日本は大丈夫? 「永遠の化学物質」、米国の水道水の大半で検出
6/21(日) 10:20配信
NIKKEI STYLE
米ミネソタ州コテージグローブには、1950年以来、防水および防汚製品向けの様々なPFASを生産してきた工場がある(PHOTOGRAPH BY DANIEL ACKER, BLOOMBERG/GETTY IMAGES)
PFAS(パーフルオロアルキル化合物およびポリフルオロアルキル化合物)とは、耐水性や耐火性を高めるため、一般的な家庭用品に大量に使用されているフッ素化合物の総称。「永遠に残る化学物質」として、近年、欧米で大きな問題になっている。さらに2020年1月22日に米国の非営利団体エンバイロンメンタル・ワーキング・グル-プ(EWG)が発表した調査結果によると、PFASは米国の大半の水道水にも含まれているという。
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PFASは4000以上の異なる化学物質の総称で、家庭用品からファストフードの包み紙まで、あらゆるものに含まれている。人間の血液から検出されたとの調査結果さえある。
国民も政治家たちも、この問題を認識し始めている。
2019年12月には米国の予算案に、PFAS規制のための新たな費用が盛り込まれた。2020年1月初めにはPFASを規制する法案が米下院を通過し、上院での採決を待っている。また、デュポン社によるPFASの大量排出に立ち向かった弁護士ロブ・ビロット氏に関する記事が2016年の米ニューヨーク・タイムズ紙に掲載され、それに基づいたフィクション映画「Dark Waters」が2019年11月に公開された。
「現時点での知識でPFASと鉛を比べたら、鉛のほうが危険だと言えます。しかし、現時点で知られているPFASの危険性と50年前に知られていた鉛の危険性を比べると、どちらが勝つかは微妙なところです」と米ハーバード大学のデータサイエンティスト、シンディー・フー氏は話す。氏が所属する研究チームが2016年に出した報告によると、米環境保護局の基準値を超えてPFASが含まれる水道水を飲んでいる米国人は、少なくとも600万人に上る。
■PFASとは? どこにある?
PFASは1940年代から様々な製品に使用されてきた。PFASを構成する炭素とフッ素の結合は、有機化学で作りだせる最も強力な結合の1つだ。この結合のおかげでPFASは水分や熱に強く、汚れが付きにくい性質をもつ。PFOS(パーフルオロオクタンスルホン酸)やPFOA(パーフルオロオクタン酸)のようにPFASの中でも頻繁に使われる物質は、半減期が長いために「永遠の化学物質」とも呼ばれる。
EWGは今回、米国の31州で44カ所の水道を調査した。すると、そのうちなんと43カ所でEWG独自の基準を超える量のPFASが含まれていた。
「まだ完全には理解されていない水道水の危険性の中でも、最も大きな問題ではないかと思います。しかもこれは何十年も前から続いています」。調査に携わったEWGのシニアサイエンティスト、デイビッド・アンドリュース氏はそう話す。
私たちは家具や衣服などを通じてPFASに接触しているが、環境保護局によれば、水道水汚染の大半は、製造工場や下水処理場といったPFASを扱う施設の近くで起こる。一般的な家庭用浄水フィルターはPFASを取り除くことができないが、PFAS除去をうたう高価な浄水製品はある。
EWGが調査した地域のうち、水道水中のPFOSおよびPFOAの濃度が環境保護局の基準値を超えていたのは、ノースカロライナ州ブランズウィック郡とアイオワ州東部クアッドシティーズの2カ所だけだった。環境保護局の基準値では、水道水中のPFOSおよびPFOAの許容濃度を70ppt(pptは1兆分の1)までとしている。これはあくまで「健康勧告値」で、環境保護局が他の化学物質で公式に規制している基準とは意味合いが異なる。水道水中に含まれるべきではないと認めてはいるが、健康勧告値に強制力はない。
EWGの独自基準はそれよりはるかに低く、1pptを超えると有害である可能性があるとしている。この値は、げっ歯類や人間に及ぼすPFASの影響を調査した数本の論文に基づいている。
ただし、研究者のフー氏はEWGによるデータの取り方に異論を唱えている。EWGの調査では、PFOAやPFOSといった化学物質の個別の濃度でなく、PFASに該当するあらゆる化学物質がひとまとめに扱われている。フー氏が言うには、PFASの規制が個々の物質ごとに行われるべきか、それとも包括的に行われるべきかについて、科学者の意見は一致していない。
健康にどんなリスク?
