、人工物に他なりません。もしもあれが、人工物で、そしておそらくは船舶の形であるならば、聖書に描かれるあの船だと考えたわけです。」(写真はレーダーサット1が撮影したノアの箱船の位置。クリックで拡大)
そしてテイラー氏は情報機関が保持する鮮明な衛星写真公開を働きかける一方、今後打ち上げられる民間の商用画像衛星が、氏のプロジェクトを多いに助けることになると話している。
「今後、まず3つの商用画像衛星が打ち上げられる予定です。様々な方面に訴えて、それらの衛星にアララト方面を撮影するよう、働きかけているんです。それが実現すれば、アララト山の物体の正体は更に明らかになっていくと思います。」
解析と解釈
また人工衛星が鮮明な写真を撮影することに合わせ、テイラー氏は様々な分野の専門家と連携し、謎を解き明かすつもりであるという。例えば米ネバダ州ヘンダーソンのサンテック・メディアグループ/ライトイメージ社のロッド・フランツ氏がその1人である。氏はその専門知識を生かし、これまで25年に渡って、軍の情報部で画像解析を行っている。
「(衛星写真で)異常なものが発見された場合、政府機関と商用遠隔探査は同じソフトウェアを使って画像を解析します。それで地上からの距離と、物体の大きさを測定するんです。そのソフトは画像の明るさ、ぼやけ、シャープネス、コントラストといった要素を調整することが出来るんです。そしてそれらの画像補正機能と合わせて、時には疑似補色機能を使って、氷や雪の下に何かが検出できるかもテストします。
フランツ氏によれば、アララト山の物体は長さ309m程であるという。「そしてあの物体は、丁度、円の中に収まっているんです。それが何を意味するのか、私には分かりません。しかし何であれ、興味深いことには変わりないですね。」
テイラー氏によれば、物体の長さは、かのタイタニック号、そして戦艦ビスマルクといった巨大船よりも更に大きく、丁度現代における最大クラスの空母とほぼ同じサイズであるという。しかしもしそれが事実であり、物体が船舶であったとするならば、ここで重要な一つの問いが生ずる。それは(聖書に従うならば)木造であるとされるノアの箱船は、そのような巨大なサイズで本当に水に浮くことが出来たのだろうか、という問いである。
懐疑的なスタンスでプロジェクトに関わる1人、ボストン大学リモート・センシング(遠隔探査)・センター所長、ファロウク・エルバス氏は次のように語る。
「画像解釈は、技術です。物体の正体を明かすには、日光についての専門知識が必要になるでしょう。稜線の僅かな変化が影を形作り、それが画像の解釈に作用します。これまで見た限りでは、物体の全てを自然の地形として解釈することが出来ます。”アララトの不思議”と解釈されるあの物体の特徴は、私に言わせれば、様々な厚さの雪と氷に覆われた岩と影であると考えられます。」
人工衛星からの発掘
しかしこれら商用人工衛星の相次ぐ打ち上げ、そして他分野の専門家による研究によって、テイラー氏が目論む遠隔考古学研究は今後目覚ましい進歩を遂げると、氏は語っている。そしてテイラー氏の究極の目標は、無論、衛星から見定めた物体の現地調査である。「いずせにせよ、あれが何かであることは間違いがありません。」しかしひとまずのところ、人工衛星から考古学的”発掘”を行うことこそが、今後の現地調査を行う上で何よりも重要であるとテイラー氏は考えているのである。
例えば数週間前には、NASAの科学者らは人工衛星と航空写真撮影技術を組み合わせ、中南米の密林に1000年以上前のマヤ遺跡を発見している。「今日の探検家にとって、ジオアイのイコノスが送る画像とGPS衛星の情報はもはや水や保存食と同じように、探検に欠かせないものとなっています。これ無しでは探検も出来ないでしょう。そして研究者にとって、ジオアイが提供するような”究極の俯瞰図”である衛星写真は、いかなる実地調査や航空写真でさえ不可能なものです。それは視覚的な自白薬なんです。」米ヴァージニアのジオアイ社副社長、マーク・ブレンダー氏はそう語っている。
テイラー氏はこれまで13年間、ノアの箱船の研究を続ける一方、ワシントンD.Cの国家安全保障専門家として30年、また戦略国際問題研究所(CSIS)に5年間勤務している人物である。
「今後も情報機関の人々に働きかけを続け、より鮮明な画像が公開されるようになれば、新たな発見を得られると楽観的に考えています。」そう語るテイラー氏は、今回、デジタルグローブ社のクイックバード人工衛星によって撮影され、一般公開されたこれらの写真を”非常に重要な一歩”であると指摘している。「私自身はこれらを衛星考古学プロジェクトと呼んでいます。」
衛星考古学プロジェクト
