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・ローマを北へ、ビア・カシアを走り、
これはフィレンツェまでいくそう。
ローマ郊外は緑一色につつまれて、
よいドライブである。
オリーブ畠に牧場がつづき、
モダンな貸別荘が並んでいた。
みなペルシャーノ(鎧扉)を下ろしていた。
ローマの夏は暑いので、
ペルシャーノを下ろして日光をさえぎり、
風だけ入れるのだそう。
野にはタンポポ、クローバー、菜の花、アザミ、
荒地野菊など豊かに咲いていた。
ロンチジョーネという町は、
地図にものっていないが、
城門もあり、崩れかけたお城もある。
石造りの町は城を囲んで渦巻き状に出来上がっており、
奥へ入ると、全く、中世そのもの、
それでもどの家にも人が住んでいて、
小さい子供が教会跡で遊んでいたり、
道を曲がって不意に若者や娘があらわれる。
そのさまがいい。
家々の石段は数百年の上り下りにすりへって、
丸く刳られていた。
谷を望む広場には噴水もあり、
甲冑の騎士が城の円塔から顔を出しそうであった。
ここもどの商店もお休み、
復活祭の行事でもあるのか、
町の人の楽隊が通っていった。
その後ろを子供たちが追いかけていく。
小さい一膳めしや、
というようなのが開いていたので、
そこへ入った。
中年のおばさんが店へ出、
おじさんが奥で調理するらしい。
ここでもスパゲッティ、トマトソースがあっさりして、
しかし玉ねぎと肉片が入っている。
白ワインに、またまた漆喰のごときパン、
かなり慣れて、ゆっくり食べると、
滋味が出てくるように思われる。
小さい女の子と、その兄らしい男の子が、
ガラスの水差しを持ってかけこんでくる。
「ワインを買いに来たんですね」
M君はいった。
おかみさんが樽からフラスコへワインを注いだ。
兄妹はそれを持って飛び出して行く。
日本でも、昔は、
父親の飲む酒を子供が買いにやらされる、
ということがあったが、今はしないようである。
今なら子供の飲み物が切れていると、
父親が急いで買いにいくかもしれない。
イタリアは子だくさんで、
ローマでもこの町でも子供はあふれているが、
しかし子供をよくこき使うようであった。
帰り道は渋滞、
まだモロ前首相の事件が続いている最中だったので、
そのせいかどうか、兵隊が検問したりしていた。
ローマは子供も多いが犬も多い。
人々は休日に遊びに行くのに犬を連れていき、
座席に乗せているので、
うしろから見ると、犬か人かわからない。
ロンチジョーネの一膳めしやのスパゲッティは、
ゆでかたといいソースといい、
無造作ながら、
何十年もやってきたらしいコクがあった。
スパゲッティの量が多いので、
あとの料理がもう食べられず、
団塊のパンとワインでちょうどよい料理であった。
M君にイタリア語で、
「おいしかった!ごちそうさん」
といってもらったら、
おかみさんも亭主もニッコリ、していた。
晩は、ひるめしの埋め合わせのごとく、
大々的に肉料理を食べようということになる。
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(次回へ)