2024/2/1付ブログ記事「国道169号・橿原市と大淀町の幻のバイパスについて」の続きです。
上記ブログ記事で
>今のところ確証はありませんが、大淀町の中心部で左折した後吉野川沿いの家屋が密集する僅かな平地を近鉄吉野線とともに東進する国道169号のバイパスとして、1kmあまり北側の丘陵地帯に4車線道路を作り、吉野町の中心である上市の集落の先で国道に合流させる・・・という計画があり、1990年代半ばまでに部分的に完成したものの打ち切りとなってしまったのかもしれませんね。
ですが、この道路が実際に都市計画決定されていたことがあっさりと判明しました。
大淀町・下市町・吉野町のうち吉野川沿いの比較的人口の多い地域は「吉野三町都市計画区域」として都市計画の対象区域となっています。奈良県公式サイトで公開されている2011/5時点の都市計画総括図で該当区域を見ると、上記に該当する道路が「都市計画道路高取大淀吉野線」として都市計画決定されており、予定ルートが明確に分かるようになっていました。
https://www.pref.nara.jp/secure/66183/soukatu-h.pdf
4車線の幅20mの道路が予定されており、現在の国道169号と県道222号今木出口線の分岐点から緩やかなカーブを描きながら東に延び、吉野町に入ってしばらくして南に進路を変え、トンネルを抜けて上市の集落の1kmほど先で現在の国道169号に合流するというルートです。県道222号は畑屋バス停の少し先から南側に屈曲する形となっていますが、都市計画道路はこの部分をまっすぐトンネルで抜けるようになっています。
このブログ記事を書いている時点で「都市計画道路高取大淀吉野線」の計画がどこまで生きているかは不明ですが、2023年10月に開催された大淀町北野地区の都市計画道路に関する公聴会用閲覧図書の上部に高取大淀吉野線が未開通区間も含み幅20mの都市計画道路として記載されています。
https://www.town.oyodo.lg.jp/cmsfiles/contents/0000001/1511/06-1sinnkyuutaisyouzu1.pdf
ただ、ネット上には「高取大淀吉野線」に関する情報は皆無の状態です。2009年の奈良県による未事業化の広域幹線道路の見直し(2024/1/31付ブログ記事「国道169号御所高取バイパスは当初は別ルートで計画されていた」参照)の対象にはならなかったものの、未開通区間の事業化に向けての動きがなく、地元からの早期事業化の要望もないことの裏付けかも。未開通区間のほとんどは山林や農地であり、「道路計画があるため家や事務所が建てられなくて困る」というケースも滅多になさそうですし・・・
なお、奈良県が2021/7に公表した「奈良県 新広域道路交通計画」の末尾の図によれば、紀伊半島の東側を縦断する高規格道路「奈良中部熊野道路」(奈良県御所市~大淀町~吉野町~川上村~上北山村~下北山村~三重県熊野市)が予定されており、ごく一部区間のみ供用されごく一部区間のみ事業中となっています。具体的には、
<供用済み区間>
高取バイパスの北側区間、新芦原トンネル、伯母谷道路(2003年開通、中間にループ橋あり)
<事業中区間>
御所高取バイパス、高取バイパスの南側区間、伯母峯峠道路<国の権限代行区間>
となっています。
奈良中部熊野道路は2021年に近畿地方整備局が発表した「防災・減災、国土強靱化に向けた道路の5か年対策プログラム(近畿ブロック版)」には記載されていませんが、2022/4/1付で国土交通省が重要物流道路の候補路線・計画路線に指定しています。
https://www.pref.nara.jp/item/264121.htm
https://www.mlit.go.jp/road/sisaku/butsuryu/Top03-02-03.htm (候補路線・計画路線はEXCELの別表内にのみ記載)
今後奈良中部熊野道路の具体化の動きがもしあれば、その一部となるはずの都市計画道路高取大淀吉野線の未事業化区間について事業化の準備にかかる可能性が十分ありますが、どうなることでしょう?
<2024/10/24追記>
「都市計画道路高取大淀吉野線」の計画ですが、2024年現在も確実に生きています。
大淀町が2024/7/16付で告示した都市計画道路の変更内容のうち、
https://www.town.oyodo.lg.jp/contents_detail.php?frmId=1628
「都市計画道路 中増線の変更理由」(=当該路線の廃止)内に、廃止理由として「国道169号と都市計画道路高取大淀吉野線を結ぶバイパス的機能は既存の町道で代替可能」な旨の記載があり、総括図では大淀町北野地区以東で完全に未成状態の都市計画道路高取大淀吉野線のラインが延々と伸びています。