最新型防カメ導入 「安全な国際都市へ」ミナミの治安向上がカギ
大阪府警が大阪・ミナミに最新型の防犯カメラシステムを導入する背景には、2025年大阪・関西万博の開催や有力視されている統合型リゾート施設(IR)の設置などを見据え、国際都市としての大阪の治安向上がいっそう重要になるとの認識がある。大阪ではインバウンド(訪日外国人客)が増加する一方、観光客らが被害に遭う事件も多発。新システムには捜査力の強化に加え、犯罪抑止への期待も寄せられる。
「大阪が安全で安心して訪れることができる都市とアピールし、より多くの人に訪れてもらうにはミナミの治安情勢が要となる」。9日、大阪の経済界や地域の代表者が集まる「ミナミ活性化協議会」の代表者会議で、大阪府の吉村洋文知事はこう強調した。
大阪観光局によると、平成30年に大阪を訪れたインバウンドは過去最高の1142万人で、5年間で4倍以上に伸びた。同局のアンケートでは8割近くがミナミにある「道頓堀(心斎橋・難波)」を訪れたと回答。今後もミナミが大阪観光の中心となる見通しだ。
にぎわいを増す中、ミナミではぼったくり行為や悪質な客引きが横行。不良集団「半グレ」が関与しているケースも多く、府警はプロジェクトチームを編成し、摘発を強化している。
英経済誌「エコノミスト」が発表した昨年の世界の安全な都市ランキングで、大阪は東京、シンガポールに次ぐ3位に。昨年は20カ国・地域首脳会議も開催されており、府警幹部は「大阪は安全な国際都市として世界に認識されている。そのイメージを維持するためにも、犯罪を絶対に許さないという姿勢をみせることが重要だ」とシステム導入の意義を説明する。
大阪市中央区の「戎橋筋商店街」理事長の菊地正吾さん(43)は「万博やIRなどを見据え、多くの人を受け入れる環境作りを進めないといけない」と指摘。新システムには「プライバシー保護の懸念もあるが、犯罪の抑止や解決につながり、観光客が安心してミナミを楽しめることが一番だと思う」と話した。