全米で相次ぐコロンブス像の破壊、先住民虐殺の歴史に矛先

2020年06月11日 | 国際紛争 国際政治 

全米で相次ぐコロンブス像の破壊、先住民虐殺の歴史に矛先

6/11(木) 13:19配信
CNN.co.jp

頭部がとられた米マサチューセッツ州ボストンのコロンブス像

(CNN) 黒人男性ジョージ・フロイドさんの死をきっかけに全米で人種差別批判が強まる中、今度はクリストファー・コロンブスの銅像が各地で相次いで破壊されている。

【画像】池に投げ入れられたコロンブス像

米国史の中でコロンブスは、先住民に対する扱いや、多大な犠牲を出した暴力的な植民地化への関与をめぐって論議を巻き起こす存在だった。

ここ数年は、コロンブスの米大陸到達を記念した「コロンブス・デー」の祝日をやめて、コロンブスなど欧州の探検家が先住民に与えた苦難をしのぶ「先住民の日」に置き替える自治体も増えている。

CNN系列局のKMSPによると、ミネソタ州議会議事堂では10日、先住民保護団体が組織する集会の参加者が、コロンブス像の首にロープを投げ掛け、地面に引きずり落とした。

バージニア州リッチモンドでは9日、市内の公園に約1000人が集まり、コロンブス像を破壊して公園内の池に投げ込んだ。この集会を前に先住民団体は、「クリストファー・コロンブスは先住民の殺人犯だった。今も続く先住民に対する大量虐殺文化を広めた」とツイートしていた。銅像の残骸は10日に池から撤去された。

マサチューセッツ州ボストンでは、ノースエンド地区にあったコロンブス像の頭部が9日夜に破壊されたことを受け、当局が銅像を撤去した。ボストンのウォルシュ市長によると、銅像は当面の間は保管する予定だが、元に戻すかどうかは決まっていない。

この銅像は1979年に設置されたもので、2015年にも赤いペンキが塗られて「黒人の命は大切だ」のフレーズが背中に落書きされていた。
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イギリスで人種差別に抗議続く、奴隷商人の銅像を引きずり下ろし

6/8(月) 12:54配信
BBC News

イギリスで人種差別に抗議続く、奴隷商人の銅像を引きずり下ろし

アメリカの黒人男性死亡事件を受けてイギリス各地で始まった反人種差別デモは、7日に2日目を迎えた。南西部ブリストルでは、奴隷商人の銅像が引きずり下ろされ、ブリストル湾に投げ入れられた。

銅像は17世紀の商人エドワード・コルストンのもの。貿易会社「王立アフリカ会社」の一員で、約8万人の男女や子供をアフリカ大陸からアメリカ大陸に奴隷として送り込んだとされている。

コルストンは1721年に亡くなる際、遺産を多くの慈善団体に寄付しており、ブリストルには今もコルストンにちなんだ通りや記念碑、建物が残っている。

この日はブリストルのほか、ロンドン、マンチェスター、ウォルヴァハンプトン、ノッティンガム、グラスゴー、エディンバラといった都市でも抗議活動が行われた。

抗議の大半は平和的だったが、一部では警察との小競り合いに発展し、逮捕者も出ている。

世界各地に広がる黒人に対する人種差別反対運動は、ジョージ・フロイドさんの死が引き金となった。フロイドさんは5月25日、ミネソタ州ミネアポリスで、武器を持たず後ろ手で手錠をかけられた状態で地面にうつぶせにされ、白人警官に膝で首を9分近く押さえつけられて死亡。罷免された元警官は殺意のある殺人罪で訴追された。周りにいた警官3人も罷免され、ほう助罪などで訴追された。