■健康にどんなリスク?
ウエストバージニア州の農家ウルバー・アール・テナント氏が家畜の牛を100頭以上失ったとき、彼は近くにあるデュポン社の工場が地域の土と水を汚染していると考えた。2017年に和解に至った裁判では、デュポン社が調理器具や防水ウエアに使われるPFOAを、テナント氏の農場に隣接するゴミ捨て場に廃棄していたことがわかった。
この裁判を受け、米国疾病予防管理センターは852ページにも及ぶ報告書を発表した。それによると、環境保護局は人間が摂取しても安全なPFASの量を多く見積もりすぎていた。この調査では、14種類のPFASとがん、先天性異常、甲状腺疾患、および肝障害との関係性が示された。また、PFASと高コレステロールや神経障害との関係性を指摘する研究もある。
PFASを扱う施設の近くに住めばリスクが高くなる。しかし、PFASを使用した製品は、掃除用品、フッ素樹脂加工のフライパン、レインコート、防汚加工のカーペット、食品の包装など、あまりにも身近にありふれているため、ほぼ誰もが体内にPFASを取り込んでいる。米国有害物質疾病登録局が定期的に行う調査では、ほぼすべての血液サンプルからPFASが検出されている。
ただし、この調査が始まった1999年以来、血中のPFOSとPFOAの濃度は下がっている。これはおそらく、米国内では2000年代初頭から、これらの物質が製造されなくなっているからだ。それでも、輸入品の布製品やカーペット、プラスチックなどには今も含まれている。PFOAやPFOSに代わるPFAS物質もやはり、健康被害をもたらすとされている。よく使われる2種類の代替物質について環境保護局が毒性検査を行ったところ、どちらも腎障害、免疫不全、および生殖に関する問題をもたらす可能性があることがわかった。
EWGによる今回の報告について環境保護局にコメントを求めたところ、同局のPFAS行動計画を強調する回答が返ってきた。その内容は、同局が「PFASの調査、モニタリング、検出、対策をより効果的に行うために重要な措置を講じる」というものだ。
■規制は進む?
PFASが大半のサンプルから検出されたことについて、EWGの調査に関わったアンドリュース氏は、「環境保護局が安全な水道水のための基準を設定する能力を欠いていることは明らかです」と話す。
水道水に含まれる化学物質は、1974年に制定された安全飲料水法によって規制されている。しかし、1996年以降、規制対象に新たな化学物質は加えられていない。というのも、同法の修正により、規制対象に新たな物質を追加する権限が、議会から環境保護局に移されたほか、ある化学物質が間違いなく人間の健康を脅かすと証明することがより困難になったのだ。
2019年12月、環境保護局はPFOSとPFOAについて内部での審査を開始し、現在も規制対象にすべきかどうかを審議している。
国の態度にしびれを切らし、多くの州は独自にPFASの基準を定めている。PFASの使用をやめると宣言している企業もある。
「環境保護局はずっと前からPFOSとPFOAを警戒していました。飲料水の基準を定めるには多くの証拠が必要となるので、ガイドラインを作ったり、健康被害をもたらしかねない化学物質を水道水から段階的に減らしたりする作業が難しいのは事実です」。そう話すのは、米非営利団体サイレント・スプリング・インスティテュート(沈黙の春研究所)の研究者、ローレル・シャイダー氏だ。
シャイダー氏は、PFASの規制法案が上院で可決されるのは難しいと考えているが、各州は今後も独自のガイドラインを定めていくだろうとの希望を持っている。
文 Sarah Gibbens、訳 桜木敬子、日経ナショナル ジオグラフィック社
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人間の血液の機能を超える「人工赤血球」が誕生!薬物を自在に運搬し、ガン治療にも期待
6/18(木) 20:01配信
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新型コロナウイルスによる外出制限などを理由に、輸血用の血液が不足する事態が起きている。世界各国で血液の確保が喫緊の課題となる中、今注目されているのが新たな赤血球の開発だ。
