新型コロナウイルス、どういう症状が出るのか
1/31(金) 16:30配信
BBC News
新型コロナウイルス、どういう症状が出るのか
新型コロナウイルス、どういう症状が出るのか
ジェイムズ・ギャラガー、BBC健康・科学担当編集委員
新型コロナウイルスの撃退は、医者にとっては得体の知れないものとの戦いと言える。
新型ウイルスは人の体をどう攻撃するのだろうか。感染すると、一体どんな症状が現われるのだろうか。重症化あるいは死亡するリスクが高いのはどんな人で、どうやって治療すればいいのだろうか。
中国・武漢市の金銀潭医院で、このエピデミック(伝染病)の最前線で活動する医師らの証言から、様子が少しずつ分かってきた。
同病院で早い段階で治療を受けた感染者99人に関する詳細分析が、1月30日付で英医学誌「ランセット」に掲載された。
■肺への攻撃
病院に搬送された99人全員が肺炎にかかっていた。肺は炎症を起こし、血液に酸素を運ぶ肺胞には水がたまっていた。
そのほかの症状は以下の通り――。
・発熱:82人
・咳:81人
・息切れ:31人
・筋肉痛:11人
・混迷:9人
・頭痛:8人
・のどの痛み:5人
■最初の死者
最初に死亡した感染者2人は、一見健康そうだった。しかし実際には長年喫煙をしていたため、肺が弱っていた可能性がある。
1人目の61歳男性は、病院に到着した時点で重い肺炎にかかっていた。
急性呼吸不全状態で、つまり肺から各臓器に十分な酸素を送ることができていなかった。
人工呼吸器を装着されたものの、肺は機能しなくなり、心拍が停止した。男性は入院から11日後に死亡した。
2人目の男性(69)もまた、急性呼吸不全に陥っていた。
男性には体外式膜型人工肺(ECMO)が取りつけられたが、助からなかった。
男性の死因は重い肺炎と、血圧低下による敗血症性ショックだった。
■少なくとも10%が死亡
1月25日時点で、感染者99人のうち57人は入院中、31人は退院し、11人が死亡している。
この事実をもって、新型コロナウイルスの死亡率は11%だということにはならない。今も入院している感染者の中には今後死亡するかもしれない人がいるかもしれないし、症状が軽くて入院せずに済んだ人も多くいるからだ。
■市場関係者
武漢市の魚市場「華南海鮮卸売市場」で売られていた生きた動物が、「2019-nCoV」と呼ばれる新型コロナウイルスの発生源と考えられている。
そして、この99人の感染者のうち49人には、市場と直接的な接点があった。
・47人は市場で働いていた。マネージャーあるいは屋台の人員配置を取り仕切るなどしていた
・2人は市場に立ち寄った買い物客だった
■最も影響を受けるのは中年男性
99人のほとんどが中年で、平均年齢は56歳。そのうち67人は男性だった。
しかし、さらに直近のデータによると、感染者の男女差はあまりない。中国疾病管理予防センター(CCDC)によると、女性1人に対し男性は1.2人が感染していた。
男女の違いについて、考え得る可能性は以下の2つ。
・男性の方が重症化しやすく、病院での治療を必要とする可能性がある
・社会的あるいは文化的理由から、男性の方が、アウトブレイクが始まった当初からウイルスにさらされる頻度がより高かった可能性がある
金銀潭医院のリ・ジャン医師は、「女性の方がウイルス感染症の影響を受けにくいのは、免疫において重要な役割を担うX染色体と女性ホルモンの働きが関係している可能性がある」としている。
すでに他の病気を患っていた人も
99人のほとんどが、別の病気にかかっていた。「免疫機能が低下した結果」、ウイルスに感染しやすくなっていた可能性がある。
・40人が心臓病や心不全、心臓発作などの影響で、心臓が弱かったり血管に損傷があった
・12人は糖尿病だった
(英語記事 Coronavirus: What it does to the body)