「何か目的がありそうね、今回は。」
私は言う。
「さすがは、泉ね。」
彼女は、私の反応を見透かしていたかのように言った。
「相変わらず敏感ね。
本当に、あなたは一家に一台あると重宝するって感じよ。
というより、わたしに一人かな。」
彼女は自分でも気付いているのだろうか。
そこで、とてつもない大きなうねりのようなものが待ち受けていることを。
そして、それを承知で、敢えてそこに飛び込もうとしているのだろうか。
だとすれば、彼女のことだから止めても無駄だろう。
それに、彼女が望んでいることなら、
それを妨げる資格は、私にも、誰にもない。
解ってはいる。
でも、今の私は、彼女の持っているどんな国家資格よりも、
彼女を説得できるだけの根拠と話術が、欲しかった。
「教会を見に行くの。」
彼女は言った。
「教会?」
「そう。泉はまだ小さかったから、憶えていないかもしれないね。」
「家族と患者さんの旅?」
間髪入れずに、私は言う。
「そうそう。でもあの時、泉は、
まだ小学校にも上がっていなかったはずよね。
なのに、よく憶えていたね。」
曇りなき瞳で、彼女は言った。
「それは私のセリフのような気がするのですが。」
冷やかすように言う。
「私の記憶が2歳の頃のものから引き出せることを、
まさかお忘れになられたのではないでしょうね?」
私は言う。
「さすがは、泉ね。」
彼女は、私の反応を見透かしていたかのように言った。
「相変わらず敏感ね。
本当に、あなたは一家に一台あると重宝するって感じよ。
というより、わたしに一人かな。」
彼女は自分でも気付いているのだろうか。
そこで、とてつもない大きなうねりのようなものが待ち受けていることを。
そして、それを承知で、敢えてそこに飛び込もうとしているのだろうか。
だとすれば、彼女のことだから止めても無駄だろう。
それに、彼女が望んでいることなら、
それを妨げる資格は、私にも、誰にもない。
解ってはいる。
でも、今の私は、彼女の持っているどんな国家資格よりも、
彼女を説得できるだけの根拠と話術が、欲しかった。
「教会を見に行くの。」
彼女は言った。
「教会?」
「そう。泉はまだ小さかったから、憶えていないかもしれないね。」
「家族と患者さんの旅?」
間髪入れずに、私は言う。
「そうそう。でもあの時、泉は、
まだ小学校にも上がっていなかったはずよね。
なのに、よく憶えていたね。」
曇りなき瞳で、彼女は言った。
「それは私のセリフのような気がするのですが。」
冷やかすように言う。
「私の記憶が2歳の頃のものから引き出せることを、
まさかお忘れになられたのではないでしょうね?」