自動車の「ターボ」部品の生産を、三菱重工業とIHIが増やしている。かつてはもっぱらスポーツ車の出力を高めるために使われていたが、最近は燃費をよくする部品として見直された。ハイブリッド車(HV)などに力を入れてきた日本メーカーにも採用の動きが出ている。

 三菱重工は昨年末、タイ工場など海外でのターボ部品の生産能力引き上げに、約50億円投資することを決めた。2013年からの投資額は計160億円になる。これらの投資で、13年に580万台だった生産能力は、16年には1千万台に増える。欧州の自動車メーカー向けが多い。ターボ事業の責任者の梶野武さんは「世界でトップクラスのシェアにしたい」と意気込む。

 IHIもターボの生産を、14年度の600万台から16年度には720万台、20年度に1千万台に増やす方針だ。16年度までに250億円超を投じて、欧州などで生産設備を増やし、研究開発拠点の横浜事業所の実験設備を増強する。

 ターボは、排ガスのエネルギーを捨てずに使う技術だ。かつてはエンジンの出力を高め、加速性能などをよくするために使われた。

 だが05年、ドイツフォルクスワーゲン(VW)が燃費をよくするためにガソリンエンジンに本格的に採用し、搭載車が増え始めた。HVと比べコストをかけずに燃費が改善できるため、中国や東南アジアなど新興国向けの車にも載せやすい。

 HVに力を入れてきたトヨタ自動車も昨年発売した高級車レクサスの新型車に採用するなど、日本メーカーにも広がり始めている。

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