犬の糞投げてもおとがめなし? 近隣トラブル“逮捕の壁”
8/31(木) 9:26配信 日刊ゲンダイDIGITAL
犬の糞投げてもおとがめなし? 近隣トラブル“逮捕の壁”
現行犯でないと…(写真はイメージ)/(C)日刊ゲンダイ
ご近所さんが“問題児”だと最悪だ。8月17日深夜、近隣男性(47)に車で衝突し、殺人未遂容疑で逮捕された神奈川県小田原市の無職、小松徳子容疑者(65)なんて、まさにその典型だろう。
徳子容疑者は今年6月ごろから自宅に風鈴を5つもぶら下げたり、大音量でテレビを見たりと、近所に騒音をまき散らし、苦情が相次いでいた。で、近隣男性も徳子容疑者に注意しようとしたら、車をぶつけられ、ひじを打つなどの軽傷を負ったという。
「何でも、徳子容疑者と同居の30代の娘は、近所の家にサバの味噌煮やペットボトルを投げ込んだり、車に油をかけたり、壁などに油性ペンで落書きするなどの嫌がらせも続けていたそうです」(捜査事情通)
住民が設置した防犯カメラにも、徳子容疑者らしき不審な人物が、近所の家に何かをかけるような様子が写っていたというが、こちらは現行犯ではないため、逮捕が難しいようだ。この手の近隣トラブルは殺人など人的被害が出ない限り、泣き寝入りになるケースが多いという。弁護士の山口宏氏がこう言う。
「落書きはもちろん、サバの味噌煮をぶちまけられたことで住居の一部を汚されたら、建造物等損壊罪に問うことは可能です。建物の効用を害したときに成立しますが、ただし、過去の判例を見ても〈公衆便所の壁にラッカーで『戦争反対』と落書きした〉などと、政治的な問題に絡むケースが多い。近隣トラブルでの逮捕事例はほとんどありません」
現行犯ではない場合、“容疑者”が否定し、壁も洗い流せばきれいになる程度だったりすると、効用を害したとまでは判断しにくいという。簡単には消せないペンキなどで、よほど悪質な内容を書いたりしない限り、警察も動きにくいというのが実情のようだ。
嫌がらせで生卵を顔に直接ぶつけられたら暴行罪だが、家の外から壁や玄関に投げられた程度では「住民同士の話し合いで」、で済まされてしまいがち。それは犬の糞など汚物でも同じらしい。
「汚物の場合は、気持ち悪さも加味されるので、量にもよりますね。臭いが染みついて取れないとか、使い物にならないくらい汚されたら、建造物損壊に当たる。でも、簡単に落とせる程度の少量の汚物なら罪に問われないこともあります」(山口宏氏)
徳子容疑者は昨年10月に現場の住宅街に引っ越してきたばかりだった。“恐怖の隣人”は、いつやって来るか分からない。