韓国で話題になり、今度映画になるという本の日本語版。
気になっていたので読んでみました。
30代前半の1人の女性を通して
韓国社会での生きづらい男女差別の様々なことが
時系列に書かれています。
少し内容にも触れていますので気になる方は回れ右で。
激しい男女差別は生まれる前から始まっていて
お腹の中の子が女の子と分かるやいなや中絶を選択することも
多々あったことに驚きました。
私よりも少し上の世代の話です。
長男教とか日本でもそんな言葉があるくらい
男女間の兄弟の差別って日本でもあると思うし
実際私もそんな感じで育った。
なのでジヨン姉妹が受けた弟との差は
分かるなぁと思ったり、昔に閉じてた寂しさや悔しさを
思い出してしまったり。
心がザワついてしまいました。
さすがに弟の学費のために働くことなんてなかったけど。
成長してからも、セクハラや男女間の雇用の差別、給料の差別、仕事内容の差別、様々な差別的な出来事が具体的に描かれていました。
結婚をし、子供が生まれ、その間にも
何故女が仕事を辞める選択をすることが当たり前のように
なっているのか
仕事や同僚や友人達との時間を諦め、だけど夫は何か諦めたことがあるのか?
そんな疑問や働きたいけれど働く場が見つからない焦りの芽生え。
そして、子供と訪れた公園で見ず知らずのサラリーマン風の男達からかけられた差別的な言葉。
それが引き金になり心を蝕まれていくジヨン…。
この本はジヨンを診察した心療内科医の目線で書かれているのだけど
最後、その心療内科医自体が差別している発言で終わっているのが衝撃でした。
根本的にこんな考え方の医者に任せても良くならないじゃないか。
多分作者はそんな絶望を理不尽だと読み手に奮い立たせようとしているのかもしれないなと思いました。
この役に立たない心療内科医のことがあることに重なってしまって、凄く心が落ち込んでしまいました。
DNAレベルで根付いている差別を覆すことはとても難しいことだと思うけれど。
ジヨンの母親が、夫をこき下ろす場面が1ヶ所あって
その部分は夫と対等の妻が描かれていて
少しずつ流れの変化も感じました。
ヒソヒソ話での言葉が人を傷つけ心を蝕んでいるなんて
まさか本人達はそんなこと思ってもないんだろうな。
無意識のうちに加害者になることもあるのかと思ったら
気をつけなきゃいけないなと思います。
主人公の旦那さん以外の男性の登場人物の名前が明らかになってないのは、意図的なものだということですが
確かに日本でも子供を産んだら○ちゃんのお母さん、○○ママとか呼ばれがちで子供の同級生のお母さんの下の名前とか
親しくないと知らないわ。
そういった社会的に名前で呼ばれない女性に対し
わざと作品中では男性に名前をつけなかったのだとか。
隣の国の話ではなく、身近でもなにかしら人と差をつけたい人や事柄があったりするし
私的にはこれまであまり考えず通ってきた事だったので
もうすこし注意深く見渡して、考えを膨らませていかなきゃいけないなと思いました。
きっと読む人の捉え方で色んな意見の分かれる内容だと思います。