市営住宅の自治会長が住民たちから不正な集金 被害額は1500万円に 「前払いすれば家賃が半額に」と説明 “行動力ある”と信頼された人物が集金の後に消えた

2023年07月22日 | 事件
市営住宅の自治会長が住民たちから不正な集金 被害額は1500万円に 「前払いすれば家賃が半額に」と説明 “行動力ある”と信頼された人物が集金の後に消えた

7/22(土) 18:30配信
関西テレビ

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市営住宅の有志でつくられる自治会、そのトップの自治会長が「家賃をまとめて前払いすると安くなる」と市営住宅の住民たちに話を持ち掛け、不正に金を集めていました。

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その被害額は数千万円規模に上るとみられます。住民たちの信頼を悪用した、驚くべき手口とは?
■信頼される自治会長「半額になる」と持ち掛けられた“家賃前払い”

被害に遭ったAさん

大阪市にある、築35年以上、全世帯数100戸ほどの市営住宅に妻や子どもたちと15年前から住んでいる会社員のAさん(48)。

被害に遭ったきっかけは、6年前、市営住宅の住民たちがつくる自治会の会計担当になったことでした。

【被害に遭ったAさん】
「(自治会長は)当初は何でもやってくれる、子どもの見守り隊とかもやってくれるし、本当に『パーフェクトな人が来たんちゃうかな』っていうぐらいの本当にすごい方でした、その時は。見た目は本当にいかついんですけど、しゃべったら優しい部分もあって、話がすごく好きな方で」

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年齢は60代半ば、丸刈りで恰幅(かっぷく)がよく、少し強面な見た目の自治会長N氏。

以前、自転車置き場を巡って、大阪市に整備をするよう掛け合うなど、自治会長として実行力のあったN氏。AさんはそんなN氏を信用していました。

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ある日、Aさんは自治会長N氏から市営住宅の中にある集会所に呼び出されました。N氏は「何人かに話をするけど先に言っておく。家賃を何世帯かまとめて払ったら、管理センターが家賃を半額にしてくれる。センターから話があったが、誰にも言わんといてくれ」と話しました。

自治会長から突然持ち掛けられたのは、「家賃が半額になる」という話。

その仕組みは、自治会長N氏が月々の家賃が半額になると言って住民たちから家賃の半額を前払いさせ集金。その集まった金を自治会長N氏がまとめて大阪市に納めると、その翌月から大阪市への家賃支払いがなくなるというものです。

つまり、事前に自治会長N氏に金を払えば、月々の家賃が半額で済むようになるという話だったのです。

■家賃の減額…なぜ信じてしまった? 被害者Aさんの印鑑も不正使用か

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Aさんはなぜ、そんなうまい話を信じてしまったのでしょうか?

【被害に遭ったAさん】
「本当に純粋に僕はうれしくて。『安くなる』って。まだ(N氏を)信じていたので。これに関しては『複数名、数名だけいける。家賃減額の対象になります』と」

AさんはN氏に2カ月分を先払いしたにもかかわらず、大阪市からも家賃は引き落とされていました。

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【被害に遭ったAさん】
「全員の5、6人の“減額家賃”の集金が終わって、全員のお金が集まってから減額がその後に始まるって言われたんで、(大阪市から続く)引き落としは当然やと思っていました。管理センターに電話したりとか、他の人に言ったら全部パァになる。お金も集まらなかったらパァになるからって」

言葉巧みに家賃減額を信じさせ、口止めまで…自治会長N氏を信用しきっていたAさんは、合計19カ月分の家賃の半額、およそ60万円を渡しました。

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しかし、2022年に住宅を管理する大阪市から「家賃が半額になることはない」という趣旨の文書が届き、全てうそだったことが発覚。詐欺に遭ったとして警察に被害を訴えています。

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さらに、自治会長N氏は他の住民から不正な集金をするときに、自治会の会計担当だったAさんの名前を無断で使っていたことも分かりました。

