東京新聞のサイトに、2023/2/11付で以下の記事が掲載されました。
川崎市内の路線バスは均一運賃ですが、このブログを書いている時点では運行事業者により運賃が異なります。
川崎市バス・・・220円均一
川崎鶴見臨港バス(以下臨港バス)、東急バス、小田急バス・・・210円均一
このうち東急バスは東京都区内と横浜市内、臨港バスは横浜市内でも路線バスを運行していますが、こちらは2019/10/1の消費税率アップ時点で既に220円均一になっており、川崎市内でもようやく?2023/3/16から220円均一になります。
https://www.tokyubus.co.jp/news/002876.html
https://www.rinkobus.co.jp/2023/02/09/af3c2fa6998a290dd4d58ab342c3955a46456cf3.pdf
一方、小田急バスも同様に「東京都区内と横浜市内は消費税率アップ時点で220円均一、川崎市内は210円均一」ですが、このブログを書いている時点の同社の公式サイトを見る限りでは、川崎市内運賃の値上げ申請に関する記載はありません。ただ、東急バスの値上げ告知内の「定期旅客運賃(他バス事業者との共通券種)>(3)小田急バスとの共通定期券」の項目に、両社が共同で運行する新百合ヶ丘駅発着系統の川崎市内区間における共通定期券について、東急バスで発売する分のみ値上げして小田急バスで発売する分は変更なしのような記載があるので、少なくとも2023/3/16時点では値上げはないものと思われます。
さて、川崎市バスの210円→220円の値上げは2022/10/1付ですが、当初は消費税率アップと同じタイミングで転嫁分に上乗せして値上げする予定でした。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO40878710U9A200C1L82000/
しかし、首都圏の他のバス事業者はいずれも消費税率アップの転嫁のみにとどまり、川崎市バスは2019年時点で前年と比較して経営が改善していたことから、国土交通省は上乗せ値上げを認めませんでした。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO49363120T00C19A9L82000/
https://www.tokyo-np.co.jp/article/19630
その後のバス事業を取り巻く環境の大きな変化により、川崎市バスの値上げは3年遅れで晴れて認められ、結果的に民営3社のうち2社が5か月半遅れで追随する形となりました。
<2/19追記>
川崎鶴見臨港バスの運賃値上げは運輸審議会の諮問対象になっており、
https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/unyu00_sg_000021.html
以下の6回の審議を経ています。
第1回 重要認定 令和4年10月25日
第2回 審理 令和4年11月10日
第3回 意見聴取 令和4年11月24日
第4回 審理 令和4年12月1日
第5回 審理 令和4年12月6日
第6回 答申 令和4年12月13日
第3回の意見聴取では、運輸審議会の委員から以下の6点の質問が会社側になされています。
①運賃改定申請を必要とする理由(乗合バス事業全体としてはコロナ禍でも黒字を計上している中で、川崎地区について改定を行おうとする理由)
②利用者へのサービス改善策(コロナ禍における減便によるサービス低下を指摘するパブリックコメントの意見を踏まえた上で、改定による利用者の受益はどうなると考えているか)
③需要見通し及び実施運賃の考え方
④従業員の勤務状況(超過勤務の状況、今後の増員計画)
⑤川崎市との関係(地域公共交通計画、運行の受委託)
⑥親会社とのシナジー・配当政策の考え方 ※同社は2006年に京浜急行電鉄の完全子会社になりました
これに対する臨港バスからの回答をピックアップすると、
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①横浜市内と川崎市内で上限運賃が異なっており、川崎市内ではコロナ禍以前から適正利潤込みの収支では赤字となっており、コロナ禍以降では経常ベースでも赤字となっている。コロナ禍でも乗合バス事業全体としては黒字になっているとは言っても、これは車両の定期更新の先送りや昇給の抑制といった経費削減策の効果によるものである。今後については、運転手不足に対応した人件費の増加や燃料費の高騰といった多額の資金需要が見込まれることから、収支が厳しい川崎市内の路線を対象とし申請に至ったもの。
③実施運賃については230円に設定したいという思いはあるものの、その場合には改定幅が大きくなることによる社会的影響も踏まえ、220円とすることとしている。
④ 現状では運行維持のために運転手には超過勤務をお願いせざるを得ない状況となっており、総労働時間も含めて考えると、他の企業と比べても給与は必ずしも高水準なものとはなっていない。
⑥ キングスカイフロント周辺では京浜急行電鉄の駅間を結ぶ新たな路線を本年4月から運行を開始するなどしており、グループとしての力を活かすことで、より積極的な効果を生むことが出来るものと考えている。
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のようになっています。値上げ申請をしていない小田急バスにおいて川崎市内区間がバス事業全体に占める比率は大したことはありませんが、臨港バスは川崎市内の比重が大きく(横浜市内は鶴見区近辺のみ)、会社の置かれた立場が違うわけですね。