心の模様

心の中の一つ一つを整理して、いつか素敵な部屋にしてみたい。

時には

2016-08-05 | 昔々
健康診断の血液検査で

腕に大きなあざができたような

内出血してしまって

紫色が広がっていたから



それを隠すために

建物の中でも

長い手袋をしたままで



初めて来た場所だったけど

しょうがないってそのままにした



手袋が気になってて

気付くのが遅れたけど



司会の人が

じっと私を見ていた



そんなに若くないけど

かなりのイケメンで

目を惹く感じだけど

見覚えがある気がした



あの人だ



帰りがけにその人が

近付いてきて



綺麗になったねって

真面目な顔をした



随分老けたねって

言いたいんでしょって

目だけ出して

私は顔を掌で覆って

笑って見せた



その人は首を振って

少し笑った



私は急に手袋を取って

このすごい紫色の腕を

その人に見せたくなった



驚かしてあげようって思った



でもいろんな人が

わやわゃきて

その人との会話は

すぐに終わって



後には話したりない

お互いの思いだけが

見つめ合うという形で

交差するだけで



でもこれでいい

今更その人と

どうにかなるわけでもない



もう逢うこともないだろう



遠い昔の

高校時代の恋人