「・・・人間科学講義」(養老孟司 著)

2008-11-24 | 自然科学
遺伝に関するメンデルの法則は、情報の法則である。

DNAやRNAの塩基同士の組合せ:A-T,C-Gや、A-Uは、それぞれの対応が、なぜそうなのかを記述するレベルでは法則作りされていない。
これらのセットは前提として、
遺伝子のコードを紐解いていく。

物質とエネルギーにまで、還元しては記述しきれない対象は、
脳の中と人間の間で固定された情報として対象化し、法則として扱えるレベルにまで、苫米地氏流にいうところの「抽象化」して、これを記述するしかない。

そんな話がまとめてある。
2002年以前の話なので、いまでは一部改訂修正が必要でしょうが、
とても面白いです。

数値化できる科学は、物質とエネルギーの科学。
数値化できないからといって、科学ではないということはないはず?
統計物理や量子化学では数値ではなく構造を特徴付けるパラメータを操作するが、それでも数値化されているのは、エネルギーに結びつけることが要請されているからか、それとも、エネルギーとは無関係な構造的な秘密が隠されているのか?・・・

人間の文化的活動に関する哲学的視点で初めて捉えることができる抽象化・数値化の階層問題。

生物や医学では、細胞や人間を材料から試作実験することはできない。
そもそも、どうやって新生児が体内で脳内のシナプスネットワークを準備していくのかを解剖して観察することなど永遠にない。
だから、始めから作るといったことができない対象が永遠に残るのではないか。

学問だってそもそも、多様になっていくしかないのではないか。
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