このほど米国のニューメキシコ大学などの国際研究チームが、赤血球と同等の機能を持つ「人工赤血球」を開発した。赤血球元来の能力を兼ね備えただけでなく、それ以上の機能を持つ高性能な赤血球が誕生したと話題を呼んでいる。
本物の赤血球から再構築された「人工赤血球」
今年5月に科学誌の『ACS Nano』で発表された人工赤血球は「再構築赤血球(RRBC:Rebuilt Red Blood Cells)」と呼ばれ、まさに人間の赤血球から“再構築”する手順で作られている。まず血液から採取した赤血球を「シリカ」と呼ばれる物質でコーティングする。その周りに正と負に帯電したポリマーを塗装し、内部のシリカを除去して赤血球の「レプリカ」を完成させ、さらに赤血球の膜で覆って仕上げられた。
実験では、この人工赤血球に柔軟性があることも立証された。形状を変えて細かな毛細血管にまで行き届き、その後の形も元に戻る。そのため体内の隅々にまで酸素を循環させることができるという。大きさや形だけでなく、酸素の運搬能力も本物の赤血球と類似しているため、赤血球としての機能を十分に果たすとされた。またマウスの体内に投与した場合、人口赤血球は体内に48時間持続し、4週間経っても毒性は見られなかった。
人工赤血球を自在に動かす「プラスアルファ」の機能
科学ニュースサイトの『SciTechDaily』によれば、これまで各国でさまざまな人工赤血球が開発されたものの、赤血球の機能をすべて補えるものではなかった。そうした問題を解決すべく、今回開発された人工赤血球は、元来の赤血球に取って代わることができるだけでなく、さらなる可能性も秘めている。
人工赤血球の中に薬剤などの物質を入れ、磁気誘導で自在に動かすことができるという。たとえば、体内の局所を狙って送り届けるといった働きができるため、科学ニュースサイトの『Phys.org』はガン治療などにも期待できると伝えている。実用化に至るまでにはまだ時間がかかるとみられているが、研究チームは毒素を検出するなどさらなる可能性も示唆している。
新型コロナウイルス感染拡大の影響でひっ迫する医療業界に一縷の望みをもたらした人工赤血球。今後、人間の手によって生み出されたこの小さな個体は、現代の想像をはるかに超えた医療革新をもたらしてくれるかもしれない。
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米ミネソタ州コテージグローブには、1950年以来、防水および防汚製品向けの様々なPFASを生産してきた工場がある(PHOTOGRAPH BY DANIEL ACKER, BLOOMBERG/GETTY IMAGES)
PFAS(パーフルオロアルキル化合物およびポリフルオロアルキル化合物)とは、耐水性や耐火性を高めるため、一般的な家庭用品に大量に使用されているフッ素化合物の総称。「永遠に残る化学物質」として、近年、欧米で大きな問題になっている。さらに2020年1月22日に米国の非営利団体エンバイロンメンタル・ワーキング・グル-プ(EWG)が発表した調査結果によると、PFASは米国の大半の水道水にも含まれているという。
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国民も政治家たちも、この問題を認識し始めている。
2019年12月には米国の予算案に、PFAS規制のための新たな費用が盛り込まれた。2020年1月初めにはPFASを規制する法案が米下院を通過し、上院での採決を待っている。また、デュポン社によるPFASの大量排出に立ち向かった弁護士ロブ・ビロット氏に関する記事が2016年の米ニューヨーク・タイムズ紙に掲載され、それに基づいたフィクション映画「Dark Waters」が2019年11月に公開された。
「現時点での知識でPFASと鉛を比べたら、鉛のほうが危険だと言えます。しかし、現時点で知られているPFASの危険性と50年前に知られていた鉛の危険性を比べると、どちらが勝つかは微妙なところです」と米ハーバード大学のデータサイエンティスト、シンディー・フー氏は話す。氏が所属する研究チームが2016年に出した報告によると、米環境保護局の基準値を超えてPFASが含まれる水道水を飲んでいる米国人は、少なくとも600万人に上る。