【被害に遭ったAさん】
「僕が知らない間に勝手に名前を書かれて、印鑑も僕は貸してないので、勝手に自身で買って、印鑑押している感じですね。僕も下手したら犯罪者になるところだったので、それは本当に許せない」

Aさんは被害者であるにもかかわらず、N氏とともに住民から金を集めている人物であるかのようにされていたのです。
■“前払いで家賃半額”は存在する? 老後の蓄え全て奪われた被害者も

大阪市の担当者

そもそも前払いすることで家賃が減額される制度はあるのか?住宅を管理する大阪市住まい公社が取材に応じ、きっぱりと否定しました。

【大阪市の担当者】
「そもそも家賃決定につきましては、毎年度、入居者の皆さんから申告された収入に応じて決まっていくもので、大阪市が決定するという形になっております。自治会の役員さんが(家賃に)介入するとか“前払い”制度は一切ございません」

Aさんに対する自治会長N氏の説明は、やはり作り話でした。

同じ市営住宅に一人で暮らしていたBさん(74)も被害にあった一人です。年金暮らしで老後の生活や将来に不安を感じ始めた頃、自治会長N氏から「家賃が半額になる」という勧誘されました。

【被害に遭ったBさん】
「最初は(大阪市から)家賃引かれても、(N氏にお金を)渡さなあかんのかなと思ったのは思ったんですよ。それで、私が大阪市の方に問い合わせたら良かったんですけど、それをしないで言われるままにね…。(家賃を)安くしてもらったら、私も楽になるしね。そんなこと考えて子どもにも連絡相談もしなかったんです。一人で考えこんでいて…」

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自治会長N氏は必ず2人きりのときに集金し、Bさんは家賃の支払いを断ることができない状態になってしまいました。

その後、Bさんへの集金はエスカレート。「自治会特別会員」や、「住宅のリフォーム代」など様々な名目で、合わせておよそ200万円を自治会長N氏に渡してしまったのです。

約200万を渡してしまった

--Q:200万はどういう金?

【被害に遭ったBさん】
「今まで働いてきたお給料とか保険とか。それだけしか(貯金は)ないんですよ。それだけ大事なものやのに、何でそんなことしたのかな、今思ったら。これから先どんな出費があるか分からないでしょ。病気になったりするか分からないし許せない。絶対返してほしい」

Bさんは貯金が底をつき、家賃が安い別の住宅に引っ越しせざるを得なくなりました。
■自治会長の不正集金 被害額は1500万円に 打つ手はないのか?

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住宅を管理する大阪市住まい公社によると自治会長N氏は、これまでに少なくとも12人からあわせて1500万円を不正に集金していたことが分かっています。

何か打つ手はないのでしょうか。

【大阪市の担当者】
「自治会は入居者の皆さんが、自主的に運用している組織ですので、基本的に市が監査とか指導とか直接言える立場ではない」

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一方で、被害相談が相次ぐことを受け、自治会長N氏に対しては…

【大阪市の担当者】
「接触をして、状況を聞かなければいけないということで、電話もしくは文書でアプローチをしているんですけれども、いまだ対応していただいていない状態ですね」

■自治会長N氏は今…金の返還は? 大阪府警「被害相談あるのは事実」

大阪府警「被害相談あるのは事実」

自治会長N氏は今どうしているのか。関西テレビ取材班が自治会名簿に登録されている番号に電話をしてみたところ、「おかけになった番号に電話をしましたがお出になりません」とアナウンスが。

N氏は今も市営住宅の住民ですが、住んでいる人たちによると数カ月前からほとんど帰ってきておらず、その姿を見かけなくなっているということです。

大阪府警は、今回の件について被害相談を受けていることは事実だと認めました。

自治会長の立場で、住民たちを信用させ詐欺まがいのやり方で集めた不正な金。果たして住民のもとに返ってくることはあるのでしょうか。

(関西テレビ「newsランナー」2023年7月20日放送)



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