『博士の愛した数式』という映画があった。




世界的数学者が、事故で記憶が80分しか持たなくなった、という内容だった。
今、夫の記憶は持って15分ってとこかな。

今聞いてきて答えたことを、また聞いてくる。

もうだいぶ慣れてきたが、皮肉の一つも言ってやりたい気持ちである。
まぁ、言われた皮肉もすぐに忘れるだろうけど。

身体的には至って丈夫で元気。

そんな夫を見ていると、
アルツハイマーにならなければ、もっと楽しい老後ライフを送れたろうにと、思ってしまう。

が、
もし夫が脳も身体も元気だったなら、
私はもっと夫に対してつっけんどな態度で接していたことだろう。

もっと我儘な態度で、夫に不満をぶつけていたろう。

人生の“もし”を考えても詮無いこと。
まだ15分間でも覚えていれば御の字だったね、と思える日が来るのかも?

今はただ、穏やかに暮らせるように努力するのみ、である。