ブリストルでは、コルストンの銅像が引きずり下ろされた後、抗議者のひとりが銅像の首に膝を押し付けていた。

銅像は台座から引きずり落とされた後に市内を引き回され、ブリストル湾に沈められた。台座はその後、抗議運動の臨時ステージになった。

プリティ・パテル内相は、銅像の破壊は「非常に恥ずべき」行いだと批判。「人々が抗議している目的から離れた、治安を乱す行為だ」と述べた。

「警察にはこの無秩序な違法行為に責任のある個人が、法の下に裁かれるようにする権利がある」

地元エイヴォン・アンド・サマセット警察は、「器物損壊行為」について事件として捜査すると声明を出した。

一方、マンチェスター大学のデイヴィッド・オルソガ教授(大衆史)はBBCの取材に対し、この銅像はもっと前に撤去されているべきだったと指摘した。

「こうした像は、『これは素晴らしいことをした素晴らしい人物だ』と知らしめるものだ。しかし、実際には違う。コルストンは奴隷商人で人殺しだった」

ブリストルのマーヴィン・リース市長は声明で、銅像の撤去について賛否が分かれるのは承知しているとした上で、「この銅像は人道への侮辱を表すものだと、そう感じた人たちの声を聞くのは大事なことだ」と述べた。

■チャーチル像に落書き

7日の抗議活動は大半が平和的に行われた。ロンドン南部ヴォクソールのアメリカ大使館前には何千人もの参加者が集まり、その後、議事堂前の広場や首相官邸のあるダウニング街まで行進した。

しかし、一部では器物損壊や小競り合いが見られた。警察の発表によると12人が逮捕されたほか、警官8人がけがをした。

ロンドン警視庁のジョー・エドワーズ警視は、ロンドンでの抗議は「大半が平和的だった」ものの、警官が「暴力や無秩序」にさらされるのは「まったく容認できない」と話した。

国会議事堂のあるウェストミンスターでは午後8時ごろ、参加者と警察との間で小競り合いがあった。抗議者は官庁街ホワイトホールへ向かう際に、発炎筒を灯した。

BBCのトム・シモンズ記者によると、ウェストミンスターでは少人数の抗議グループを制御するため、武装警官が投入された。また、8日午前6時まで集会禁止令が敷かれている。

またパーラメント・スクエアでは、元首相サー・ウィンストン・チャーチルの像に落書きがされ、「Black Lives Matter」のプラカードが巻きつけられた。

「Black Lives Matter」という表現は、2013年から2014年にかけて使われ始め、2014年8月に南部ミズーリ州ファーガソンで18歳の黒人男性が白人警官に射殺されたのを機に、全国的な抗議運動と共に広がった。「白人と同じように黒人の命にも意味がある」という意味が込められている。

ボリス・ジョンソン首相はツイッターで、「市民には平和的に抗議する権利がある。社会的距離を守りながら。しかし、警察を攻撃する権利などない。一連のデモは、ごろつきの悪質な行動にのっとられてしまった。本来主張していたはずのテーマを、裏切っている。当事者は責任をとることになるだろう」と書いた。

こうした暴力行為や器物損壊については、パテル内相のほか、ロンドン警視庁のクレシダ・ディック総監も「とんでもないことだ」と批判している。

一方、最大野党・労働党のリサ・ナンディー影の外相は抗議活動を擁護。「人種差別を前に黙っていられない」人たちが抗議しているのだと話した。

BBC番組「アンドリュー・マー・ショー」出演したナンディー氏は、若者が変化を求めて活動する姿を「誇らしく思う」と述べている。

(英語記事 Protesters tear down statue amid anti-racism demos)


奴隷商の銅像を引き倒し、チャーチル像に落書き…英でデモ

6/8(月) 12:17配信
読売新聞オンライン

7日、英西部ブリストルで、黒人差別に反対するデモに参加し、奴隷貿易商の銅像を港に投げ込む人々(AP)

 【ロンドン=広瀬誠】米ミネソタ州の黒人男性死亡事件を受け、英国各地で7日、前日に続いて抗議デモが起きた。英BBCなどによると、英西部ブリストルでは、かつての奴隷貿易商の銅像をデモ隊がロープで引き倒し、港に投げ込んだ。この貿易商は17~18世紀の地元商人で、アフリカ大陸から米州に奴隷を運んだ「王立アフリカ会社」の一員だったという。

 ロンドンの議会前広場や首相官邸前にもデモ隊が集まり、一部は警官隊と衝突し、負傷者や逮捕者が出た。議会前のチャーチル元英首相の像は「人種差別主義者だった」と落書きされた。チャーチルは第2次世界大戦で英国を勝利に導いた英雄だけに、「暴力や破壊行為は逆効果だ」(与党・保守党の下院議員)と反発の声も上がっている。

 この週末はフランス、ドイツ、イタリアなど欧州各国でも黒人差別に反対するデモが起きた。
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