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滅多に使わない道具。学習指導要領編 あるいは、危険な兆候。

2021-01-20 20:09:26 | 公立高校
学習指導要領には、法規範性があります。
行政法の基礎知識のひとつです。

最判平成2年1月18日民集44巻1号1頁
で示されたことです。

この事件、かなりヤバい学校で起きた事件です。


最判平成2年1月18日民集44巻1号1頁
より引用します。

大部分の 県の県立高等学校においては、E高校を含めて、昭和四二 年ころまで、事実上職員会議を最高決定機関とする校務運営がなされ、また、 新任の校長については、ほとんどが 県高等学校教職員組合(以下「県高教組」 という。)の推薦又は承認する者を任命するということが行われていた。ところ が、上告人が、昭和四三年四月、大部分の新任校長を県高教組の推薦のない者 から任命したため、県高教組はこれら新任校長の着任拒否闘争を行った

着任拒否闘争

同年一〇月及び昭和四四年一一月には県高教組は人事院勧告完全実施等を要求する休暇闘争を行った。 

休暇闘争

ヤバそうな雰囲気は伝わるでしょう。

昭和四三年四月、FがE高校校長に任命されたが、当時同校は、個々の 教諭との話合いも県高教組の役員を通じてしなければならないなど、校長とし ての十分な指導監督ができない状態にあった。

県高教組が最凶、もとい、最強な状態。

F校長は、昭和四四年一学期末ころ、被上告人ら教諭の一部が教科書を 離れた授業を行い、また、被上告人B2らが生徒の成績について一律評価をし ていることを聞き、

「教科書を離れた授業」
強烈でした。

H新聞の同年五月一八日付夕刊は、「引きさかれた教育」と題して、 E高校における被上告人らの授業を変わった授業として報じた。 

変わった授業、どころではないです。

「被処分者は、昭和四 四年度の担当科目の授業において、所定の教科書を使用せず、かつ高等学校学 習指導要領に定められた当該科目の目標及び内容を逸脱した指導を行った。

一つ目は、日本史

昭和四四年度に三年生の四つの組で各組週四時間担当した日本史につ いては、まず、株式会社I出版社発行の教科書「詳説日本史」及びその教師用 指導参考書を通読し、その他の参考書等をも利用して講義用ノートを作成して 授業の準備をしたうえ、その授業においては、右教科書、九州各県の高等学校 教諭による研究会の編集になる日本史資料集及び自己作成のプリントを教材と することとした。右資料集は、日本史の史料そのものを掲載し、これに関して 解説するというもので、教科書のように通史的記述とはなっていない

四月中旬ころまでに五、六時間かけて、 特に教科書を用いることなく、歴史観及び時代区分について授業したが、その 内容は、各種の時代区分論について話し、その中で唯物史観による時代区分に ついても話し、更に、唯物史観による時代区分論争の盛んなソヴィエト連邦、 中国の成立以来の思想、政治、経済やいわゆる中ソ論争について話し、また、 唯物史観上階級闘争がないとされている社会主義社会になお存する階級闘争の 話に及んだ。

レッドですねぇ。

四月下旬ころから六月中旬ころまでは、前記の教科書及 び資料集を用いて原始、古代について授業したが、六月中旬ころから七月上旬 ころまでは、七、八時間かけて日本奴隷経済史と題する自己作成のプリントを 用いて授業した。その後は、二学期に週二時間生徒による日本史に関するグル ープ研究の発表をさせたほか、前記の教科書、資料集及びプリントを用いてそ の後の通史等について授業したが、教科書より資料集及びプリントを使うこと のほうが多かった。以上の授業は、学年末において、史的に江戸末期ころま でを終了したにとどまった。

日本奴隷経済史って何ですか?