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PFASは1940年代から様々な製品に使用されてきた。PFASを構成する炭素とフッ素の結合は、有機化学で作りだせる最も強力な結合の1つだ。この結合のおかげでPFASは水分や熱に強く、汚れが付きにくい性質をもつ。PFOS(パーフルオロオクタンスルホン酸)やPFOA(パーフルオロオクタン酸)のようにPFASの中でも頻繁に使われる物質は、半減期が長いために「永遠の化学物質」とも呼ばれる。
EWGは今回、米国の31州で44カ所の水道を調査した。すると、そのうちなんと43カ所でEWG独自の基準を超える量のPFASが含まれていた。
「まだ完全には理解されていない水道水の危険性の中でも、最も大きな問題ではないかと思います。しかもこれは何十年も前から続いています」。調査に携わったEWGのシニアサイエンティスト、デイビッド・アンドリュース氏はそう話す。
私たちは家具や衣服などを通じてPFASに接触しているが、環境保護局によれば、水道水汚染の大半は、製造工場や下水処理場といったPFASを扱う施設の近くで起こる。一般的な家庭用浄水フィルターはPFASを取り除くことができないが、PFAS除去をうたう高価な浄水製品はある。
EWGが調査した地域のうち、水道水中のPFOSおよびPFOAの濃度が環境保護局の基準値を超えていたのは、ノースカロライナ州ブランズウィック郡とアイオワ州東部クアッドシティーズの2カ所だけだった。環境保護局の基準値では、水道水中のPFOSおよびPFOAの許容濃度を70ppt(pptは1兆分の1)までとしている。これはあくまで「健康勧告値」で、環境保護局が他の化学物質で公式に規制している基準とは意味合いが異なる。水道水中に含まれるべきではないと認めてはいるが、健康勧告値に強制力はない。
EWGの独自基準はそれよりはるかに低く、1pptを超えると有害である可能性があるとしている。この値は、げっ歯類や人間に及ぼすPFASの影響を調査した数本の論文に基づいている。
ただし、研究者のフー氏はEWGによるデータの取り方に異論を唱えている。EWGの調査では、PFOAやPFOSといった化学物質の個別の濃度でなく、PFASに該当するあらゆる化学物質がひとまとめに扱われている。フー氏が言うには、PFASの規制が個々の物質ごとに行われるべきか、それとも包括的に行われるべきかについて、科学者の意見は一致していない。
健康にどんなリスク?
■健康にどんなリスク?
ウエストバージニア州の農家ウルバー・アール・テナント氏が家畜の牛を100頭以上失ったとき、彼は近くにあるデュポン社の工場が地域の土と水を汚染していると考えた。2017年に和解に至った裁判では、デュポン社が調理器具や防水ウエアに使われるPFOAを、テナント氏の農場に隣接するゴミ捨て場に廃棄していたことがわかった。
この裁判を受け、米国疾病予防管理センターは852ページにも及ぶ報告書を発表した。それによると、環境保護局は人間が摂取しても安全なPFASの量を多く見積もりすぎていた。この調査では、14種類のPFASとがん、先天性異常、甲状腺疾患、および肝障害との関係性が示された。また、PFASと高コレステロールや神経障害との関係性を指摘する研究もある。
PFASを扱う施設の近くに住めばリスクが高くなる。しかし、PFASを使用した製品は、掃除用品、フッ素樹脂加工のフライパン、レインコート、防汚加工のカーペット、食品の包装など、あまりにも身近にありふれているため、ほぼ誰もが体内にPFASを取り込んでいる。米国有害物質疾病登録局が定期的に行う調査では、ほぼすべての血液サンプルからPFASが検出されている。
ただし、この調査が始まった1999年以来、血中のPFOSとPFOAの濃度は下がっている。これはおそらく、米国内では2000年代初頭から、これらの物質が製造されなくなっているからだ。それでも、輸入品の布製品やカーペット、プラスチックなどには今も含まれている。PFOAやPFOSに代わるPFAS物質もやはり、健康被害をもたらすとされている。よく使われる2種類の代替物質について環境保護局が毒性検査を行ったところ、どちらも腎障害、免疫不全、および生殖に関する問題をもたらす可能性があることがわかった。
