大型連休中、高速道路を使って遠出する人も多い。気をつけたいのが、ジャンクション(JCT)の分岐だ。新しい道路が接続されたところでは、進路を誤る車が後を絶たない。

 進路を間違えた場合、どうすればいいのか。

 高速道路各社は、いわゆる「特別転回」を認めている。間違えた後の最初のインターチェンジ(IC)で、係員がいるレーンに並んで申告すると、料金所の外でUターンし、再び高速道路に戻れる。本来降りるはずだったICまで行き、通常の料金を支払えばよい。

■カーナビ頼みが一因?

 では、なぜ進路を誤るのか。

 伊勢湾岸道と東海環状道、新東名高速と3本の結節点となる豊田東JCT(愛知県豊田市)。昨年2月に新東名がつながった後、進路を間違える車が相次いでいる。中日本高速道路名古屋市)は「データの古いカーナビゲーションが『直進』と指示を出すのが一因では」とみる。

 新東名がつながるまでは、伊勢湾岸道を東進してきた車が分岐なしに東海環状道に入ることができた。しかし、新東名の接続後、新たに分岐ができた。東海環状道に進むには左車線に寄らないといけないが、誤って直進する車が続出している。

 高速道路での行き先間違いについて研究した飯田克弘・大阪大大学院准教授(交通工学)によると、間違えやすい人は「経路選択の際、カーナビを重視し、自分の知識や案内標識を参考にしない傾向がある」という。

 「高速道路ファン手帳」の著書がある佐滝剛弘・高崎経済大学特命教授(観光論)は「日本人は信号のない分岐が苦手」と指摘する。欧米の交差点では信号のない円形ロータリーが珍しくない。高速道路も無料の国が多く、日常的に使われる。「我々は車を止めずに行きたい方向へ曲がる経験が少ない。誤進入が起きるのは、ある意味で当然」と話す。

ログイン前の続き■新たな接続、間違い相次ぐ

 中日本高速道路によると、豊田東JCTから新東名を東進して最初のICとなる岡崎東ICで、「進路を間違えた」という申し出が開通後の1年間で1日平均約20件あった。2年目に入ってもなお目立つという。

 東名阪道と伊勢湾岸道など3本が交わる四日市JCT(三重県四日市市)も似た状況だ。昨年8月に新名神高速が接続。伊勢湾岸道を西進した後、新たにできた分岐で間違える車が出ている。中日本高速道路は、実数まで把握できていないが、「間違えた」という電話やメールが4件寄せられたという。

 新たに道路が接続されたJCT以外でも、進路を誤る車は後を絶たない。

 三つの道路とつながり、複雑な構造で知られる垂水(たるみ)JCT(神戸市)。姫路方面へ進もうとした車が進路を間違えると、明石海峡大橋淡路島へ渡り、神戸淡路鳴門道の淡路ICまで引き返せない。本州四国連絡高速道路(神戸市)の広報によると、路面の色分けなどの対策を重ねたものの、「間違える車はだいぶ減ったが、ゼロにはならない」。

 横浜横須賀道路などがつながる新保土ケ谷IC(横浜市)も、いくつもの分岐が相次ぐ難所だ。東日本高速道路東京都)には昨年、「路線が分かりづらい」という意見が3件寄せられた。同社広報は「看板や路面標示はかなり増やした。これ以上つけると、逆に紛らわしいと言われかねない」と悩む。公式ウェブサイトの分岐案内で予習するのがおすすめという