<日本の流体力学専門学会誌で、コロナ感染抑制に有効マスクの再現検証実験発表か>
<コロナ感染自治体において、コロナ感染抑制に有効マスク着用条例制定か>
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米国では依然として、新型コロナウイルス感染者が急増しており、一部の州では公の場でのマスク着用が義務化された。だが、連邦レベルではそうした対策は取られていない。米国では奇妙なことに、マスク着用の問題が政治化されている。
そのマスクは、実際にはどのようなタイプに、どの程度の効果があるのだろうか。
先ごろ流体力学のジャーナル「Physics of Fluids」に新たに掲載された論文は、実験結果を可視化することで、感染の抑制におけるマスクの重要性と、最も有効性が高いとみられるマスクを明らかにしている。
論文の著者であるフロリダ・アトランティック大学のシダータ・ヴァーマ助教(海洋機械工学)は、現時点で最も入手しやすい布製のマスクに関する情報が少ないことを指摘。「実験結果を示すことで、マスクが推奨される根拠が明確になり、着用への理解が深まればと考えた」と説明している
研究チームは医療用マネキンとグリセリンを混ぜた水を使って咳やくしゃみを再現。煙霧機とレーザーを使い、飛沫粒子が肌とマスクの隙間や、生地そのものから噴出する様子を視覚化した。
実験の対象としたのはバンダナと、ジェローム・アダムス医務総監(米国の公衆衛生政策を指揮)が作り方を紹介している
1.「ハンカチを折り畳んで作った」マスク、
2.コットンのキルト生地を2層に重ねて縫った手作りマスク、
3.ドラッグストアで販売されているコーンマスクだ。
実験の結果、微粒子の飛散を抑制する効果が最も高かったのは、
2.手作りマスクだった。素材自体からの漏れがほとんどなく、「飛沫が前方に向かって飛散する動きをほぼ完全に抑えていた」という。ただ、マスクと鼻の隙間から上方への噴出はあり、平均6.4cm先まで飛んでいた。
3.2番目に効果が高かったのは、コーンマスクだ。結果は手作りマスクとほぼ同様だったが、上方への飛散は約15.3cm先まで確認された。
1.ハンカチを畳んでマスクにしたものは、平均で約38cm前方まで飛沫が飛んでいた。
研究チームによれば、「(口元をまったく覆っていない場合と比べれば)大幅に飛散距離を抑えられるが、生地を通してかなりの量が前方に噴出していた」という。上部への噴出もみられた。
最も効果が低かったのは、バンダナ(折りたたまずそのままで顔を覆う)で、飛沫は平均1m先まで届いてでいた。また、口元を覆わずに咳やくしゃみをした場合は、ソーシャルディスタンスの確保に必要とされている距離(約1.8m)の2倍に当たる3.6m以上先まで飛んでいた。
同じジャーナルで発表された別の研究でも、何も覆うものがない場合、飛沫は最大約4m先まで飛んでいたとされている。これらの結果は、過去の研究で示されている「飛沫は空気中に何分間も残っている可能性がある」との結果に通じるものがある。
もちろん、新たに発表された論文は、人ではなくマネキンを使った数回の実験に基づく観察研究の結果であり、その点には注意が必要だ。
ただ、その他の研究の結果と合わせて考えれば、公共の場でのマスクの着用は、感染抑制のための比較的安価な、かつ簡単な方法だといえるだろう。
ヴァーマ助教も、「感染者の3人に1人(35%)には明確な症状が出ず、気づかないうちに重症化のリスクが高い人にうつしているとみられることから、マスクの着用は極めて重要性だ」と述べている。
経済活動のためにも重要
ゴールドマン・サックスが発表した感染拡大の経済的影響に関する報告書でも、
マスクの義務化は将来における再度の都市封鎖(ロックダウン)の回避につながる可能性があり、多大な経済効果をもたらすとの見方が示されている。
経済活動が再開されれば、感染の第2波が来ることはおそらく避けられない。
秋から冬にかけて、感染者が再び増加する恐れもあるとされている。こうしたことを考慮すれば、今回の実験結果はさらに重要な意味を持ったものとなるだろう。