わかっていた。
どんな映画か予想はついていた。
だからずっと観るのを躊躇っていた。
そしてやっぱり憂鬱な気持ちになった。
思ったほど御涙頂戴の悪い映画ではなかった。
「あー、この監督はお役所嫌いなんだなー」って思った。
真面目で、犯罪を犯さず、周りから殺される理由が無いと思われてる人。
私は正直「声をあげず黙って死んでいく」人だと思っている。
そんな自分が許せないから、殺されるくらいなら殺してしまえばいい、と自分に言い聞かせてる。
だから犯人の気持ちがわかるし、殺された2人に可哀想だとも思わなかった。
そういう無敵な人になってもいいと、感じてしまった。
「死んでもいい人はいない」
という叫びは、とってつけたような言葉にしか聞こえなかった。
世間から弾かれた弱い人。
寄り添って暮らし、新しい道を進む。
進めなかった弱い人間は誰にも救われず死んでしまう。
救えるはずなのに救えなかった人間は、本当に真面目で良い人なのか?
殺される理由は無いのか?
「死んだら終わりじゃ無いか!」
という言葉が全ての犯行に繋がってしまった。
私も「まるで自分が言われたかのように」殺意が芽生えた。
そんな映画。