広島市内を走る路面電車では、現在Suica・PASMO・ICOCAなど全国相互利用対象の10種の交通系ICカードが使えます。
もともと広島ローカルのICカード「PASPY」を2008年に導入したもので、この時点で広島地区のJR在来線にICOCAが導入済みだったこともあり、当初からICOCAだけは使えるようになっていました(PASPYでJR在来線の利用は不可)。その後、2018年にSuica・PASMOなどにも対応するようになって現在に至っています。また、PASPYは新交通システム「アストラムライン」や、広島県内の多くのバス路線でも使え、こちらも10種の交通系ICカードでも乗車可能です。
しかし・・・
その路面電車を運行する広島電鉄は、昨年(2021年)夏、ICカードを止めて他のキャッシュレスの決済手段に移行する方針を明らかにしました。理由は、「PASPYのシステムの維持に費用がかかりすぎるから」とのこと。
この時点では、以下のような方針でした。
・PASPYの代わりにスマートフォンを使ったQRコード決済の導入を目指し、独自にシステムを開発する
・当初はPASPYなどのICカードとQRコード決済を併用するが、ある時点でICカードを使えなくする
・QRコードを多くの人が利用できる仕組みにするため、他のIC乗車券でも使えるように工夫するほか、スマホを持たない人でも印刷したQRコードで決済できるよう検討する
その後、11月の時点ではややニュアンスが変わっており、「QRコード決済だけでなくカード型など幅広く検討している」になっています。
ただ、広島電鉄としては、現在置かれた状況を考えるとシステムの費用負担の軽減は喫緊の課題であり、PASPYからの撤退が白紙になることは考えにくいわけで、今後の動向に注目です。