日本経済を襲うコロナ・ショック 倒産の危機に晒される業界は
3/15(日) 7:00配信
マネーポストWEB
日本経済を襲うコロナ・ショック 倒産の危機に晒される業界は
インバウンド需要も大きく落ち込んでいる(閑散とする成田空港。写真:時事通信フォト)
新型コロナウイルスの感染拡大は世界同時株安をもたらし、実体経済にも影響を及ぼしている。収束の見通しがなかなか立たない中、企業経営を直撃する「見えない恐怖」はじわじわと広がりを見せようとしている──。
第一生命経済研究所のレポートによれば、新型コロナウイルスの日本経済への影響は「自粛や風評被害が深刻化した東日本大震災後と同程度の影響を前提とすれば、名目GDPが東日本大震災後の▲2.5兆円を上回る▲2.9兆円程度の下押しとなる。ただし、この試算は今年の前半中に国内での自粛が落ち着き、海外からの風評被害も秋までに落ち着くといった前提。長期化する場合には、想定以上の悪影響が及ぶリスクもある」という。
訪日外国人観光客によるインバウンドの減少、国内での外出や各種イベントを控える動きなどが広がったことで、少なくとも3兆円近いダメージが想定されるというのだ。
「一斉休校や在宅勤務によって、出前やテイクアウト、通販などの“巣ごもり消費”やテレワーク関連などは特需に沸く一方、これまで人を集めてきた宿泊、運輸などの『観光』関連をはじめ、『外食』、結婚式場、ライブハウスなどの『イベント』関連、さらには濃厚接触の可能性が高い『カラオケ』業界などの中には、倒産の危機に晒されるところが増えてくるのは必至だろう」(市場関係者)
帝国データバンクの調査では、新型コロナウイルスの影響による企業の倒産(法的整理・事業停止)は3月11日までに全国で8件発生していることが判明している。
2月14日に愛知県蒲郡市の老舗旅館「富士見荘」が中国からの団体客のキャンセルが相次いだことから事業停止したのをはじめ、感染が拡大した北海道でもコロッケを製造販売する「北海道三富屋」が2月25日に破産。3月2日には神戸港でクルーズ船「ルミナス神戸2」を運航する「ルミナスクルーズ」が民事再生法を申請するなど、新型コロナによる倒産が相次いでいる。
同調査では「どのケースももともと経営難、厳しい経営環境に置かれていた共通点があり、新型コロナウイルスが追い打ちをかけた。今後は、エリア拡大や新型コロナウイルスが主要因となる倒産、連鎖倒産の発生が懸念される」と指摘している。
街を歩けば一目瞭然だが、外出を極力控え、電車などに乗る場合もマスク姿が当たり前で他人との距離を取ろうとする。ふだんなら予約の取りにくい名店も気軽に入れたり、繁華街も人の姿は確実に減っている。生活実感でも経済が冷え込んでいることは手に取るようにわかるだろう。
街角の景況感も急速に悪化している。内閣府が3月9日に発表した2月の景気ウォッチャー調査によると、景気の現状判断指数(DI)は27.4となり、前月から14.5ポイントの大幅ダウンで、東日本大震災直後の2011年4月以来の低水準。2~3か月先の景気の見方を示す先行き判断DIは、前月比17.2ポイント低下の24.6だった。これも東日本大震災の起きた2011年3月以来の下げ幅であり、先行きが明るいとの声は聞こえてこない。
9年前の大震災が「目に見える恐怖」あるいは「目を覆うばかりの災害」だったが、今回は「見えない恐怖」が実体経済に「目に見える影響」を及ぼそうとしている。
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コロナ恐慌が95%の企業を直撃 長期化なら倒産・廃業は5万件超
3/13(金) 15:00配信
日刊ゲンダイDIGITAL
コロナ恐慌が95%の企業を直撃 長期化なら倒産・廃業は5万件超
「異次元の金融緩和」だけに支えられたアベノミクス(C)日刊ゲンダイ
いよいよ、日本のコロナ不況が深刻になってきた。財務省と内閣府が12日発表した1~3月期の法人企業景気予測調査は、大企業の全産業の景況判断指数がマイナス10・1となった。5年9カ月ぶりの低水準である。企業心理は一気に冷え込んでいる。このままでは倒産、廃業ラッシュになるのは確実だ。
◇ ◇ ◇