授業がこんな感じならば、

試験は……

昭和四四年度に三年生の四つの組で担当した日本史の 一学期の中間考査において、
「社会主義社会における階級闘争について述べよ。」、
 「次の二題(テーマ)のうち一題を選び論述せよ。
 A スターリン思想とその 批判、
 B 毛沢東思想とその批判」
の各問題を出題し、考査の前にこれに応ず る授業を行った。 

批判どころか、突っ込みどころ満載ですね。

ということは……

日本史の授業において、前記のように時代区分について話した 際に、マルクス、毛沢東に関する授業を行った。 

日本史ですらこんな感じ。
なので、地理は……

昭和四三年度に一年生の三つの組で各組週三時間又は四時間担当した 地理Bの三学期の期末考査において、選択的出題の一部として、「資本主義社会 と社会主義社会における階級とその闘争について」の問題を出題し、右考査の 前にこれに応ずる授業を行った。

こんなの地理じゃない!
(by 京大入試にて地理選択者)

昭和四四年度に一年生の一つの組で週二時間担当した地理Bの一学期 の中間考査において、選択的出題の一部として、
「社会主義社会における階級闘 争」、
「スターリン思想とその批判」、
「毛沢東思想」
各問題を出題し、右考査 の前にこれに応ずる授業を行った。 


こんなの地理じゃない!
こんなの地理じゃない!
(by 京大入試にて地理選択者)

残念な事に、日本史・地理だけではありませんでした。

政治経済
昭和四四年度に三年生の五つの組で各組週二時間又は三時間担当した 政治経済の授業において、最初にJ出版株式会社発行の教科書「政治経済」の 目次によってその構成を説明したが、右教科書は内容が自分の考えと違うとし て、その最初の数頁くらいを使用したのみで、その後は、九州各県の高等学校 教諭による研究会の編集になる政治経済資料集を使用して主として政治、経済 問題について授業し、時に国際関係等の時事問題について新聞の切抜を使用し て授業した。 

倫理社会
昭和四四年度の二年生の三つの組の倫理社会を各組週二時間、三年生の 五つの組の政治経済を右一のとおり担当したが、右各科目について、一学期に は期末考査を実施せず、これに代えて三問中から一問を選択させてレポートを 提出させ、提出した者は一律六〇点、提出しなかった者は一律五〇点と評価し、 また、右二年生の倫理社会について三学期に考査を実施しなかった。

こんな手抜きに安心してしまう異様さ

最高裁による判断の仔細は、
をご一読ください。
最高裁は、
 
各教科書使用義務違反の点は、いずれも年間を通じ て継続的に行われたものであって、特に被上告人B2の教科書不使用は、所定 の教科書は内容が自分の考えと違うとの立場から使用しなかったものであるこ と、被上告人B1の日本史の考査の出題及び授業、地理Bの考査の出題の点は、 その内容自体からみて、当該各科目の目標及び内容からの逸脱が著しいとみら れるものであること等をも考慮するときは、被上告人らの右各行為の法規違反 の程度は決して軽いものではないというべきである。 

当時のE高校の内外における前記のような背景の下で、同校の校内秩 序が極端に乱れた状態にあったことは明らかであり、そのような状況の下にお いて被上告人らが行った前記のような特異な教育活動が、同校の混乱した状態 を助長するおそれの強いものであり、また、生徒の父兄に強い不安と不満を抱 かせ、ひいては地域社会に衝撃を与えるようなものであったことは否定できな い

と御立腹

ちなみに、
高等学校の教育は、高等普通教育及び専門教育を施すことを目的と するものではあるが、中学校の教育の基礎の上に立って、所定の修業年限の間 にその目的を達成しなければならず(学校教育法四一条、四六条参照)、また、 高等学校においても、教師が依然生徒に対し相当な影響力、支配力を有してお り、生徒の側には、いまだ教師の教育内容を批判する十分な能力は備わってお らず、教師を選択する余地も大きくないのである。これらの点からして、国が、 教育の一定水準を維持しつつ、高等学校教育の目的達成に資するために、高等 学校教育の内容及び方法について遵守すべき基準を定立する必要があり、特に 法規によってそのような基準が定立されている事柄については、教育の具体的内容及び方法につき高等学校の教師に認められるべき裁量にもおのずから制約 が存するのである。 

それから数十年後、


歴史は繰り返すのか。


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