衆議院の「劣化コピー」の参議院が、「無用であり有害」と言われる残念な理由

2023年03月07日 | 政治社会問題

👹二院制の片方が反対したら有害であり、賛成したら不要である!!
参議院は明治憲法下での貴族院の残骸であり不要!!


衆議院の「劣化コピー」の参議院が、「無用であり有害」と言われる残念な理由

3/6(月) 8:02配信
現代ビジネス

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 3月2日にインドでG20外相会合が開催されたが、林芳正外務大臣は参議院での予算案質疑を優先して欠席し、議論が巻き起こっている。驚くべきことに、野党だけでなく自民党の参議院議員までもが質疑への出席を促したと報じられた。

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 しかし実際の参院予算委員会での質疑で、林外相が答弁に立った時間はたったの53秒。主要国の外相が集まる会合よりも、参議院でのわずかな答弁を優先すべきなのだろうか? 
 大昔には「良識の府」と呼ばれた参議院だが、その面影は今やどこにもない。当選するのは、元タレントや元スポーツ選手、元衆院議員に、業界団体や労働組合の出身者だらけ。まともな政治を期待していいのか。

 前編『林外相「G20欠席」の結果が「たった53秒」の国会答弁…参議院に「存在価値」はあるのか? 』に引き続き、『週刊現代』2022年7月16日号より、参議院の存在意義について考える。
「参院のドン」の横槍が入った

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 '82年の鈴木善幸内閣の時に、それまでの全国区制を廃止し、拘束名簿式比例代表制が導入された。政党の得票数に応じて議席数が決定し、候補者名簿の順位に従って当選者が決まる仕組みとなった。これが参議院の弱体化につながったと政治ジャーナリストの後藤謙次氏は指摘する。

 「それまでの参議院はまだ『良識の府』と言われていたくらいで、各界の権威が国民を代表する立場で個人として議論していました。ところが、選挙制度が変わってからおかしくなった。執行部の権限で名簿の順位を決めることになり、与野党ともに参議院議員は執行部の顔色を窺わないとならなくなったのです」

 所属政党の言いなりになり、独自色を出せない参議院に不要論が巻き起こる。危機感を覚えた当時の参院議長は'99年に改革に向けた有識者懇談会を設立した。メンバーとして参加した評論家の大宅映子氏が振り返る。

 「1年間かけて学者やジャーナリストと議論をして、改革案を提案しました。政党が所属議員の投票行動を拘束する『党議拘束』の見直しや中長期的に政策を評価する委員会の設置、本会議では議員個人の専門や見識を生かした質疑を中心とすることなど、26項目を参議院に提出したのです。

 ところが、実現したのはわずか1項目のみ。改革したいという参議院の姿勢はポーズにすぎず、結局は何も変化を望まない体質だったのです」

 この有識者懇談会に幹事として参加した政治行政アナリストの本田雅俊氏が内情を明かす。

 「当時、『参院のドン』として権勢を振るっていた村上正邦氏や、自民党の参院幹事長だった青木幹雄氏から、何を勝手なことをやっているんだと横槍が入ったんです。彼らは当時の参議院の中で、議長以上の力を持っていました。改革されると自分たちの権威が傷つくと警戒したのか、断固抵抗してきた。結局、改革は何も進みませんでした」

 '00年、森喜朗内閣が非拘束名簿式比例代表制を採用し、参議院の選挙制度はさらに改悪される。激しく反発する野党を振り切って、強行採決に踏み切った。

 「この頃の『参院のドン』は青木幹雄氏で、彼は名簿に載っている候補者同士を競わせようとしました。比例投票先に政党名だけでなく、候補者の個人名を書けるようにして、個人の得票順に当選するようにしたのです。

 その結果、業界団体や企業、後援会などの組織を持っている人ほど当選しやすくなった。それ以外だと知名度のあるタレントにますます頼るようになってしまった。結局、選挙制度が変わったことで、参議院は力を失っていったのです」(前出・後藤氏)