東京商工リサーチが、3月2~8日に行った最新の調査結果はショッキングだ。1万6327社にアンケートした。
94・6%の企業が「新型コロナウイルスの影響がある」と答えている。前回(2月7~16日)調査では、「影響がある」は66・4%にとどまっていた。わずか3週間で28・2ポイントもアップしている。通常の調査では、考えられないアップ幅である。
さらに2月の売上高を尋ねると、約7割(67・6%)が、「前年同月より落ち込んだ」と答えている。
新型コロナの影響を受けているのは、予想通り、「道路旅客運送業」(100%)、「宿泊業」(96%)、「飲食業」(91%)、「生活関連サービス(旅行、結婚式場など)」(90%)、「学校教育」(85%)がワースト5だった。
実際、新幹線もホテルも居酒屋もガラガラである。とくに居酒屋チェーンは、歓送迎会シーズンの3、4月に半年分の利益を稼ぐ店も多いだけに悲鳴を上げている。
最悪なのは、いつコロナパニックが終息するのか、まったく見通しが立たないことだ。政府の専門家会議も「暖かくなると消えるウイルスではない。数カ月から半年、または年を越えて対策を続ける必要がある」と長期化を警告している。
すでに「新型コロナ関連倒産」は8件起きている。この調子では、倒産の嵐が吹くのは間違いない。それでなくても、昨年10月の消費増税以降、倒産件数の増加に拍車がかかっている。
東京商工リサーチの友田信男常務取締役情報本部長はこう言う。
「昨年、企業倒産は8383件(前年比1・7%増)と11年ぶりに増加しています。廃業は4万3348件(同7・2%減)でした。合計5万社以上が市場から消えている。原因は<台風・消費税・暖冬・人手不足・後継者難>です。2020年は、倒産件数が1万件を突破すると予測しています。4月以降、急増するでしょう。倒産以上に激増しそうなのが、廃業です。中小零細企業のなかには、たとえ黒字でも後継者難など、事業継続が難しい会社が多い。コロナパニックを契機に、『赤字に転落する前に会社を畳もう』と、事業の継続を断念する会社が続出する恐れがあるとみています。やはり、先の見通しが立たないと、経営者のマインドも下がります。コロナパニックが長期化したら、廃業は5万件を超えるでしょう。当然、多くの失業者が出ることになります」
「異次元の金融緩和」だけに支えられたアベノミクスは、音を立てて崩れている。国民はコロナと不況のダブルパンチに見舞われている。
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新型コロナウイルス関連倒産 約1000名が旅行代金を支払済の旅行会社が破産
3/11(水) 19:08配信
東京商工リサーチ
新型コロナウイルス関連倒産 約1000名が旅行代金を支払済の旅行会社が破産
破産申請を告げる張り紙(TSR撮影)
旅行業法の規定で弁済限度額は1100万円
(株)愛トラベル(TSR企業コード:720200393、法人番号:8240001020684、広島市安佐南区川内6-44-32、設立1998(平成10)年6月、資本金5500万円、南波好紀社長)は3月10日、広島地裁に破産を申請した。申請代理人は田口靖晃弁護士(弁護士法人エムパートナーズ広島支所紙屋町総合法律事務所、同市中区紙屋町2-2-2、電話082-258-5481)。
負債総額は債権者約1100名に対して約3億円。このうち、旅行料金を事前に支払済みの債権者は約1000名で、負債総額は約3000万円。
1998年6月にバスツアーに特化した営業を開始し、ピークの2002年5月期の売上高は約20億円を計上した。その後、売上高は約14億円で推移していたが、2010年9月に総務省が貸切バス事業者に対し、指導・監督を強化したことで業容を縮小。2011年5月期の売上高は大幅に落ち込み、約9億8300万円と10億円を割り込み、その後も低迷が続いていた。
2015年から自社の保有バス運行などで業績改善に取り組んでいたが、2019年5月期は「平成30年7月豪雨」に伴い運行停止や予約客からのキャンセルが発生し、売上高は約5億5000万円まで落ち込んだ。
さらに、今年に入り、「新型コロナウイルス」感染拡大の影響で、キャンセルなどが相次いだ事から事業継続を断念し今回の措置となった。
