海を渡る風と、船が切り裂く高速の風で、陽射しが歪む。
汚れない青い空は永遠に高く、
幅の広い揺らぎをつくる海はとめどもなく広がる。
それは、太古からの尊い贈りもの。
1時間おきの連絡船は、待ちわびた乗客をほどよく受け入れて走る。
幾人かのバックパッカーズ。
街で用事を済ませたと思われる島の人々。
海の向こうで家族が待つ子供たち。
白に若葉色の新鮮な色使いの制服を着た彼女たちを見ると、
イギリス領だった名残を想起させる。
わいわいと愉しそうに話しをするのは、どこの子供も一緒だ。
誰もがそうだったことを重ね合わせられる。
なぜか、妙に安心する瞬間。
見慣れた色使いの制服たちは、今では対岸の影になりつつある。
耳慣れた言葉は、はるか遠くに置き去りにされたようだ。
そこにはまた、空気に乗りやすい張りのある言葉が溢れていた。
きっと、大丈夫だ。
かつて、ふたりが触れたたくさんのものを、わたしも感じることができる。
くっきりと、ふたりの顔が刻み込まれたわたしの心が呟いた。
それは、掛け値なく幸せなことに思えた。
2階の屋外席は、特等席に思える。
外にいなければ、もったいないような環境だ。
屋内ではしゃぐのは心苦しいのか、生徒たちもそこにいる。
対岸と島のちょうど中ほどに差し掛かった辺りで、
“ハック”が何かを見つけた。
それは、かなりの興奮度。
勝手に“ハック”なんて名付けてしまったのは、
その彼が、わたしの中のハックルベリー・フィンによく似ていたからだ。
彼が、すぐ下に広がる水面を指差して、真剣に口を動かしている。
“見て、見て。イルカだ!イルカ!”
その声に引き寄せられた残りの生徒たちが、一斉に席を立つ。
船が傾いてしまうでは?と思うほど、
一瞬にして、右舷は人気スポットとなった。
わたしも、野生のイルカを見ようと、一人分の体重をそちらに加える。
10頭ほどのイルカたちが、見事に並走している。
代わる代わる跳ねては潜り。
それは、まるで、好奇心いっぱいに遊んでいるよう。
生徒たちは、本当に嬉しそう。
誰ひとりとして、その場を動こうとしない。
飽くことなく、目を奔らせている。
汚れない青い空は永遠に高く、
幅の広い揺らぎをつくる海はとめどもなく広がる。
それは、太古からの尊い贈りもの。
1時間おきの連絡船は、待ちわびた乗客をほどよく受け入れて走る。
幾人かのバックパッカーズ。
街で用事を済ませたと思われる島の人々。
海の向こうで家族が待つ子供たち。
白に若葉色の新鮮な色使いの制服を着た彼女たちを見ると、
イギリス領だった名残を想起させる。
わいわいと愉しそうに話しをするのは、どこの子供も一緒だ。
誰もがそうだったことを重ね合わせられる。
なぜか、妙に安心する瞬間。
見慣れた色使いの制服たちは、今では対岸の影になりつつある。
耳慣れた言葉は、はるか遠くに置き去りにされたようだ。
そこにはまた、空気に乗りやすい張りのある言葉が溢れていた。
きっと、大丈夫だ。
かつて、ふたりが触れたたくさんのものを、わたしも感じることができる。
くっきりと、ふたりの顔が刻み込まれたわたしの心が呟いた。
それは、掛け値なく幸せなことに思えた。
2階の屋外席は、特等席に思える。
外にいなければ、もったいないような環境だ。
屋内ではしゃぐのは心苦しいのか、生徒たちもそこにいる。
対岸と島のちょうど中ほどに差し掛かった辺りで、
“ハック”が何かを見つけた。
それは、かなりの興奮度。
勝手に“ハック”なんて名付けてしまったのは、
その彼が、わたしの中のハックルベリー・フィンによく似ていたからだ。
彼が、すぐ下に広がる水面を指差して、真剣に口を動かしている。
“見て、見て。イルカだ!イルカ!”
その声に引き寄せられた残りの生徒たちが、一斉に席を立つ。
船が傾いてしまうでは?と思うほど、
一瞬にして、右舷は人気スポットとなった。
わたしも、野生のイルカを見ようと、一人分の体重をそちらに加える。
10頭ほどのイルカたちが、見事に並走している。
代わる代わる跳ねては潜り。
それは、まるで、好奇心いっぱいに遊んでいるよう。
生徒たちは、本当に嬉しそう。
誰ひとりとして、その場を動こうとしない。
飽くことなく、目を奔らせている。