児童養護施設で働き20年目になる。
沢山の子どもや親、様々な家族の形に出会ってきた。
現実は甘くない。
現実は時に残酷である。
でもそればかりじゃないのもまた現実。
子ども達は、親と離れて施設にやってくる。
事情は本当に様々だ。
親や出会ってきた大人たちへの憎しみや不信感を抱えてくる子どもも少なくない。
そんな子どもと親が再び一つになるためのお手伝いがボク達の役割。
でもそれだけではない。
変わらない、変わろうとしない親に見切りをつけ、現実を受け止めて前に進んでいくお手伝いをするコトもある。
見切りをつける。
現実を受け止める。
前に進む。
言葉にするのは簡単だけど、そこにどれだけのエネルギーと時間を有するか。
涙が流れるか。
感情が溢れるか。
時に、蓋をして「無」にならざるを得ないか。
ボクは経験を通して知っている。
現実は甘くない。
映画「いつくしみふかき」を観ながら、児童養護施設で勤めてきた20年間を思い返した。
実話を元にしているらしい。
本当にろくでもないダメダメな人が出てくる。
変わろうとするけど変わらない人が出てくる。
卑怯で汚い人が出てくる。
暗く、暴力的なシーンも出てくる。
でも所々にユーモアがあり、希望がある。
不器用な優しさに溢れている。
あるシーンで、見終わった後で溢れ出た涙。
何だったんだろう。
一度観ただけでは上手く整理が出来ない。
主人公の青年の変化や成長が児童養護施設での仕事と重なった。
主人公の青年の変化や成長が児童養護施設での仕事と重なった。
遠山さんは役を演じるコトで、本当に成長したのではないだろうか。
表情が明らかに変わっていく。
三週間という撮影期間で撮ったなんて信じ難い。
あれが全て演技だとすると、本当にすごい俳優さんだと思う。
南信州の飯田市が舞台だ。
ボクが故郷を離れ、20年間、暮らしてきた街である。
こんなにも表情豊かで、魅力的な街に住んでいるんだと再認識させられた。
そりゃ故郷弘前には敵わない。
でも負けない位の魅力があるし、この街を選んで良かった。
そう思わせてくれる映画でもあった。
上映後、出演している小林さんによる挨拶があった。
そこでまた知らない事実を知り、涙が流れた。
役柄的には嫌なおじさんだけど(笑)、実際はボクと同じ空気感を持った本当にステキな方。
そこでまた知らない事実を知り、涙が流れた。
役柄的には嫌なおじさんだけど(笑)、実際はボクと同じ空気感を持った本当にステキな方。
終了後、喫茶店でコーヒーを飲みながら語り合った。
なんて贅沢で幸せな一時だったんだろう。
「いつくしみふかき」
これから全国各地で上映される。
コロナで苦しんでいるこのタイミングで封切りされたコト、きっと何か意味がある。
ぜひ映画館に足を運び、大きなスクリーンで観て、感じて欲しい作品です。
マスクを忘れずに、ね。
みんぺー的オススメ映画の紹介でした。
★★★★★