テイラー氏の計画は、クイックバード人工衛星、そしてジオアイ社(GeoEye)のイコノス商用画像衛星、カナダのレーダーサット1号、また米国の情報機関で機密除外された画像などを駆使して行うものである。テイラー氏のゴールは単純明快にそれらの画像を組み合わせ、アララト山にあるこの奇妙な物体を公にし、それを科学者、画像分析などの専門家らに託して研究を促すことにある。
「1993年、この計画を始めた頃は、まだ何の具体的な指標はありませんでした。」しかし氏は研究を開始して間もなく、そこには注目すべき何かが存在することを確信したという。「あの奇妙な物体は氷河の稜線でも、岩でもなく、人工物に他なりません。もしもあれが、人工物で、そしておそらくは船舶の形であるならば、聖書に描かれるあの船だと考えたわけです。」(写真はレーダーサット1が撮影したノアの箱船の位置。クリックで拡大)
そしてテイラー氏は情報機関が保持する鮮明な衛星写真公開を働きかける一方、今後打ち上げられる民間の商用画像衛星が、氏のプロジェクトを多いに助けることになると話している。
「今後、まず3つの商用画像衛星が打ち上げられる予定です。様々な方面に訴えて、それらの衛星にアララト方面を撮影するよう、働きかけているんです。それが実現すれば、アララト山の物体の正体は更に明らかになっていくと思います。」
解析と解釈
また人工衛星が鮮明な写真を撮影することに合わせ、テイラー氏は様々な分野の専門家と連携し、謎を解き明かすつもりであるという。例えば米ネバダ州ヘンダーソンのサンテック・メディアグループ/ライトイメージ社のロッド・フランツ氏がその1人である。氏はその専門知識を生かし、これまで25年に渡って、軍の情報部で画像解析を行っている。
「(衛星写真で)異常なものが発見された場合、政府機関と商用遠隔探査は同じソフトウェアを使って画像を解析します。それで地上からの距離と、物体の大きさを測定するんです。そのソフトは画像の明るさ、ぼやけ、シャープネス、コントラストといった要素を調整することが出来るんです。そしてそれらの画像補正機能と合わせて、時には疑似補色機能を使って、氷や雪の下に何かが検出できるかもテストします。
フランツ氏によれば、アララト山の物体は長さ309m程であるという。「そしてあの物体は、丁度、円の中に収まっているんです。それが何を意味するのか、私には分かりません。しかし何であれ、興味深いことには変わりないですね。」
テイラー氏によれば、物体の長さは、かのタイタニック号、そして戦艦ビスマルクといった巨大船よりも更に大きく、丁度現代における最大クラスの空母とほぼ同じサイズであるという。しかしもしそれが事実であり、物体が船舶であったとするならば、ここで重要な一つの問いが生ずる。それは(聖書に従うならば)木造であるとされるノアの箱船は、そのような巨大なサイズで本当に水に浮くことが出来たのだろうか、という問いである。
懐疑的なスタンスでプロジェクトに関わる1人、ボストン大学リモート・センシング(遠隔探査)・センター所長、ファロウク・エルバス氏は次のように語る。
「画像解釈は、技術です。物体の正体を明かすには、日光についての専門知識が必要になるでしょう。稜線の僅かな変化が影を形作り、それが画像の解釈に作用します。これまで見た限りでは、物体の全てを自然の地形として解釈することが出来ます。”アララトの不思議”と解釈されるあの物体の特徴は、私に言わせれば、様々な厚さの雪と氷に覆われた岩と影であると考えられます。」
人工衛星からの発掘
しかしこれら商用人工衛星の相次ぐ打ち上げ、そして他分野の専門家による研究によって、テイラー氏が目論む遠隔考古学研究は今後目覚ましい進歩を遂げると、氏は語っている。そしてテイラー氏の究極の目標は、無論、衛星から見定めた物体の現地調査である。「いずせにせよ、あれが何かであることは間違いがありません。」しかしひとまずのところ、人工衛星から考古学的”発掘”を行うことこそが、今後の現地調査を行う上で何よりも重要であるとテイラー氏は考えているのである。
例えば数週間前には、NASAの科学者らは人工衛星と航空写真撮影技術を組み合わせ、中南米の密林に1000年以上前のマヤ遺跡を発見している。「今日の探検家にとって、ジオアイのイコノスが送る画像とGPS衛星の情報はもはや水や保存食と同じように、探検に欠かせないものとなっています。これ無しでは探検も出来ないでしょう。そして研究者にとって、ジオアイが提供するような”究極の俯瞰図”である衛星写真は、いかなる実地調査や航空写真でさえ不可能なものです。それは視覚的な自白薬なんです。」米ヴァージニアのジオアイ社副社長、マーク・ブレンダー氏はそう語っている。
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