性善か性悪か…

千にひとつの人生を

照らし合わせて線にして

時代はいつも流れてた

あなたや私の小さな嘘も

すべてが同じ嘘じゃない

優しさは性悪

怒りは性善

…

今日、担当している中の、一人の利用者さんの介護が終了した。

“感謝してるよ…今までありがとう”

さっきまで、僕を怒鳴りつけてたのに、時間がくると笑顔で僕にそう言った。

僕もペコリと頭を下げ、“こちらこそ、ありがとうございました…どうぞお元気で”と笑顔でと介護を終えた。

そうなんだ。
これはきっと、僕らのゲームだったんだ。

毎回、介護保険の認めた２時間を、この利用者さんは介護にきたヘルパーさんを怒鳴りつけることに時間を費やすのだった。

毎回、２時間が経過すると次はいつくるの？

と笑顔で僕に聞いてくる。

僕は、毎回同じ質問に毎回同じ応えをする。

こんな調子だから、介護事業所はみな悲鳴をあげ、この利用者さんとの介護契約を打ち切ることになる。

この１ヶ月と半月前に、介護したがる人がいなくなり、僕に廻ってきたのだった。

しかし、周りは心配していたが、僕は仲良くなってしまってた。

不思議がられた。

なぜこれくらいでと僕は思った。

そっかぁ～、約２０年もの飲み屋家業の修行の賜物とわかった。

飲み屋家業は草も生えないと言われるが、こんな場面で役立ってた。

立場が違うから僕には何とも言えないが、ともかく今月で、介護契約は打ち切りと決まってしまった。