なお、一般社団法人全国旅行業協会は3月11日、愛トラベルについて、「旅行業法の規定により旅行を申し込まれ事前に料金を頂いた方に対して弁済限度額が1100万円である」と記載している。
優良企業の「突然死倒産」急増!真相を帝国データバンクが解説
3/10(火) 6:05配信
ダイヤモンド・オンライン
優良企業の「突然死倒産」急増!真相を帝国データバンクが解説
“優良企業”の倒産が相次いでいるようです Photo:PIXTA
「あの会社がどうして?」
取引先や金融機関がこのように驚き、頭を抱える倒産が増えている。いずれの企業も決算書を見れば健全な内容。日々の支払いにも問題はなく、周囲からはとても倒産する企業には見えないところばかりだ。
【粉飾企業の倒産件数推移&主な粉飾倒産企業はこちら】
しかし、実のところ好業績というのは仮の姿。裏では長年にわたり業績不振が続き、運転資金が不足する事態に。そして、その実情を不適切な会計処理“粉飾”によって隠し通してきたのだ。
帝国データバンクが行った調査では、2019年に粉飾を行っていた企業の倒産が85件判明。近年は倒産件数の減少傾向が続き、粉飾企業の倒産も同様であったが、2019年は前年の2018年(67件)を26.9%も上回り、急増に転じた(グラフ)。
こうした粉飾倒産の増加には、主な債権者となる金融機関も危機感を抱いており、企業倒産に備える信用コストは増加している。全国地方銀行協会会長が記者会見で、その要因の一つとして融資先の「粉飾決算」について異例の言及をするなど、これまで倒産減少に一役買っていた金融機関のスタンスに変化が起こる可能性もある。
● ある日突然倒産する “優良企業”3つの共通点
2019年は、業績堅調の優良企業とみられていた企業が粉飾決算の末に倒産するケースが相次いでいるが、これらにはいくつかの共通点がある。
1つは、倒産した企業の「個別の負債額が大きい」という点。負債額が「10億円以上」を超える粉飾倒産は2019年に33件と、前年の23件を大きく上回った。保険代理店業の「AIコーポレーション」(旧T.F.K)が負債194億円を抱えて倒産するなど、負債が売り上げ規模を大きく上回る倒産も多い。理由は金融機関などからの借入金を簿外化、つまり決算書には多額の借金を載せていない企業が多かったためだ。
この点と密接に関係しているのが、「取引金融機関の多さ」、そして「粉飾していた期間の長さ」だ。主だった企業だけでも表のとおりとなっている(表)。
中堅クラスであっても取引金融機関の数は10以下がほとんどだが、ふたを開けてみると20を超える金融機関から融資を受けていたケースが大半を占める。前述のAIコーポレーションのように50を超える異常な事例もある。また粉飾を行っていた期間も、10年を超えるケースが多い。事務機器や和洋紙の卸事業を手がけ、先日倒産した「玉屋」(島根県)も30年以上にわたり粉飾を行っていた。
裏を返せば、これらの企業は昔から経営に変調をきたしており、これまで、いつ倒産してもおかしくない状態だったともいえるだろう。いったいなぜ、これほどの長期にわたり粉飾を続けることができたのだろうか。
● “粉飾”にはメリットがたくさん!? 社長一人で手を染めるケースも
そのカギは、企業が意図的な粉飾に走る理由を考えるとわかりやすい。そもそも粉飾企業が増加しているのは、粉飾決算に「メリット」があるからだ。
通常であれば正しい決算書を出すのが当然だが、業績が大幅に悪化した企業の経営者は正しい決算書を対外的に出すことにより、金融機関との関係が悪化するのを懸念する。連続赤字や債務超過であったりすればなおのことだろう。
資金の出し手である金融機関としても、業績や財務内容など会社の成績表が良いに越したことはない。そこのチェックさえくぐり抜ければ、融資を引き出せるとの思いにとらわれてしまう。
本来、粉飾は発覚した際に、金融機関や取引先との信頼関係の破綻につながり、企業経営に致命的なダメージを与えることになる。しかし、ばれずに粉飾した決算書によって金融機関からの融資を得られれば、急場をしのぐことができる。「次に取り返せばいい」と思い、メリットとデメリットをてんびんにかけて粉飾に走る企業経営者が多かったということだ。
