Since1994 "ROCK BAR" GLASSONION 高田馬場

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●『日本人とビートルズ』に思うこと・・その1

2006-02-02 | 大事なお知らせU+203CU+FE0E
●映画の続きを書こうと思ったのですが、
2~3年に1度、こんなある日があります。
昨日がその日でした。
ですから、記しておかねばと思いました。

昨夜は、夕方雨脚が強くなり、カウンターには
いつもの常連のお客様二名と音楽の話をしていました。
こんな夜は、早い時間帯はヒマにしています。

それで、そのお客様のお1人が以前店にプレゼントしてくださった、
ガンズ&ローゼスをかけてあげました。
気持ちよさそうに聞き入っておられました。

私もガンズは大好きです。
スラッシュのギターは、やっぱりかっこいいね、
などといつもの音楽談義が始まりました。
お客様の雰囲気を察してかけた音楽を楽しんでもらえることは
自分までもが嬉しくなるものです。
GLASSの酒の肴は、何よりも音楽なのです。
私は、いつもあえてROCKと呼ばず音楽と表しています。

そこに突然、どかどかお二人のお客様がいらっしゃいました。
入ってくるなり。
「何これ・・・」風に顔を歪めて、罵声を浴びせられました。
ビートルズ教の信者の方だったのです。

常連のお客様は、何事かと,チラッとその客に視線を向けた後
目を丸くしてカウンターの私を見ていました。

が私には、すぐにそのお客様の人相と服装となりで、
すぐにわかりました。
以前の私なら、そこで一戦交えていたことでしょう。
長年やっていると慣れてしまうものです。

きっと、いろんな種類の人々にお会いしてきたお陰でしょうか。
きっと、だからなんでしょう。
そういった種類の方々の気持ちも理解できるようになりました。
否定でも肯定でもなく、ただ彼等の気持ちや性格がわかるようになっただけです。

だから素直にごめんなさい。
と謝りました。
きりのよいところで、ビートルズに切り替えるつもりでした。
私は、どんな音楽をかけていても、途中で止めたりは
決してしません。
なぜなら、まずその音楽を楽しんでいるお客様がいると言う事実。
そして何より、音楽を愛する者として、途中で止めたりすることは
音楽に対して失礼だと思うからです。

ところが、その信者のお客様は許してくださいませんでした。
たぶん無理だと内心覚悟はしていました。
これがGLASSのスタイルだと理解してくださらないのです。
気持ちを察して、すぐにビートルズをかけるのが
礼儀だろ、と叱られました。

背中越しに、常連客がすでに戦闘態勢に入っていることを察知しました。
まずは穏やかに通り過ぎることだと。
無理を承知で、穏やかに店の趣旨を説明させて頂いたのですが、
やはり聞き入れては頂けませんでした。
結局、何も注文されることなく出ていかれました。

2~3年に1度、ひょつこりやってくる一日があります。
そんな1日でした。

その信者の方に何の恨みもそれ以上の感情もありません。
がもしも、浮世の義理で言えるとしたら、
その人は間違っているというよりも、
あなたの人生とって、とても損をしていますよと
伝えてあげたい気持ちになります。
そんな人に出会うたびに、あなたはずいぶん損していますよ。
と伝えられない空しさを覚えます。

きっと、もう二度とお会いすることもないでしょう。
もしも万が一お会いすることがあり、ゆっくりお話できるご縁があれば
ちゃんとお聞きしてみたい。
今日までどう生きてこられたのか。
きっと何か、その方の人生の過程に立ち止まる何かが
あったのだと思います。
そのフィルターこそが「GLASSONION」なのです。

戦後の私達が西洋に対して唯一素直に頷けたのは。
それがロックンロールだったのではないでしょうか。
たとえ借物文化であろうと、
どうか素直に認めて楽しんでほしいと願います。

唯物を神格化する思想は、正に日本人の姿です。
神道です。
だから、その気持ちはとてもよくわかります。

ビートルズを神格化しないでほしい。
私は大ファンの1人としてそう願います。
素晴らしい音楽家であり、私達が見つけた
素晴らしい西洋文化の1つなのです。
彼等もプレスリーやチャックベリーや諸々のたくさんの
影響を受けて、そこを始まりとして、1つ、2つ、3つ・・と
末広がりに見つけてきたのです。
だから私達も見つけていけるはずです。
それが近代におけるシルクロードなのです。
と私は思っています。

それを教えてくれたのが私には、ビートルズでした。
ビートルズは、グローバルに両手を広げて
枠を作らず、感じた全てをメロディーにのせたから
こんなにも大きな軌跡を残してくれたんじゃないのでしょうか。

リバプールに音楽家ビートルズという小さな窓が生まれ、
その窓の向こうに大きな世界や宇宙があることを
見せてくれたのがビートルズの偉業だったのではないでしょうか。
私はビートルズからそう学びました。

しかし、わざわざ足を運んでくださったお客様に
不快な気分でお帰りいただいたことに、店主として
心から反省しています。
この東京の夜空の下。
ひとつ、ひとつの灯りの中にあるドラマこそが
私は生きている証だと思っています。


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