EWGによる今回の報告について環境保護局にコメントを求めたところ、同局のPFAS行動計画を強調する回答が返ってきた。その内容は、同局が「PFASの調査、モニタリング、検出、対策をより効果的に行うために重要な措置を講じる」というものだ。
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PFASが大半のサンプルから検出されたことについて、EWGの調査に関わったアンドリュース氏は、「環境保護局が安全な水道水のための基準を設定する能力を欠いていることは明らかです」と話す。
水道水に含まれる化学物質は、1974年に制定された安全飲料水法によって規制されている。しかし、1996年以降、規制対象に新たな化学物質は加えられていない。というのも、同法の修正により、規制対象に新たな物質を追加する権限が、議会から環境保護局に移されたほか、ある化学物質が間違いなく人間の健康を脅かすと証明することがより困難になったのだ。
2019年12月、環境保護局はPFOSとPFOAについて内部での審査を開始し、現在も規制対象にすべきかどうかを審議している。
国の態度にしびれを切らし、多くの州は独自にPFASの基準を定めている。PFASの使用をやめると宣言している企業もある。
「環境保護局はずっと前からPFOSとPFOAを警戒していました。飲料水の基準を定めるには多くの証拠が必要となるので、ガイドラインを作ったり、健康被害をもたらしかねない化学物質を水道水から段階的に減らしたりする作業が難しいのは事実です」。そう話すのは、米非営利団体サイレント・スプリング・インスティテュート(沈黙の春研究所)の研究者、ローレル・シャイダー氏だ。
シャイダー氏は、PFASの規制法案が上院で可決されるのは難しいと考えているが、各州は今後も独自のガイドラインを定めていくだろうとの希望を持っている。
文 Sarah Gibbens、訳 桜木敬子、日経ナショナル ジオグラフィック社
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【写真】インドに残る違法な児童婚 貧困が招く悪習の連鎖
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人間の血液の機能を超える「人工赤血球」が誕生!薬物を自在に運搬し、ガン治療にも期待
6/18(木) 20:01配信
FINDERS
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新型コロナウイルスによる外出制限などを理由に、輸血用の血液が不足する事態が起きている。世界各国で血液の確保が喫緊の課題となる中、今注目されているのが新たな赤血球の開発だ。
このほど米国のニューメキシコ大学などの国際研究チームが、赤血球と同等の機能を持つ「人工赤血球」を開発した。赤血球元来の能力を兼ね備えただけでなく、それ以上の機能を持つ高性能な赤血球が誕生したと話題を呼んでいる。
本物の赤血球から再構築された「人工赤血球」
今年5月に科学誌の『ACS Nano』で発表された人工赤血球は「再構築赤血球(RRBC:Rebuilt Red Blood Cells)」と呼ばれ、まさに人間の赤血球から“再構築”する手順で作られている。まず血液から採取した赤血球を「シリカ」と呼ばれる物質でコーティングする。その周りに正と負に帯電したポリマーを塗装し、内部のシリカを除去して赤血球の「レプリカ」を完成させ、さらに赤血球の膜で覆って仕上げられた。
実験では、この人工赤血球に柔軟性があることも立証された。形状を変えて細かな毛細血管にまで行き届き、その後の形も元に戻る。そのため体内の隅々にまで酸素を循環させることができるという。大きさや形だけでなく、酸素の運搬能力も本物の赤血球と類似しているため、赤血球としての機能を十分に果たすとされた。またマウスの体内に投与した場合、人口赤血球は体内に48時間持続し、4週間経っても毒性は見られなかった。
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