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・大阪弁をあやつるから、
みんな間が抜けてとぼけているように、
他国人は錯覚するかも分からないが、
電話を置いた若い衆たちが、
「何ン吐(か)してけっかんね、ド阿保!」
とうっぷんをあとで晴らしている、
そんな大阪弁のすさまじさとドスのきいた凄さ、
巻き舌の早口をいちどでも耳にしたら、
大阪弁の持つ裏の貌も知ることができるだろう。
「毎度おおきに」と深々と頭を下げる、
その裏側にはひとつまちがえば、
そういう罵詈讒謗の飛び出す押しボタンもあるので、
その上での大阪人の当りのよさ、
おかしみなのである。
「ややこしい」
「けったいな」
「えげつない」
「あんじょうする」
等々、他国語に翻訳できない不思議な言葉を無数にもち、
何十通りもある敬語をいちいち使いわけなければいけない、
大阪弁を使う大阪人は、
他国人ことに関東人の、
余裕のない四角四面な会話、
ひいては発想法に面くらってしまう。
「融通が利かん」と大阪人はいう。
東京人と話していると、
話の腰を折られてばかりいる、
という。
大阪では電話をかけまちがっても、
「あんた、何番へ掛けてなはんね。
・・・え?ちがうわ。十番ちがいやわ、
これが金やったら負けたげまんねんけどな」
要らざる冗談をいって楽しんでいる。
すんだあとで一人で「ド阿保!」と怒鳴っていても、
決して人前では口にしない。
たえず息をぬいて力を抜いて、
しかも神出鬼没に人生をわたり歩く。
「ただ金銀が町人の氏系図ぞかし」
と西鶴のいった町である。
「金のないのは首のないのと同じ」
と思われている町である。
江戸時代の「町人の町」という気概
自治制度で来た町、
「天下の台所」と自負して来た歴史を持つ町。
幕府をはじめ諸大名に金を貸したのは、
みな浪花の豪商連で、
「大阪の豪商一たび怒って天下の諸侯懼るるの威あり」
と嘆じられた町だ。
宮城を持つ東京とちがって、
大阪には権威の座標がない。
それに京都のように伝統に固執しない。
天下天下、唯我独尊。
こんにち、御堂さんも寺町の寺も、
ハイカラなモダンな寺に変ってしまった。
阪神高速道路を作って大阪の頭上に道を通す。
法善寺も通天閣も大阪城もおのぼりさんの行く所で、
大阪に住んでる者は関係おまへん、
と子供にさとし、頑強に保守主義を守っているが、
一辺倒に寄りかかっているわけでもない。
「今日び××億ぐらいの金あったら、
総理大臣の首でもすげかえられるのんとちゃいまっか」
なんでや、というと、
「そうかて、日本が戦争にまきこまれたら、
かないまへんよってな。
わしら、前の戦争でもう、こりごりだす。
二度と戦争はいやだんな。
すっからかんになりまっさかい、
もし戦争起こすような大臣やったら、
首すげかえな、あきまへん」
という。
大阪で聞くと現実味がある。
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