2023/11/29に開催された令和5年度第4回関東地方整備局事業評価監視委員会で、長野県の北端にある信濃町内の国道18号を改良する事業「一般国道18号野尻IC関連」が審議対象になりました。
https://www.ktr.mlit.go.jp/ktr_content/content/000869014.pdf
このあたりの国道18号は上信越道とともに長野県北部と新潟県上越地方を結ぶ重要な交通路であり、特別豪雪地帯ということで冬期には上信越道が通行止めになることが少なくなく、その際には代替経路となります。しかし、歩道の未設置区間があり、冬期にはさらに道路端に除雪した雪が積み上げられて歩行者は車道の通行を強いられてしまいます。町の観光スポットである小林一茶旧宅はそんな国道18号に直接面しています(ストリートビューはこちら)。このため、現道拡幅およびバイパス建設により走行環境を改善し安全性を高める事業が進められています。
延長8.7kmは1990年度までに都市計画決定・事業化されました。上信越道の信濃町ICと接続する前後の区間は1997年度に開通し、その北側の現道拡幅区間・バイパス区間の延長計2.5kmは2003年度末に開通しています。そして、南端の古間地区の線形改良区間も2017年度に開通しました。他は完成の見込みが立っていません。
全体の用地取得率は2023/3/末時点で約46%となっていますが、実は2012年度・2015年度時点での再評価でも「約46%」となっており、用地買収は10年以上全く進捗がない計算になります。
https://www.ktr.mlit.go.jp/ktr_content/content/000633004.pdf(11ページ目参照)
南側の現道拡幅区間に関しては歩道設置の地元要望があるため2023年度から一部工事を行っていますが・・・
小林一茶旧宅のある信濃町中心部のバイパス区間に関しては、2015年度から地元調整に着手しているにもかかわらず、用地買収はほぼ手付かずです。今回の再評価資料では、理由として「雪の多い地域特有の堆雪場を含む代替地の確保、土地所有者との調整に多くの時間を要している」ことが挙げられています。つまり、バイパス予定地に堆雪場が含まれ、その代替用地を確保しないと買収にかかれないわけで、特別豪雪地帯ならではですね。堆雪場の条件は「ある程度の広さの平地があること」「豪雪直後でも雪を満載したダンプカーがたどりつけること」なので、盆地内で不要な農地がまとまって出てこない限り確保は難しそうです。