歴史とドラマをめぐる冒険

大河ドラマ・歴史小説・歴史の本などを中心に、色々書きます。
ただの歴史ファンです。

麒麟がくる・比叡山焼き討ちはどーなるのか。

2020-06-03 | 麒麟がくる
「麒麟がくる」の台本はだいぶ修正されたようです。合戦シーンが特に問題で、コロナ問題とかかわります。だから合戦はほとんど「なくなる」のかなと思います。本圀寺・金ケ崎・長篠・本能寺ぐらいなのかなと思っています。長篠に光秀いたかどうかは説が分かれているようですが、光秀はどこにでもいるので大丈夫でしょう。
武家・公家・寺社・天皇、これらは「持ちつ持たれつだった」というのが多くの日本史学者の前提で、これは仮説なんですが、いつの間にか仮説じゃないような扱いになっています。信長と義昭も持ちつ持たれつ、信長と寺社も持ちつもたれつ。仮説が一人歩きしているようで、どうも科学的な方法とは思えないのですが。でも私は研究者でも学者でもない。
「比叡山焼き討ち」なんぞも持ちつ持たれつにしないといけないので、「そんなに焼いてない」とか「信長だけじゃなくやったやつもいる」とか。たいした問題でもないとする風潮もあるようです。

ドラマ上はどうなのか。今までだと「信長と光秀の大げんか」となるシーンです。今回はスルーかも知れない。

あの「光秀」なら、つまり長谷川さんなら「僧兵とは戦いましょう。でもなるべく焼かない。寺にいる一般人は殺さない、女子供は殺さない」となるでしょうね。そんなに信心深いようにも見えないし。

でもそうすると光秀の当時の手紙と矛盾してしまう。まあこっちの手紙の方をスルーかな。村を皆殺しにすることと、寺を皆殺しにすることは違いますから。

さてどうなるのでしょう。

麒麟がくる・織田信長の大失敗・越前攻め

2020-06-03 | 麒麟がくる
信長は義昭さんを奉じて上洛後、一年半ぐらい後には越前の朝倉義景を攻撃します。ユースケ義景です。で浅井長政さんに裏切られて金ヶ崎となって、人生最大のピーンチとか言われますが、本当のピンチはその後です。朝倉・浅井との戦いは泥沼化していきます。

とっても不思議だと思うのです。当時、畿内はまだ全然おさまっていませんでした。三好三人衆とか篠原長房、六角承禎とか伊勢の抵抗勢力、さらにまだ総決起していないものの本願寺勢力。

そういう勢力があるのに、わざわざ越前を攻める。リスクが高いし、結果としても大失敗します。やがて信長は姉川の戦いで、浅井朝倉にかろうじて勝利、ほぼ引き分け。その後浅井朝倉が反攻。比叡山に籠ります。これが本当のピンチでした。本願寺は決起するし、三好三人衆とも戦うし、長島一向一揆とも戦う。その過程で弟とか森可成が戦死します。

越前にさえ手を出さなければ、これほどのピンチにはなりません。まず浅井が離反しません。すると浅井は朝倉に対してむしろ抑えとなります。

敵は三好三人衆や一向一揆勢力に限られてくる。

どうしてこれほどの戦略ミスをしたのか。幕府に逆らったからと言っても、義昭幕府に帰順しない勢力を討つならまず三好三人衆でしょう。

全部将軍足利義昭の陰謀とすると小説的には面白いかも知れません。朝倉攻めをけしかけたのも義昭で、浅井をそそのかしたのも義昭。命令書ばんばん送ってましたから、別にトンデモ説とも言えない。でもそこまで計算できるか。越前攻めを命じたとしても、信長が断ればいいだけです。

これは「足利家とからませる」から分からなくなるわけで、純粋に戦国大名織田家としてみれば、そりゃ越前は欲しいでしょうね。越前を領土とすれば、尾張太平洋貿易から越前日本海側貿易まで手中にできるのです。領土が太平洋側から日本海側まで伸びて、日本を分断する形になります。

西には大きくて好戦的な大名は多くなく、最大仮想的は毛利です。こことの関係はこの時点で悪くはない。東には武田と上杉、北条がいます。武田とは半同盟みたいな形ですが、一方で同盟相手である徳川は武田と敵対しているわけです。後から考えれば信長最大の敵は本願寺ですが、信長の心中では最大仮想敵はずっと武田だったと思います。越前を手にいれて、そこまでの大国となると、武田もそう簡単には手が出せません。

越前は欲しかったと思います。しかし手を出して大失敗になってしまい、滅亡寸前まで行きます。