By - NEWS ONLINE 編集部 公開:2023-12-08 更新:2023-12-08
元内閣官房副長官補で同志社大学特別客員教授の兼原信克
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が12月8日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。中国・習近平国家主席とEU首脳らとの会談について解説した。
〇中国の習近平国家主席がEU首脳らと会談
欧州連合(EU)のミシェル大統領とフォンデアライエン欧州委員長は12月7日、中国の習近平国家主席と北京で会談した。
イタリアが中国の巨大経済圏構想「一帯一路」からの離脱を中国側へ正式に通知したことを踏まえ、習指導部は中国離れが広がらないようヨーロッパをつなぎ止めたい考えとみられる。
〇ヨーロッパとの関係修復も狙いか
飯田)11月には米中首脳会談もありました。そしてEU首脳との会談があり、最兼原)ヨーロッパは日米欧など、中国以外での経済が大きいのです。
中国はこれを分断しないといけないので、一生懸命ヨーロッパを分断しようとしています。
しかし、日米は離れないので、ヨーロッパを取りにいく。
ヨーロッパはどちらかと言うと経済の方に関心があるので、中国はそこに目をつけていますが、なかなかうまくいっていないと思います。
ヨーロッパ側もアメリカと切れるわけにはいきませんし、中国は独裁主義で人権侵害が激しい。
経済は大事ですが、「どうなのかな」とヨーロッパは考え始めているのです。
中国は弱いところを取りにいくので、東欧の小さい国から取っていく。
飯田)東欧の。
兼原)それがまた「分断しにきた」という話になり、ヨーロッパ側が怒ったのです。
上手くいっていないので、それを修復する意味もあると思います。
〇国際協調の方に舵を切る中国
兼原)中国はいま経済がよくありません。ロックダウンをやりすぎたのです。
飯田)コロナ禍のときの。
兼原)私たちも長い間正座していましたが、足が痛いと言いながらも立ち上がって元気になり、最近は物価も上がって消費が伸びているではないですか。
しかし、習近平さんはやりすぎて血が通わなくなり、壊死と言うと言いすぎですが、もはや血が通わないのです。
消費が伸びなくなってしまった。
だったら自由にすればいいのですが、習近平さんは自由にさせることが嫌いなので、半分締め付けながら進めるため、物価(指数)も0%からマイナスになっている。
とにかく経済を何とかしたいのでしょうね。
飯田)経済を立て直したい。
兼原)最近は「一帯一路」もうまくいっていません。
先日、首脳会合を開きましたが、以前は三十数ヵ国が来たのです。
それが二十数ヵ国くらいに減ってしまった。
ヨーロッパはハンガリーくらいで、イタリアもやめてしまいました。
アフガニスタンのタリバンを呼ぶなど、「何をやっているのか」という感じです。
飯田)なるほど。
兼原)アメリカに対しても修復に入っているので、「いまは喧嘩するときではない」という方針なのだと思います。
中国外交ははっきりしていて、自分が強いときはブイブイやるのです。
でも弱くなってくると、突然腰が低くなる人たちなので、いまは国際協調の方に舵を切っているのではないでしょうか。
〇日本は欧米、ASEANと組み、中国が突っ込んでこないように構え、関係を築いていく
飯田)日中首脳会談では、岸田総理は笑顔を見せませんでした。
今後は中国とどう付き合えばいいですか?
兼原)基本的にはいま申し上げたように、
対等にきちんと構えていると、敬意を払う人たちなのです。
それが崩れると突っ込んできます。
日米関係がよくないとき、中国は尖閣に突っ込んできた。
弱いと突っ込んでくるのです。
水に落ちると叩いてくるような人たちですから、しっかり構えていればいいと思います。
1対1では向こうの方が大きいので、欧米とくっつくのです。
兼原)あとは東南アジア諸国連合(ASEAN)の国にくっついて、中国と対等に話す。
尖閣や台湾など解決できない問題
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があるので、そこには突っ込んでこないように、しっかり構える。
その上で、関係を積み上げていくことが大事だと思います。
〇中国はしっかりと構えていれば攻めてくることはない
飯田)環太平洋パートナーシップ(TPP)協定へのイギリス加盟について、
参院本会議でも議定書が承認されました。
各国の批准手続きが進めば正式加盟となります。
こういう連携を1つひとつ積み重ねていくことが大事ですか?
兼原)北大西洋条約機構(NATO)はアメリカ、EU、イギリスがいて、彼らはとても強いのです。
しかし、反対側にはアメリカの同盟国である日本・韓国・フィリピン・豪州・タイしかいません。
NATOに比べて、これはとても弱い。
飯田)NATOに比べて。
兼原)敵は中国ですから。
そうするとイギリスを始め、インドや豪州など、いろいろな国を引き込む必要があります。
それでも弱いのですが、コツコツ積み上げていくしかありません。
一応、アメリカという大国がうしろに控えているので強いですが、アメリカからすると「俺1人かよ」という話になるので、いろいろな国に並んでもらい、旗を掲げて「攻めてこないでくれ」と見せなければいけないのです。
見せるとあの人たち(中国)は動きませんが、見せないと突っ込んでくるのです。
兼原)安倍さんはよく「中国と仲よくするのはいいのだ」と言っていました。ただ、中国はすぐマウントを取りにくるので、「それは許せない」とも言っていました。
飯田)マウントを取らせないように、こちらは脇を固める必要がある。
兼原)そういうことです。