また、近年はメリットの方が大きいと思わせる要因がほかにもあった。量的緩和政策に伴う長引く低金利と、それによって起きた金融機関の貸し出し競争だ。これは結果的にお金を借りる側の企業の立場を優位にし、融資を引き出しやすい環境を生み出すことになった。金融機関側も数少ない優良企業に殺到する。粉飾企業への融資を行っていた金融機関を見ると、当該企業とは地縁も何もない地方銀行が多数含まれているが、銀行を取り巻く厳しい実態を物語っているといえるだろう。
そして、粉飾行為への抵抗感も薄くなってきているようだ。興味深いことに倒産した粉飾企業のうち、売上高が数十億円に達するような業界中堅の企業でも決算数字について把握しているのは社長のみという会社が複数見受けられた。つまり、これらの企業では、社長一人で粉飾決算のためのさまざまな偽装工作を行っていたと考えられる。財務・経理のプロではない、一社長が複数の金融機関をだまし通せていたのだ。
偶然か必然か、金融機関が決算書でどのような数値を重視しており、どんな情報を隠せばいいか。また、異常値が出た場合のうまい言い訳も用意していたのだろう。
例えば、架空の売り上げ計上を行っていた婦人服アパレルの「リファクトリィ」は断固として店舗ごとの数字を開示しなかったという。この会社も社長一人が決算の粉飾に関与、期間が長期にわたったため、本人にももはや正しい数字がわからないという異常な状況に至った。こういった素人同然の人間の手によっても金融機関にバレない決算書が作られていたわけだ。
企業が粉飾を続けながら長年事業を継続できていたのも、優良企業としてのイメージを利用し、それにふさわしい決算書を用意すれば、一時的に資金繰りに窮しても比較的容易に金融機関が融資に応じてくれたことが大きい。実際、倒産した多くの企業は金融機関に発覚するまで、一般の取引先への支払いには支障を来さずにきた企業ばかりだ。
また、粉飾について関与しているのが社長のみという状況は、経理担当者の交代がないことで一貫した粉飾を続けられる要因となり、従業員のリークによる発覚などを防ぐことにもつながった。こうして長期にわたり粉飾決算を行った企業の倒産が続発したのだ。
● 数字を見て実態を見ていなかった 金融機関に警鐘を鳴らす結果に
この10年余りの企業倒産減少の要因としては、地域経済活性化支援機構(REVIC)、中小企業再生支援協議会といった従前の裁判所以外の事業再生にかかわる組織が整備されたことが挙げられる。事業再生ADRなど法的整理に頼らない再生パッケージも充実し、金融機関側もこうした組織、制度を活用して、再生が必要な企業のソフトランディングを目指していた経緯がある。
また、企業の資金繰りが悪化しても2009年の中小企業金融円滑化法とその後の金融庁からの指導もあり、金融機関による返済のリスケジュールが広範にわたって行われてきたことも大きな影響を与えた。
ただ、長年にわたる粉飾が発覚したとなると話は別だ。会社側が隠し切れずにカミングアウトすることもあれば、デューデリジェンス(企業の価値やリスクなどの調査)の結果、判明することもある。いずれにしろ粉飾を行っていた企業では、企業と金融機関の信頼関係が前提となる前述の再生パッケージを選択肢に入れることは困難になるだろう。
粉飾に強い疑いを抱いていた金融機関と実態を開示される寸前で気付いた金融機関では、支援の足並みもそろわない。結果的に裁判所が中心の法的整理を選択せざるを得ず、倒産増加の要因となった。
企業と金融機関の関係は時代の変遷とともに移り変わってきた。バブル崩壊後の貸し渋り、貸しはがしから一転、リーマン・ショック以降は金融機関がリスケジュールに応じることが一般化、事業再生に一役買う一方で、「借りた金を返さなくてもいい」という誤った認識につながり、経営者のモラルハザードを招いた側面もある。
近年の低金利はさらに両者の関係性をいびつにさせ、収益を上げる必要のある金融機関は投資用不動産に絡んだ不正に手を貸すことにもなった。今回の粉飾企業の倒産増加は、木を見て森を見ず、数字を見て企業活動の実態を見ていなかった金融機関に警鐘を鳴らすことになる。
(帝国データバンク 東京支社 情報部)
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