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西大陸,リスク, SARS知る王岐山隊長がいさめた習近平主席の勇み足

2020-02-12 17:17:07 | 連絡

<北京政府幹部は、【▽婆抜き】ばば=武漢=ぬきゲーム最中か>
<誰もが受け入れたくないと思っている面倒な物事や責任などを、互いに押しつけあうさま。>
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 中沢克二(なかざわ・かつじ) 1987年日本経済新聞社入社。98年から3年間、北京駐在。首相官邸キャップ、政治部次長、東日本大震災特別取材班総括デスクなど歴任。2012年から中国総局長として北京へ。現在、編集委員兼論説委員。14年度ボーン・上田記念国際記者賞受賞
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   SARS知る王岐山隊長がいさめた習近平主席の勇み足                
    編集委員 中沢克二 
 
王岐山のトップへの助言の中身は何か。「自ら指揮し、自ら手配している」。ウイルスとの戦いに関して、こう口にした習近平をやんわりいさめたのだ。これは1月28日、訪中した世界保健機関(WHO)事務局長、テドロスと北京で会談した際の発言だった。
トップが「自らの指揮」を明言してしまった以上、もし感染抑え込みがうまくいかなかった場合、自ら何らかの責任をとる必要が出てくる。そういう理屈になりかねない。最悪の場合、2年後の最高指導部人事にまで響く。政治面から見れば、まさに「勇み足」だった。
せっかく憲法改正までして国家主席の任期制限を撤廃し、トップの地位維持に向けた権力固めを終えたのに、ここでつまずくわけにはいかない。
王岐山はそれを心配したのだ。直言できるのは、十代の頃の習近平も知る兄貴分である彼しかいなかった。       
不満の高まりに危機感を抱く中央は、国家監察委員会のチームを急きょ、武漢入りさせ、李文亮の告発を闇に葬った責任を追及するという。
王岐山はかつて請け負った広東国際信託投資公司(GITIC)債務処理と並ぶSARS対策の功績で、燃え盛る火を消す「消防隊長」の名声を不動のものにする。それは副首相や共産党最高指導部メンバーへの道を切り開いた。 
王岐山にはSARS対策での豊富な経験がある。その王岐山から見ても現在の未知のウイルス対策では確固たる自信が持てないのが実情のようだ。しかも習近平と李克強の関係は冷めている。
SARSとの戦いの際のトップ、胡錦濤と、首相だった温家宝のむつまじい間柄とは異なる。習近平の権力がいかに強くても今後2年間、油断はできない。仮に李克強に野心がなくても、習近平に不満を持つ勢力は多い。
王岐山と似た考えなのは、もう一人の習近平の側近で全国人民代表大会(全人代)常務委員長の栗戦書。こちらも習近平が20代から知る良き話し相手で「習近平派」に欠かせない年長の番頭役だ。
案の定、王岐山らの心配は半分、的中してしまった。直後に大問題が起きたのだ。武漢の深刻な事態を初期段階で伝えようとした若き医師が自らも新型コロナウイルスに感染。7日未明、肺炎でこの世を去った33歳の眼科医、李文亮である。 
「華南海鮮市場で7例がSARSと確認された」「我々の病院に隔離されている」「最新情報でコロナウイルスと確定し、現在、分類中だ」。彼は医療関係者ら多数が参加するグループチャットで危険性を訴えた。華南海鮮市場は新型ウイルス発生源の一つとされる。19年12月30日の出来事だった。
だが、この真実の発信が問題視され、処分対象になってしまった。1月3日には武漢市公安局(警察)から連絡があり、派出所に出向く。そこで行動を悔い改め、二度とやらないと誓う訓戒書に署名・なつ印させられている。正式逮捕を避けるには致し方なかった。
習近平体制下で格段に厳しくなった言論統制が、国民の健康にかかわる重大な真実に蓋をし、あろうことか告発者自身に跳ね返って李文亮を殺してしまった。
医師ですら正確な情報がなければ死に至る。政府批判を警戒する当局は監視を強め、問題ある発信を交流サイト上から次々削った。しかし、李文亮を取り締まった現地警察官らさえ病に倒れているのは想像に難くない。 
不満の高まりに危機感を抱く中央は、国家監察委員会のチームを急きょ、武漢入りさせ、李文亮の告発を闇に葬った責任を追及するという。
一転、李文亮の英雄扱いを制御できる範囲で認める構えだ。
これはもろ刃の剣でもある。遡って議論を蒸し返せば北京も責任から逃れられない。
複雑な情勢にある武漢を今、習近平が視察するのは危険が伴う。武漢視察の回避、そして李克強主導の国務院=政府も使い始めた変化はリスクヘッジを意味する。
中国各地では年に1度の人民代表大会の開催が遅れている。3月初めから北京で予定通り全人代を開くには湖北省を含めた全国でウイルス制圧のメドが立つ必要がある。既にぎりぎりだ。
もし全人代の日程が狂えば、すべての政治日程に狂いが生じる。10日の習近平による北京視察は首都だけは自らの手で安全を確保したいという強い意志の表れでもある。習近平はウイルスとの戦いとともに、先が見えない政治的な戦いにも直面している。(敬称略)


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