<マイホームドックのデバイスとスーパーブロードバンドデバイス(注1)との連携が必須か>
(注1)
☆弧状列島,共助,IoT、スーパーブロードバンドモニタリング即時同報多地点伝達テレワーク
●利用者が爆増「Zoom」を使うと何が危ないのか。セキュリティを重視するのであれば、「Zoomの使用はやめて、グーグルのハングアウト(Hangout)や、シスコのウェベックス(Webex)などを使うべき。Zoomはこれでビジネスを失うかもしれない。セキュリティ対策をおろそかにするからだ」と手厳しい。
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橋本 宗明
はしもと・ひろあき
日経ビジネス編集委員 日経バイオテク編集委員
1987年京都大学農学部卒業、同年日経マグロウヒル社(現日経BP)に入社。医学雑誌の日経メディカル、医療経営誌の日経ヘルスケア、健康誌の日経ヘルス、日経ビジネス、日経バイオビジネスなどを経て、2006年にバイオ産業の専門ニューズレター日経バイオテクの編集長に就任。以来、一時薬剤師向けの日経ドラッグインフォメーションの編集長を務めるが、10年以上にわたって日経バイオテク編集長を務め、日本のバイオテクノロジー産業や医薬品業界の研究開発と産業化の動向を報道してきた。
※このプロフィールは、著者が日経ビジネス電子版に記事を最後に執筆した時点のものです
2020年7月7日
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日本ではこれまでオンライン診療は一部の慢性疾患の再診にしか認められていなかったが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を背景に、厚生労働省は4月10日にオンライン診療を時限的に大幅に規制緩和する通知を発出。これにより、一度も受診したことがない患者に対しても、どういう疾患であってもオンライン診療を幅広く行えるようになっている。
しかし、オンライン診療向けシステムの多くは、テレビ電話に予約や問診、決済の機能を追加したもので、オンライン診療で医師が行えることには限界があった。
これに対して、ヘカバイオデジタルヘルスのメディゲートは、通常のオンライン診療向けのシステムに、在宅で尿検査や聴診などを行えるデバイスを組み合わせた。
これにより、医師は検査データなどを確認しながらより精度の高い診療を行えるようになることが期待される。
代表取締役のケイダー氏は、これまでイスラエルの医療機器などを日本に紹介し、輸入する事業などを20年以上にわたって手掛けてきた。ケイダー氏が、医療機器などの輸入を手掛けるヘカバイオ(東京・中央)のCEOのロバート・クレア氏と共同で2019年2月に設立したのがヘカバイオデジタルヘルスだ。
テレメディシン(遠隔診療)の先進国であるイスラエル企業の技術などを日本に紹介しながら、オンライン診療を普及させることを狙っている。
尿検査については、イスラエルのヘルスケアスタートアップ、ヘルシーアイオーの尿検査キットを利用する。
患者は医療機関でキットを受け取り、スマホにメディゲートのアプリをダウンロードして自宅で尿検査を行う。ア
プリからの指示に従って、採尿し、試験紙を取り扱って測定、一定時間後に変化した試験紙の色をスマホのカメラで撮影するとデータは医師の下に送られる。
医師はメディゲートのポータルサイトでそのデータを確認しながら診察を行う仕組みだ。
キットには、一般的な尿検査10項目を測定するものと、糖尿病性腎症に関する検査を行うものの2種類がある。
ヘルシーアイオーの尿検査キットは米国食品医薬品局(FDA)の承認と、欧州での医療機器認証を得ており、累計15万人の利用者がいるという。
聴診などに用いるのは、同じくイスラエルのスタートアップ、マイホームドックのデバイス。
聴診器と体温計、パルスオキシメーター、耳内撮影用カメラなどを一体化している。アプリの指示通りに操作すれば、患者自身もしくは家族が、心臓、肺、腹部の音や、耳、鼻、喉の様子を測定し、体温、心拍などのデータとともにスマホを介して医師に送れる。
このデバイスは海外でもまだ承認されていないが、マイホームドックは8月にもFDAに医療機器として承認申請を予定しているという。
ヘカバイオデジタルヘルスでは、ヘルシーアイオーの尿検査キットの日本での独占販売権を取得している他、マイホームドックとは包括合意を締結している。今後、これらの製品について、日本で医療機器として承認を取得し、保険診療の中で利用できるようにしていく考えだ。「自宅で行う検査が保険診療の中で認められるよう、これから政府と話し合っていきたい」とケイダー氏は説明する。
「海外では民間保険会社が医療費を負担するので、医療を効率化しようとするインセンティブが働き、テレメディシンのデバイス開発が活発化している。
医療機器に関する規制も、テレメディシンを推進する方向に向かっている。国民皆保険の日本ではそうしたインセンティブが働きにくく、規制の壁も高いが、新型コロナウイルス感染症によって状況が変わろうとしている」とケイダー氏は言う。尿検査と聴診デバイスだけでなく、今後、血液検査のキットや各種検査デバイスについても、「いいものがあれば追加していきたい」としている。
ヘカバイオデジタルヘルスは今後、医療機関の協力を得てメディゲートの検証試験を行い、2021年にもサービスを立ち上げたい考え。検証試験に協力する東京インターナショナルクリニック院長の永野登益氏は、「いつでもどこでも患者と主治医がつながれるようになるのが理想だと思う。メディゲートを用いて、医療機関で行うのと同じクオリティーの検査ができるのかを検証したい」と話していた。
これまで、オンライン診療に否定的な意見としてよく上がっていたのは、医師が五感を使った診察ができないという点だ。
だが、こうしたデバイスを利用することで五感を使った診察のサポートが得られ、加えて検査データを利用することで診療の精度が上がるのであれば、オンライン診療の普及にも弾みが付くだろう。
オンライン診療用の家庭用医療機器のマーケットが立ち上がれば、日本企業にもビジネスチャンスとなる可能性がありそうだ。