無用であり、有害

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 参議院の権威の失墜を決定的にしたのが、'05年の郵政国会だった。

 衆議院を通過した民営化法案を参議院が否決。小泉純一郎総理(当時)は衆議院解散に踏み切った。内幕を取材したジャーナリストの田原総一朗氏が言う。

 「森前総理が小泉総理に、郵政民営化は参議院で否決されるから継続審議にしようと持ちかけたんです。ところが、小泉総理は絶対に採決すると突っぱねた。否決されたらどうするのかと尋ねると、衆議院を解散すると言い切ったんです。

 それで森前総理が、僕のところに泣きついてきた。僕の番組に彼が出て、小泉総理をコテンパンに批判した。それでも、小泉総理は解散に踏み切った。結果はご存じのとおりです。小泉総理は巧みな劇場型選挙で圧勝を果たした。郵政選挙後の国会で、参議院は民営化賛成に回る。参議院が政府の方針に反対しても意味がないことが明らかになってしまったわけです」

 その後、'06年に小泉総理の後継となった安倍晋三総理は、郵政民営化に反対した造反議員を復党させ、支持率が急低下。数々のスキャンダルにも見舞われ、'07年の参院選で大敗を喫する。

 野党が参議院の過半を占め、衆参で第一党が異なる「ねじれ」が生じて国会が大混乱に陥ったことは記憶に新しい。

 〈第二院は何の役に立つのか。もしそれが第一院に一致するならば、無用であり、もしそれに反対するならば、有害である〉

 18世紀に起きたフランス革命の指導者の一人であるシェイエスは二院制の問題点をこう喝破したとされる。現代日本の政党政治にも、この指摘は鋭く突き刺さる。参議院が「衆議院のカーボンコピー」であれば、それは無用であり、衆参でねじれると政権はたちまち不安定になり、有害だ。
良識を取り戻せるのか

 日本と政治制度は異なるが、上院と下院の二院制を取る米国でも、上院の存在が政治的混乱を引き起こしているという。米スタンフォード大学教授(政治学)のモリス・フィオリーナ氏が言う。

 「上院があることで国民の選択肢が増え、一見、民主主義を維持しているように見えますが、実際はそうではありません。皮肉なことですが、上院があることで非民主的になっていると言っても過言ではない。

 よく指摘される問題点は上院で認められている『フィリバスター』と呼ばれる『議事妨害』です。米上院では法案の採決を阻止するため、議事の進行を妨げることが認められています。民主党と共和党の勢力が拮抗している現在の米上院では、民主党は共和党によるフィリバスターの行使に対抗することができない。

 国家のためになるかもしれない法案であっても、共和党が民主党の手柄にしたくない場合、廃案に追い込むことができる。これは非民主的な制度ではないでしょうか」

 日本でも同様のことが起こると、フィオリーナ氏は指摘する。

 「日本で『ねじれ』が生じて、参議院が見せしめのために法案を通させないとしたら、それも非民主的な行為です。ただ、現状は『ねじれ』が生じておらず、衆議院で可決されたものが、そのまま参議院で可決されているようですから、参議院の議論は形式だけのように見えます。そうであれば、参議院が存在する意味はあまりありません」

 党派を超えた良識でもって、衆議院で可決された予算や法案を修正し、時には否決する。場合によっては、政府の方針に真っ向から物申す。そうでなければ、年間約400億円ものコストをかけて参議院を維持する必要はない。政治ジャーナリストの鈴木哲夫氏がこう提案する。

 「参議院の選挙制度を改革することが必要です。選挙区はなくし、比例代表制だけで定員100名程度が選ばれるようにする。さらに参議院議員は政党に属さないといったルールを決める。参議院はどうあるべきかの理念をきちんと立て、政党主体でない選挙で選ばれるのが参議院議員であるべきです。そうして初めて、衆議院と異なる視点で予算や法案の審議ができるようになるでしょう」

 次の参院選は3年後。それまでに変わることができなければ、参議院はもういらない。

 「週刊現代」2022年7月16日号より

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